2008.11.10

vol.65 食道がん...野菜・果物で予防しよう

LINEで送る 一覧に戻る

発見が遅れがちな食道がん

Vol.65 食道がん...野菜・果物で予防しよう 食道がんは、消化器系のがんの中でも胃がんや大腸がんと比べると情報が少なく、症状などもあまり知られていません。
ところが、食道がんによる死亡者数は毎年1万人に及び、この30年間でほぼ2倍に増えています。また、病院でがんと診断されてからの「5年相対生存率」を比較すると、胃がんは約60%であるのに対し、食道がんは約25%にとどまっています(※1)。
こうした背景には、食道がんは初期の自覚症状が少なく、発見が遅れがちなこと。また、食道はノドや胃、肺などに近く、リンパ管などもあるため、周囲への浸潤(広がり)や転移を起こしやすいことなどが指摘されています。
そのため早期発見には、小さなサインを放置せず、しっかりした設備のある病院を受診することが、非常に大切だといえます。
また、食道がんは男性に圧倒的に多くみられます。その理由は、食道がんのリスクとなる飲酒や喫煙の習慣が、男性に多いからと考えられています(※2)。特に、40歳代から急速に発症数が増えるので、中年期以降は注意が必要です。
その一方で、最近厚生労働省研究班の調査から、野菜や果物がリスクを低減することが分かってきました。
食道がんの予防や早期発見のために、まず、食道がんとはどういう病気なのかを知っておきましょう。

(※1)国立がんセンターがん対策情報センターのデータ(1993~1996年にがんと診断された患者が対象)。病院でがんと診断された人が、治療によって5年後に生存している比率を、一般の人と比較したものを「5年相対生存率」といいます。100%に近いほど、一般の人の生存率に近く、それだけ治療しやすいがんだといえます。早期発見の遅れや手術の難しさなどを示す一つの指標ともなります。ただし、診断時すでに末期の人なども含まれるので、早期発見で治療を受けた場合は当然、5年後の生存率はずっと高くなります。

(※2)年度によって数値は異なりますが、食道がんによる死亡者数の約85%は男性が占めています。

小さなサインを見逃さない

食道の内壁は、食べ物や飲み物の通り道なので、扁平上皮という層で保護されています。この部分にできるがんが扁平上皮がんで、日本人の食道がんの90%はこのタイプです(※3)。
食道がんができると、食べ物や飲み物がとおるときに、チクッと痛みを感じたり、しみるような感じがしたり、人によっては、少しつかえるような感じを受けることもあります。 これが初期症状ですが、いずれもごく軽いため、胸の辺りに違和感を覚えながらも、放置していることが少なくありません。
がんが少し大きくなると、食道が狭くなり、食べ物のとおりが悪くなります。特に肉などの固形物を飲み込むときに、はっきりと胸がつかえるような感じを受けます。
人によってはノドがつまるように感じ、咽頭や喉頭(こうとう)の検査を受ける人もいます。ところが、食道がんでも同じような症状がみられるので、注意が必要です。
また、声がかれたり、首に痛みを感じることもあります。
さらに、がんが食道の外側にも広がると、病巣が気管や肺などに及んだり、リンパ管や血管をとおしてほかの臓器への転移も起こりやすくなります。 そうなる前の、ちょっと胸がつかえる感じのときに受診して、きちんと検査を受けるようにしましょう(※4)。

(※3)扁平上皮がんのほかに、食道の内壁に粘液などを放出する腺細胞にできるがんを、腺がんといい、欧米人ではこのタイプが半数以上を占めます。日本でも、食生活の欧風化により、今後は腺がんが少しずつ増えることが予測されています。

(※4)消化器系がんの検査では、レントゲン検査や内視鏡検査が行われます。早期の食道がんは、通常の検査では見過ごされることもあるので、色素内視鏡検査やNBI内視鏡検査など、食道がんの発見に適した設備を持つ病院を受診しましょう。

リスクを高める飲酒と喫煙

食道がんの最大のリスクは、過度の飲酒と喫煙です。
アルコールを飲むと、私たちの体内ではアセトアルデヒドという発がん性物質ができます。特にアルコールを飲んだときに顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドの影響を受けやすい体質なので、注意が必要です。
また、タバコを吸うと活性酸素が多く発生し、細胞のがん化を促進します。
では、飲酒や喫煙によって、食道がんのリスクがどれくらい高くなるのでしょうか。さまざまな調査がありますが、一例を挙げると、「飲酒も喫煙もしない人のリスクを1」とした場合、「毎日1.5合以上のお酒を飲む人のリスクは約12倍」、「毎日20本以上タバコを吸う人のリスクは約5倍」になります。さらにその両方の習慣がある人のリスクは、実に33倍にも及びます(※5)。
それだけに食道がんの予防には、まずアルコールの飲みすぎと喫煙の習慣をやめることが非常に大切だといえます。
また、熱すぎる飲み物も、食道に炎症を起こす原因となり、食道がんのリスクの一因となります。日本茶にせよコーヒーや紅茶にせよ、熱々のままよりは、少し冷ましてから飲むようにしましょう。

(※5)愛知県がんセンターのHP掲載データなどより。

野菜や果物を上手にとる

厚生労働省研究班の調査から、野菜と果物を多く食べる人ほど、食道がん(日本人に多い扁平上皮がん)のリスクが低いことが分かってきました(※6)。 あまり野菜や果物を食べない人(1日170グラム以下)と比較すると、よく食べる人(1日540グラム以上)は、食道がんのリスクが約半分(52%)と大幅に低下します。また、野菜や果物を100グラム多く取るごとに、リスクが10%ずつ低下するという結果も出ています。
野菜・果物の中でも、十字花科の野菜(キャベツ、大根、小松菜など)は、リスクを低減する効果が高いことも分かりました。これらの野菜に含まれるイソチオシアネートという成分に、制がん作用があるためと考えられています(※7)。ただし野菜だけ、あるいは果物だけを食べるよりも、野菜と果物の両方を多く食べるほうが、より効果的なので、バランスよく取るようにしましょう。
野菜・果物による効果は、飲酒や喫煙習慣のある人にもみられます。同調査によると、毎日2合以上のアルコールを飲み、タバコも吸う人は、リスクが7.67倍になります。しかし、野菜や果物を多く取ることで、リスクは2.86倍にまで低下します。
ですから飲酒・喫煙習慣のある人でも、野菜・果物を多く取ることが大切だといえます。ただし、飲酒と喫煙習慣は、それ自体が食道がんのリスクを高める要因であることを忘れずに。

(※6)厚生労働省研究班「多目的コホート研究」。日本各地の45歳~74歳の男性約39000人を対象とした追跡調査。2008年8月発表。

(※7)イソチオシアネートは、大根の辛み成分としてもよく知られています。大根の繊維が壊れることで発生するので、細く切ったり、大根おろしにすると増えます。ただし揮発性物質なので、時間がたつほど成分は減少します。大根の千切りサラダや大根おろしは、食べる直前に調理しましょう。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

この記事をシェアする

LINEで送る
blank 商品のご購入はこちら
このページの先頭へ戻る