2009.01.09

vol.67 お酒を飲まなくても注意! 非アルコール性脂肪肝

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増加する非アルコール性脂肪肝

Vol.67 お酒を飲まなくても注意! 非アルコール性脂肪肝 脂肪肝というと、「アルコールをたくさん飲む人の病気」と思われてきました。
ところが、アルコールをまったく飲まない人や、少しだけ飲むという人にも脂肪肝が増えています。それが非アルコール性脂肪肝(NAFL)です。
脂肪肝というのは、肝臓に必要以上の中性脂肪がたまった状態のこと。肝臓にある中性脂肪の割合は通常3~4%程度ですが、30%以上になると脂肪肝と診断されます。
脂肪肝だけならまだ病気とはいえませんが、放置していると肝臓の血液循環が悪化し、脂肪肝炎を発症しやすくなります。さらに、肝硬変や肝がんへと進行することも少なくありません。
進行の順序を簡単に示すと、次のようになります。
脂肪肝→(酸化ストレスなどが加わって炎症が起こり、肝機能が低下する)→脂肪肝炎→(肝臓の線維化が進み、機能が極度に低下する)→肝硬変→(線維化が全体に及び、末期的状態へ)→肝がん。
つまり、脂肪肝は、肝臓の末期的状態といえる肝硬変や肝がんへと進む、最初の段階ということができます。
非アルコール性脂肪肝は、日本では10年ほど前から知られるようになりました。自覚症状がほとんどないため、自分では気づきにくいのですが、すでに1000万人もいると推定されています。
特に、40歳代以降に急速に増えるので、中高年の方は原因や予防法を知っておくことが大切です。

症状が進む前に検査を

脂肪肝には、自覚症状はほとんどありません。脂肪肝炎の状態になると、人によってはだるさを訴えることもありますが、風邪などの症状と区別がつきにくく、見過ごされがちです。
さらに、肝硬変の段階へと進んでも、肝臓は粘り強い臓器なので、一部が破壊されてもほかの部分が替わって働くため、当初は自覚症状があまりみられません。しかし、肝機能は確実に壊れていくため、やがて全身のだるさや食欲不振に加え、皮ふや白目に黄疸がみられたり、胸や肩などにクモの巣状に血管が浮き出たり、胸がふくらむ(男性の場合)などの症状が起こります。また、血小板が減少して出血しやすくなったり、お腹に水がたまってポッコリと出てきたり(腹水)、胃や食道など腹部の静脈にこぶができ、それが破裂することもあります(※1)。
こうした段階になると、肝臓は元の健康な状態には戻りにくくなります。そのためできるだけ初期の、脂肪肝がみつかった段階で、改善や予防に努めることが大切だといえます。
自分が脂肪肝かどうかは、健康診断のときなどに腹部の超音波検査を受けるとすぐに分かります。また、血液検査や飲酒歴などから、非アルコール性かどうかなどの診断もつきます。
ただし、脂肪肝炎へ進んでいるかどうかは、肝臓の細胞を採取しての検査(肝生検)が必要となります。脂肪肝の人の1割程度が脂肪肝炎になるといわれますが、肥満気味の人や血糖値が高めの人は脂肪肝炎を起こしやすいので、きちんと検査も受けておくほうがいいでしょう。

(※1)肝機能が低下すると血液をうまく処理できなくなり、それが腹部の静脈へと入り、静脈瘤ができやすくなります。静脈瘤が破裂すると、吐血したり、下血(便に血液が混じってコールタール状になる)することもあります。

肥満には特に注意が必要

非アルコール性脂肪肝には、「肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧」などが関係していると考えられています。このうち、特に注目されているのは、肥満と糖尿病です。

<肥満との関係>

肝臓は、食物の脂肪分をエネルギーに替えたり、 肝臓自身でも糖分から脂肪を合成する働きをしています。そのため肥満の原因である「食べすぎと運動不足」の状態が続くと、肝臓には処理できない脂肪が蓄積して脂肪肝の状態になってしまうのです。
肥満かどうかを知る目安に、BMI値があります(※2)。
BMI値と非アルコール性脂肪肝との関係をみると、BMI値が「23未満の場合は脂肪肝の人の比率は約4%」ですが、「23以上~25未満では約11%」「25以上~30未満では約35%」「30以上では約80%」となっています(※3)。
BMI値では25以上が肥満とされるので、このデータからも、肥満の人ほど非アルコール性脂肪肝になりやすいことが分かります。ただしBMI値が25未満でも、脂肪肝になる人はいます。それには、外見からは分かりにくい、内臓脂肪型の肥満が関係していると考えられています。

<糖尿病との関係>

インスリンの働きが低下すると血糖がうまくコントロールできず、糖尿病(2型)になりやすいことはよく知られています。一方、非アルコール性脂肪肝の人にも、インスリンの働きがよくない人が多くみられます。このことから、血糖値が高めの人は、脂肪肝にも気をつけたほうがいいとされています。

(※2)BMI値は、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」によって求められます。体重70kg、身長1.7mの場合、「70÷1.7÷1.7=約24.2」となります。BMI値25以上が肥満とされます。

(※3)日本肝臓学会による調査(アルコールを飲まない人が対象)。

非アルコール性脂肪肝の予防には

もし、あなたが肥満気味だったら、非アルコール性脂肪肝の予防や改善のためには、ダイエットが欠かせません。でも、自己流のダイエットは、逆効果になってしまうことがあるので要注意。
というのも、肝臓でつくられた脂肪が血液中に出ていくためには、タンパク質の働きが必要です(※4)。ダイエットによってタンパク質が不足すると、肝臓から脂肪が排出されず、かえって脂肪肝を促進してしまうのです。
ダイエットでは全体のカロリーを減らすことが必要ですが、良質の肉や大豆製品などはある程度食べて、タンパク質が不足しないように心がけましょう。反対に、ご飯やパン、めん類などの糖質、肉の脂身やチーズなどの乳製品に多い脂質は、控えめにします。
また、ダイエットには、定期的な運動も大切です。
特に、内臓脂肪型肥満の解消には、有酸素運動が適しているので、ウォーキング、軽めのジョギング、水泳、自転車こぎなどの運動を週に3回以上、1回30分程度は続けるようにしましょう。仕事などでまとまった運動の時間がとりにくい場合は、駅や会社内の階段をできるだけ歩くようにし、日常生活の中で効率よく運動をする習慣をつけるのもいい方法です。
ただし、すでに糖尿病やその予備軍、あるいは高血圧の方の場合は、医師の指導をきちんと受けてから運動を始めてください。

(※4)脂肪は血液中に溶けにくいため、タンパク質の膜で覆われた形で血液中に出ていきます。そのためタンパク質が不足すると、肝臓から脂肪が排出されにくくなります。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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