2008.03.10

vol.57 「歯ぎしり」の影響と対策

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歯ぎしりの自覚はありますか

Vol.57 「歯ぎしり」の影響と対策 「歯ぎしりをしていましたよ」…朝起きたとき、家族や友人などから、そんな指摘を受けたことはありませんか。
睡眠中の歯ぎしりは、だれにでもみられる現象です。健康な人でも疲れているときなどには、ひと晩に1回くらいは歯ぎしりをしますが、通常は10分か15分程度で収まります。
ところが歯ぎしりが常習の人の場合、毎晩のように、それも1時間以上も続くことがあります。しかも、非常に強い力(人によって違いはありますが、ガムを噛むときの数倍~10倍程度)で、歯をこすり合わせています。
そのため歯が欠けたり、割れたりすることがあります。歯茎にも強い力が加わるため、歯周病を悪化させる原因にもなります。それだけでなく、あごやその周辺の筋肉に障害を引き起こしたり、さらに睡眠時無呼吸症候群との関係も深いことがわかってきました。
歯ぎしりくらい…と思われがちですが、常習の場合には症状を悪化させないために、予防したり、必要に応じて治療することも大切になってきます。
ただ、歯ぎしりは睡眠中のことなので、自分ではなかなか気が付きません。もし、次のようなことがあったら、常習になっている可能性があるので注意しましょう。

  • 家族や友人などから、1年に2回以上歯ぎしりを指摘されたことがある。
  • 朝起きたとき、あごにこわばりを感じることがある。
  • 食事のときに口を開けにくいことがある。
  • 昼間でもふと気付くと歯を噛みしめていることがある。
  • 下の歯の内側の歯肉に骨が盛り上がったところがある(※1)。

(※1)歯ぎしりを繰り返すと、歯を支える骨が影響を受け、盛り上がることがあります。下の歯の内側の歯肉部分は骨が出っぱりやすいので、歯ぎしりを知るサインとなります。

音のしない歯ぎしりにも注意

歯ぎしりというと、ギシギシとかキリキリといった音を立てるもの、とだけ思っていませんか。実は歯ぎしりには、次のような種類があります。

<歯ぎしりの主な種類>

(1) 歯のこすり合わせ(グラインディング)
一般に歯ぎしりといわれるもので、強い力で上下の歯をこすり合わせる症状。

(2) 歯の噛みしめ(クレンチング)
音はほとんどしませんが、強い力で歯をくいしばる症状。

(3) 歯を鳴らす(タッピング)
カチカチとかカチンカチンと、上下の歯をぶつける症状。

これらを総称して「ブラキシズム」といいます。
とくに (2) のクレンチングは音がしないので、気付かないこともよくあります。でもあごに違和感をおぼえたり、口を開けにくいといった状態を繰り返すときには、クレンチングをしている可能性があります。
ところで、こうした歯ぎしりはなぜ起こるのでしょうか。実は歯ぎしりの明確な原因はまだわかっていませんが、現在次の2つの理由が考えられています。

<歯ぎしりの2大原因>

(1) 歯の噛み合わせの悪さ
上下の歯の噛み合わせが悪いと、歯ぎしりを起こしやすくなります。歯の治療後などに噛み合わせが変化することもあるので、歯科医に相談しましょう。

(2) ストレス過多
ストレスによって精神的な疲労が重なると、歯ぎしりが多くなる傾向があります。歯ぎしりが増えたときは、積極的に気分転換などをしてストレス解消をしましょう。

増えている顎関節症

歯ぎしりによる二次障害のなかでも、最近増えているのが「顎(がく)関節症」です。
この病気は、口を開けようとするとあごの関節がカクンカクンとなって痛みがあったり、あごの筋肉がこわばったりして、口が開けにくくなるものです。悪化すると、ほんの少し口を開けても痛みがあって、食事ができなくなることもあります。
顎関節症の予備軍は多いのですが、ほとんどの人は自覚していません。一つの目安として、指3本(人さし指、中指、薬指)をそろえ、縦にして口に入れてみてください。入らない場合や、痛みで口を開けにくい場合には、要注意です。
顎関節症の原因には、歯ぎしりや片噛み(食事のときに左右いずれかの歯ばかりで噛む)、噛み合わせの悪さ、あごの骨の弱さなどがあります。中でも一番の原因が歯ぎしりですが、とくに影響が大きいのは歯の噛みしめ(クレンチング)です。
通常、私たちの上下の歯は、リラックスしているときにはほとんどくっついていません。ところが緊張すると、上下の歯を無意識にくっつけ、噛みしめることがあります。
では、今このコラムを読んでいるあなたの歯は、どうでしょうか。
実は、パソコンや打ち合わせなどの軽作業でも、緊張から少し歯を噛みしめていることが多いのです。睡眠中の強い噛みしめだけでなく、軽い噛みしめも長時間になるとあごに大きな負担がかかります。パソコンやゲームなどの普及も、顎関節症が増えている一因と考えられています。
昼間でも歯の噛みしめに気付いたら、意識的に軽く口を開けるなどして、あごの緊張をゆるめるようにしましょう。
一方、歯ぎしりは、睡眠時無呼吸症候群と関連があることも指摘されています(※2)。この病気は、睡眠中に一時的に呼吸が止まるもので、心筋梗塞など突然死の一因とされています(詳細は「はじめよう!ヘルシーライフ」Vol.18もご参照ください)。
以前から、大いびきと睡眠時無呼吸症候群との関連が指摘されていましたが、実は歯ぎしりのあとに無呼吸状態になるケースが多くみられます。明確な因果関係はまだわかっていませんが、歯ぎしりがひどい場合には、睡眠時無呼吸症候群を起こしていないか、検査してもらうといいでしょう。

(※2)アメリカのスタンフォード大学などによる調査(2001年)など、多くの調査で判明。

歯ぎしりの予防と改善

歯ぎしりを予防したり、症状を改善したりする代表的な方法に、「スプリント療法」があります。これは睡眠時にマウスピースのような器具をはめて、上下の歯が直接当たらないようにする方法です。健康保険が適用されるので、歯ぎしりがひどい場合には歯科か口腔外科で相談してみるといいでしょう。
もともとの原因が歯の噛み合わせの悪さにある場合には、まず歯の治療や矯正を行う必要があります。
また自分でできる簡単な方法として、腹式呼吸法や自己暗示法があります。眠りにつく前に、ゆっくりと腹式呼吸をすることでからだ全体をリラックスさせ、緊張による歯ぎしりを改善する方法です(※3)。
自己暗示法は、やはり寝る前に「歯ぎしりをしたら目を覚ます」という自己暗示をかけることで、長時間の歯ぎしりを予防し、症状を改善する方法です。
人によってそれぞれ効果は異なりますので、いくつかの方法を試してみるといいでしょう。

(※3)腹式呼吸は、お腹をふくらませるような感じで鼻から息を吸い込み、吐くときは反対にお腹をへこませるように口から少しずつ息を出します。ゆっくり呼吸することでリラックス効果が生まれます。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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