2006.04.10

vol.34 血糖値が高い人は、目の病気にも注意を!

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糖尿病の合併症を知っていますか

Vol.34 血糖値が高い人は、目の病気にも注意を! 血糖値が高めの人のなかに、どうも目の調子がよくない、視力が落ちている気がする…そんな感じをもっている人は多いのではないでしょうか。もしかすると、それは糖尿病の合併症のひとつである網膜症かもしれません。
糖尿病を悪化させた場合に起こる合併症には、いろいろな病気がありますが、なかでも「神経障害、網膜症、腎症」を3大合併症と呼んでいます(※1)。

糖尿病性神経障害

末梢神経に影響が出て、手足の冷えやしびれなどの感覚障害が起こり、最悪の場合は壊疽(えそ)になって下肢切断の危険性もあります。

糖尿病性網膜症

目の網膜の血管に障害が起こり、次第に視力が低下し、悪化すると失明する可能性があります。現在毎年3000もの人が失明しています。

糖尿病性腎症

腎臓の血管に障害が起こり、血液のろ過がうまくいかなくなり、やがて人工透析が必要となります。毎年1万人前後が、新たに糖尿病に起因する人工透析の患者となっています。

これらの合併症は従来、糖尿病と診断された後、徐々に進行し、かなりの年月を経てから発症するとされていました。
もっとも早くみられる神経障害の初期症状(手足の冷えなど)でも数年後、網膜症や腎症の場合には10~15年はかかるというのが従来の考え方でした。そのため健康診断などで「血糖値が高い」といわれても、合併症に関心をもつ人が少なかったのです。
ところが、網膜症のケースでは意外なことがわかってきました。

(※1)糖尿病の合併症にはほかに、動脈硬化、白内障や緑内障、免疫力低下に伴う感染症、また急性の高血糖や昏睡などがあります。

若い患者さんほど網膜症の発症が早い

日本ではいま30歳代や40歳代の若さで、糖尿病性網膜症になる人が増えています。しかも受診したときにはかなり進行していて、すぐに手術を受ける必要のある人も少なくありません。
その背景には、糖尿病の若年化があります。子どものころからの慢性的なカロリー過多や運動不足により、10歳代、20歳代で血糖値が高い状態になり、それに気づかないまま過ごしてきた可能性が考えられます。
と同時に最近の調査から、糖尿病の発症年齢と網膜症との興味深い関係がわかってきました(※2)。
糖尿病になった年齢を「40歳未満」と「65歳以上」で比較すると、網膜症を合併している人は「65歳以上」のほうが多いものの、重症の増殖型網膜症では反対に「40歳未満」のほうが2倍も多くみられるのです。
また短期間(6~15年)での網膜症の発症率を比較すると、「40歳未満」のほうがやはり2倍となっています。
つまり若い年代で糖尿病を発症するほど、網膜症が早く発症する確率が高く、かつ重症化しているケースも多いのです。
さらに厚生労働省研究班による調査では、糖尿病にかかってから8年間で、約28%の人が網膜症を発症しているという報告もみられます(※3)。
こうした調査により網膜症の発症は、従来の見解よりもかなり早いことがわかってきました。しかも糖尿病と診断された時点で、すでに網膜症になっているケースも少なくありません。
これらのことから網膜症については、血糖値が高め(予備軍の段階)といわれた時点から、すぐに目の検査を行うことが重要となっています。

(※2)(社)日本眼科医会による2005年9月発表資料。

(※3)厚生労働省研究班による「糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する調査」。ちなみに別の調査では、糖尿病と診断された後15年の段階で、約40%の人が網膜症を発症しているという報告もあります。

糖尿病性網膜症とは

では糖尿病性網膜症とは、どのような病気なのでしょうか。早期ケアのためにも、よく知っておくことが大切です。
糖尿病性網膜症は、わかりやすくいえば網膜の細い血管に起こる動脈硬化です。網膜は、カメラに例えるとフィルムに当たる大切な部分です。その網膜の血管に障害が起こり、視力の低下などから、網膜はく離などに至ります。治療技術が進歩し、現在はかなり進行した段階でも手術が可能ですが、それでも年間3000 人もの人が失明しています。
一般に、網膜症は次のように進行していきます。

1.単純網膜症
網膜の血管に小さなこぶができたり、出血が起こり、次第にその数が多くなります。この段階では視力の低下があまりなく、ほとんどの人が症状には気がつきません。

2.前増殖期網膜症
出血した血液に含まれる脂肪やタンパク質などが網膜に付着して固まった白斑というものが増えます。また血管が詰まり、異常な新しい血管(新生血管)ができはじめます。

3.増殖期網膜症
新生血管はもろく出血しやすいため、硝子体という眼球内のゼリー状の組織に出血を起こしたり、網膜はく離を起こしたりして、そのまま放置していると失明に至ります。

なぜ早いケアが必要なのか

糖尿病性網膜症では、早期ケアが非常に大切です。その理由は、進行するほど患者さん自身の負担が大きくなるからです。
単純網膜症の段階なら、手術をせずに、食事や運動などによる血糖値の管理だけで改善することができます。
前増殖期網膜症の段階になると、一般的には障害が起きた網膜の部分をレーザーで修復する手術(レーザー光凝固)が行われます。
さらに増殖期網膜症まで進むと、硝子体の出血や混濁、あるいは網膜はく離を治す手術が必要となります。重症度にもよりますが、手術をしても視力が元のようには回復しなかったり、治療そのものが難しいこともあります。
このことからもわかるように、治療の難易度に加え、日常生活に支障をきたさない視力の維持・回復のためには、できるだけ早い段階で発見し、治療する必要があります。
しかし初期の単純網膜症では、自覚症状はほとんどありません。それだけに健康診断などで「血糖値が高め」といわれたら、眼科で眼底検査を行うことが大切となってきます。

早期発見と予防のために

早期発見のために
実際に多くの人が異常に気づくのは、視力の低下など、目の調子がおかしくなってからです。ものが見えにくい、メガネを使っても視力が出にくい、明暗の区別がつきにくいなど、さまざまな症状がみられます。
ただし、こうした症状が出た時点では、かなり進んでいる可能性があります。また、視力の低下がほとんどないまま、網膜はく離を起こしていることもあるので注意が必要です。
早期発見のための基本は、定期検診です。一度検査を受け、異常がないとわかると安心してしまう人が多いのですが、網膜症だけでなく白内障や緑内障など、糖尿病に関係する目の病気はたくさんあるので、毎年必ず眼底検査を受けましょう。
糖尿病の合併症のなかで、比較的早くから自覚症状が出やすいのが神経障害です。手足に冷えやしびれがあったり、タコや魚の目ができやすい、キズが治りにくいなどが、神経障害の初期症状です。こうした症状がみられた場合も、目にも障害が出ている可能性を考え、検査を受けるきっかけにしましょう。

予防のために
予防の基本は、まず血糖値を正常にコントロールすることです。糖尿病の改善と同じように、食生活では食べすぎや飲みすぎによるカロリー過多に気をつけること。また、間食をすると血糖値が下がりにくくなるので、控えるようにしましょう。
適度の運動も、血糖値の管理には欠かせません。ウォーキングなどの有酸素運動に加え、ダンベル体操や軽い屈伸、腹筋運動など基礎代謝量を高める筋肉運動を一緒に行うと、エネルギー消費量を高め、血糖値の改善につながります。
また高血圧があると、網膜症を発症しやすくなります。血圧が高めの人は、塩分の多い食事を控え、家庭血圧を測定するなど、血圧の管理もしっかり行うことが大切です。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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