2008.05.10

vol.59 知っておきたい、「慢性疲労症候群」について

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こんな症状に注意を

Vol.59 知っておきたい、「慢性疲労症候群」について 気温や湿度が高くなるにつれ、なんとなくからだがだるく、疲れを感じることも多くなります。でも自分のからだにどれくらい疲れがたまっているのかは、なかなか自覚できません(※1)。そのためつい無理をして、体調をくずすことも。
もし次のような症状がみられたら、注意が必要です。
疲労感に加え、頭痛や筋肉痛、のどの腫れ、微熱、眠れないといった症状が重なる。また仕事中も集中力が持続せず、うっかりミスをしたり、約束を忘れたりする
こうした症状が数カ月も続き、なかなか治らない…そんな場合には「慢性疲労症候群」の可能性があります。
放置していると全身の倦怠感が強くなり、朝起きることができない、会社に行けない、いすに腰かけるのもつらい…といった状態になりかねません。
慢性疲労症候群というと、名前が似ていることから「慢性疲労」がちょっと進んだ状態、といった程度に考えている人が多いのではないでしょうか。
ところが実際には、単なる疲労ではありません。ウイルスの影響などで、からだのさまざまな部分に乱れが生じる病気なのです。
しかもこの病気の場合、休養をとるだけでは治りにくい面があります。受診してきちんと治療する必要があることを知っておきましょう。

(※1)働く人の疲労蓄積度については、厚生労働省が自分でチェックできるリストを公開しています。厚生労働省のホームページからアクセスするか、「厚生労働省 疲労蓄積度自己診断チェックリスト」で検索すると、そのリストを見ることができます。

増慢性疲労症候群の仕組みとは

慢性疲労症候群は、日本では1990年に国際診断基準に基づく症例が初めて報告された、比較的新しい病気です(※2)。診断が難しいこともあって、原因不明とされるケースも少なくありません。
しかし、疲労に関する研究が近年急速に進み、ウイルス感染が影響する病気であることがわかってきました。ウイルスといっても、その多くは過去(子どものころなど)に感染し、体内に潜んでいるウイルスです。
ストレスや疲労が長期間続くと、私たちのからだを守っている免疫系や神経系などの防御作用が低下します。それをきっかけに、潜伏していたウイルスが再活性化し、さまざまな症状を引き起こすのです。
原因となるウイルスとして、当初はEB(エプスタイン・バー)ウイルスが指摘されました。EBウイルスは、発熱やのどの痛みなど、典型的な慢性疲労症候群の症状を引き起こします。
その後の研究から、患者さんの胃に多くみられる慢性エンテロウイルスなど、いくつかのウイルスの関与が指摘されています。現在は、ウイルスは直接の原因というよりも、発症を早める要因と考えられています。
こうしたウイルスが再活性化すると、私たちの体内ではそれに対抗するためサイトカイン(免疫物質)が大量につくられます。サイトカインは重要な物質ですが、過剰につくられると脳や神経系、内分泌系(ホルモン)などにダメージを与えてしまいます。
その結果、脳の血流を悪化させたり、自律神経やホルモンバランスに悪影響を及ぼし、強い疲労感・倦怠感や頭痛、微熱、集中力低下など、日常生活に支障をきたすさまざまな症状が出るのです。

(※2)1984年にアメリカ・ネバダ州の小さな町で200人もの集団発症が起こったことをきっかけに、アメリカCDC(疾病予防管理センター)が調査を行い、1988年に初めて診断基準がつくられました。

受診時に知っておきたいこと

ウイルスが要因とはいっても、現在はまだ慢性疲労症候群かどうかを特定する決め手はありません。
というのも、よく似た症状の病気がほかにたくさんあるからです。例えば肝臓や腎臓の障害、甲状腺異常、うつ病、神経症、更年期障害などの病気です。 診断では患者さんへの問診や検査などをもとに、まずこうした病気の可能性について調べます。そして、ほかに原因が思い当たらない場合に、慢性疲労症候群の診断基準にしたがって診断が行われます(※3)。
そのため受診時には、「強い疲労感がいつごろから始まったのか、そのほかにどのような症状があるのか(どの症状がつらいのか)、ほかに持病がないか、現在使っている薬の名称は」…といった点について、事前に整理しておくと診断の助けになります。
実際に慢性疲労症候群と診断されると、薬による治療が中心となります。症状の種類や程度は患者さんごとに異なるので、自分の症状の特徴や治療の方針などを医師に確認し、納得したうえで治療を受けることが大切です。
また一般に、治療期間も長くかかる傾向があります(最低でも数カ月間)。治療中は医師とのコミュニケーションを大切にし、自分でも生活全般を見直し、体調管理に努めるようにしましょう。

(※3)厚生労働省は2007年に慢性疲労症候群の新しい診断基準を発表しました。大きな基準として、「生活に支障をきたす強い疲労が少なくとも6カ月以上続いたり、再発を繰り返したりしていること」と、「検査によってほかに原因となる病気が除外されること」とし、その上で微熱、のどの痛み、筋肉痛、倦怠感などの症状の程度をもとに、医師が診断をする形になっています。

予防と改善のために

先ほど紹介したEBウイルスなどの体内に潜むウイルスは、たとえ感染していても健康な人の場合には活性化しません。
日ごろから免疫力を低下させないような生活を心がけることが、一番の予防・改善法だといえます。

(1) ストレスをためない

慢性疲労症候群のきっかけになりやすいのが、ストレスの蓄積です。仕事や家事、育児などのストレスを避けることは難しい面がありますが、その一方で、自分で余分なストレスをためこんでいることもあります。夜更かし、アルコールの飲みすぎ、パソコンのやりすぎ、紫外線を長時間浴びる、風邪を放置するなどです。こうしたストレスをできるだけ避けることが大切です。

(2) 適度の運動をする

運動はやりすぎると、かえって身体的なストレスとなります。でも適度の運動は、リフレッシュ効果もあり、免疫力を高めます。散歩やウオーキング、プールでの水中歩行など、気分転換をかねた軽い運動を習慣にしましょう。
疲労状態が続くと、運動をやる気が起こらなくなることもあります。その場合には医師やスポーツクラブのインストラクターなどに相談して運動メニューをつくってもらい、目標を決めて運動をするといいでしょう。

(3) 食事を見直す

食生活の偏りが、慢性疲労の一因となっていることがあります。とくに肉食が多く、野菜が少ない人は、スタミナ不足になりがちです。
一般に疲労しやすい人は、慢性的にビタミンやミネラルが不足している傾向があります。疲れがたまっていると感じたら、ニラ、タマネギ、カボチャ、アシタバ、イチゴ、豚肉、納豆などをバランスよくとるようにしましょう。
疲労しやすい体質を改善するには、今まであまり食べていなかった食品を取り入れるのも効果的です。例えば、日ごろご飯をあまり食べない人がご飯を食べることで、疲労回復効果のある亜鉛を多くとることができます。ヨーグルトを食べない人が、ヨーグルトを食べることで腸内環境が改善されると、栄養の吸収がよくなり、疲労回復につながります。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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