2008.10.10

vol.64 家庭内事故(骨折やケガ)を防ごう

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意外に多い家庭内での転倒・転落

Vol.64 家庭内事故(骨折やケガ)を防ごう 家庭の中は安全…誰もがそう思っています。
ところが、階段からの転落やお風呂での溺死など、家庭内の事故で亡くなる人の数は年間1万人以上。交通事故死よりも、ずっと多いのです(※1)。
家庭内の事故のうち、骨折などの重傷を負いやすいのは、階段からの転落、床で滑っての転倒、浴室や玄関などの段差での転倒です。
こうした転倒・転落事故は、お年寄りに多いという印象があるかもしれませんが、実際には働き盛りの世代にも少なくありません。たとえば階段事故の件数では、65歳以上が約15%を占めますが、30~49歳は14.3%、50~64歳は12.4%と、大きな差はありません(※2)。
中高年になると、少しずつ筋肉が衰え、骨密度も低下します。ちょっとした転倒・転落でも、骨折やひどいねんざを起こすケースが増えるので、日ごろから十分な注意が必要です。
安全なはずの家庭内で、なぜ転倒・転落などの事故が起こるのでしょうか。場所別に、事故の原因と対策を知っておきましょう。

(※1)厚生労働省「人口動態統計」(平成19年版)による。家庭内事故死の総数12152人、その内訳は、窒息(食べ物による窒息をふくむ)3768人、溺死3632人、転倒・転落2260人、火災1319人、中毒445人、その他728人。

(※2)国民生活センター「くらしの危険No.238」より。階段事故の場合、件数では4歳未満の乳幼児が多い(33.4%)のですが、骨折などの重傷事故は中高年になるほど多くなります。

危険な階段での事故

階段での事故というと、一戸建てだけを連想しますが、最近はエレベータのない低層マンションの階段で、高齢者が転落するなどの事故も目立っています。
階段での事故は大きなケガにつながりやすく、骨折、足の腱や筋の損傷、ひどいねんざなど、日常生活に支障を来すことも多いので、特に注意が必要です。
階段からの転落は、次のようなときに起こります。

→ 玄関のチャイムが鳴ったので急いで2階から降りた、スリッパや靴下がすべった、暗くて段差が見えにくかった、ズボンのすそを踏んだ、ペットが脚にまとわりついた、物をもっていて足元が見えにくかった、滑り止めにつまずいた…。
こうした例から、階段では次のことを心掛けましょう。

◎階段の上り下りは意識的にゆっくりする(急がない)。
◎スリッパやサンダル(室外の場合)で上り下りしない。すべりやすい靴下ははかない。
◎暗い階段には照明をつける。
◎すその長いズボン(とくにパジャマ)をはかない。
◎犬や猫などのペットと一緒に下りない(先に行かせる)。
◎物を持っているときは、一段ずつ足先で確認しながら上り下りする。
◎滑り止めはつまずきにくいものにする。


また、階段の壁には手すりを取り付けることも大切です。ただし、後から付ける手すりの場合、壁の裏に柱などがないと支えにならず、つかまったときに取れてしまうこともあります。業者などに相談して、しっかりした手すりを付けるようにしましょう。

意外に多いリビングでの転倒

家族がくつろぐリビング(居間)で、事故が起こるのは意外に思われるかもしれません。ところが、最近のリビングはフローリング(板床)が多く、滑りやすくなっています。急いでいるときなど、ちょっとしたはずみで靴下やタイツがツルッと滑り、手をついたときに骨折したり、家具などに頭を打ったりするケースも目立ちます。
もし、床がすべりやすい場合には、すべり止めのワックスを塗るようにしましょう。
リビングの一部にカーペットやじゅうたんが敷いてある場合には、その端につまずき、転倒することもあります。カーペット類は、できるだけ床いっぱいに敷きつめるほうが安全です。部分的に置く場合は、端がめくれにくいものを選ぶようにしましょう(毛足が長いもの、素材がやわらかくシワができやすいタイプなどはさける)。
また、電気器具のコードに脚をひっかけて、転倒するケースも少なくありません。コード類はできるだけまとめ、壁際をはわせるようにします。人がよく通る場所にコードがある場合は、テープなどで床に固定するようにしましょう。
和室を居間にしている場合、畳の上に新聞や雑誌などを広げたままにしていて、すべるケースもあります。読みかけの新聞や雑誌は放置せず、必ず棚やラックなどに片付ける習慣をつけることも大切です。

浴室で注意したいこと

浴室も、転倒などの事故が多い場所です。特に気をつけたいのは、出入り口の段差と浴槽(バスタブ)のふちでのつまずきです。
入浴時には、寒い場所で裸になったり、熱いお湯につかったりするため、血圧がかなり上下します。その影響でからだがふらつき、思わぬ転倒につながることがあります。
浴室のほとんどは、一段低くなっています。出入りのときには、必ずドアサッシなどに手を添え、からだを支える習慣をつけましょう。 できれば浴室の出入り口の壁や柱に手すりを付けると、転倒しそうになったときの支えになります。手すりの位置は、実際に出入りしてみて、どの位置にあると便利かを確認することが大切です。
浴槽(バスタブ)に出入りするとき、ふちに脚がひっかかり、転倒する例も少なくありません。また、のぼせていて、浴槽内で立ち上がるときに、すべるケースもあります。こうした事故では、溺れることもあるので、日ごろから十分に注意しましょう。
浴槽のまわりに手すりを付ける場合も、実際に手をかけて使いやすい位置を確認するようにします。浴室の壁は裏に支えがないと、手すりを付けられないことがあります。その場合には、浴槽自体に取り付けるタイプの手すりもあるので、検討してみましょう。

玄関の段差にも注意を

玄関の上がりかまちも、転倒しやすい場所です。
段差が大きいと、靴を履こうとしたはずみにつんのめり、ドアなどにぶつかるケースもあります。段差が大きい場合は、たたきに踏み台を置くようにします。すのこの頑丈なものを、踏み台として利用する方法もあります。
横の壁に手すりを付けると、より安心です。最近は置くタイプの手すりもありますが、からだを支えられるしっかりした構造のものを選ぶことが大切です。 マンションなどの玄関では、段差がほとんどないこともあります。段差がないと高齢者は靴の脱ぎ履きがしにくいため、小型の椅子を置く人も増えています。その場合は、いすの脚にゴムなどをはめ、動かないようにしましょう。
また、玄関の上がりかまちに小さなマットを置いてある家もありますが、マットにつまずいたり、マットごとすべるケースもあるので、やめたほうがいいでしょう。
リフォームなどで、玄関の外の段差をなくすバリアフリー工事を行うケースも、最近よくみかけます。その場合、タイルなどの表面がツルツルした素材はさけるようにしましょう。雨の日などにはかえってすべりやすくなり、若い人でも転倒の危険があるからです。

足腰を鍛えて予防を

いすから立ち上がるとき、無意識に「ヨイショ」といっていたら、それは足腰の衰えの始まりです。立ち上がるときにいすのひじに手を置いたり、テーブルに手をつくのも、同じことです。
もし、そんな傾向がみられたら、足腰が弱り、転倒・転落のリスクが高くなっていると思いましょう。
転倒予防に最も効果的なのは、大腰筋などの足腰の筋肉を鍛えることです。いろいろな運動がありますが、誰でもできる簡単な運動は、浅めの屈伸です。
肩幅くらいに足を開いて立ち、軽くヒザを曲げ、その姿勢を少しキープしたら、ヒザを伸ばします。ヒザを深く曲げるほど、また、キープする時間を長くするほど、運動はきつくなります。最初のうちは、ヒザを軽く曲げ伸ばしするだけの屈伸でも構いません。年齢などにもよりますが、50~100回を目安に続けましょう。ただし、腰痛やヒザ痛がある人は、医師に相談してからはじめてください。
もう一つ、足先の筋肉が弱ったり、感覚が鈍くなることも、転倒につながります。
素足で床(板床)に立ち、足の指先で床をつかむようにしてゆっくり前進してみましょう。けっこうきつい運動で、やりすぎると足がつることもあるので、最初のうちは30~50cm程度にします。
高齢者の場合は無理をせず、いすに腰掛けた姿勢で、つま先を少し上げ、足の指を開いたり、縮めたりする運動をしてみましょう。つま先の血行がよくなると、感覚の衰えを防ぐだけでなく、足全体の血液循環もよくなります。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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