2009.02.10

vol.68 骨質って何? 骨粗しょう症の新しい注意点

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骨の強度を高めるコラーゲン

Vol.68 骨質って何? 骨粗しょう症の新しい注意点 骨粗しょう症の人は現在、1100万人もいると推定されています。高齢社会をむかえ、今後も急増することが見込まれることから、骨の健康はすべての人にとって、重要なテーマとなっています。
骨粗しょう症の予防には、カルシウムを多く取って骨量(骨密度)を増やすことが大切だということは、よく知られています。それはもちろん間違いではないのですが、近年、骨量が平均より多いのに大腿部骨折などを起こす人が目立っています。その原因についての研究から、人によって「骨質(こつしつ)」に違いがあることが分かってきました。
骨量と骨質…この2つは、どう違うのでしょうか。
私たちの骨の成分といえば、カルシウムをすぐに連想しますが、それだけでなく、コラーゲンというタンパク質との組み合わせによってできています(※1)。コラーゲンは美容に関係ある物質として知られていますが、実は骨の強度を支える重要な物質でもあるのです。
私たちの骨の構造を鉄筋コンクリートの建物に例えると、カルシウムはコンクリートに当たり、コラーゲンは鉄筋に当たります。建物は、コンクリートの量だけを増やしても、丈夫になりません。鉄筋で強化することで、はじめて頑丈になります。
それと同じように、骨を強くするにはカルシウムで骨量を増やすだけでなく、コラーゲンで骨質を高めることが必要なのです。つまり、「骨量(骨密度)+骨質=骨の強さ」ということになります。

(※1)骨の構造は、リン酸カルシウムの1種であるアパタイトと、コラーゲン線維とが規則正しく並んだ形をしています。カルシウムなどのミネラル類とコラーゲンとの比率(体積)は、ほぼ50%ずつです。

コラーゲンの結合には善玉と悪玉がある

コラーゲンがいいと聞くと、「私は美容でコラーゲンをとっているので安心だ」と思われる方もあるかもしれません。でも、骨の場合のコラーゲンには、もう少し複雑な仕組みがあります。
コラーゲンは鉄筋に当たるといいましたが、「鉄筋が規則正しく、しっかりと組み立てられているかどうか」が問題なのです。
コラーゲン分子の結合を、「コラーゲン架橋(かきょう)」といいます。架橋というのは、結びつきのことです。コラーゲン架橋が規則正しく、しっかりしているものを「善玉架橋」、バラバラになっているものを「悪玉架橋」といいます。その名前から分かるように、善玉架橋の場合には骨が丈夫になり、反対に悪玉架橋だと骨はもろく、骨折しやすくなってしまうのです(※2)。
骨に含まれるコラーゲンは、加齢によって劣化します。すると悪玉架橋の状態になりやすく、鉄筋がきちんと入っていないと建物が弱くなるように、骨ももろくなってしまいます。
しかし、骨のコラーゲンが劣化する速度や程度には、かなり個人差があります。なぜ差が生じるのか…その要因として最近の研究から、ホモシステインというアミノ酸と、ビタミンB6などが重要な働きをしていることがわかってきました。

(※2)善玉架橋ではコラーゲンの束が規則正しくならび、骨は頑丈になるだけでなく柔軟性も高まり、骨折しにくくなります。反対に悪玉架橋では、骨がただ硬くなり、かえって柔軟性が低下し、外力が加わると折れやすい状態になります。

リスクを高めるホモシステイン

骨コラーゲンの劣化や悪玉架橋との関連で、注目されているのがアミノ酸の一種のホモシステインです。血液中にホモシステインが増えると、骨量が多くても骨折しやすいことが分かってきました。また、骨折しやすい人の体内には、ビタミンB6などが少ないという傾向もみられます(※3)。
ホモシステインは、メチオニンというアミノ酸が体内で代謝される過程で生じるもので、酸化されて有害な活性酸素を発生させます。健康な人の場合は無害化されますが、体内にビタミンB6やB12、あるいは葉酸が不足していると、ホモシステインが増え、血液中にあふれ出ます。すると活性酸素の影響で血管が硬くなり、また、血管壁が傷つきやすくなって、動脈硬化を促進します。
そのため、ホモシステインは、動脈硬化や高血圧、さらに心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める物質として知られています(※4)。
そのホモシステインが、骨コラーゲンの劣化や悪玉架橋を促進する要因でもあるのです。実際に、大腿部骨折のような重大な骨折を起こした骨粗しょう症の患者さんには、血液中にホモシステインが多くみられます。
つまり、ホモシステインは、骨(骨粗しょう症)と血管(動脈硬化)の両方のリスクを高める物質なのです。このことから、骨粗しょう症の人は動脈硬化に、また、動脈硬化の人は骨粗しょう症にも注意が必要だということが言えます。

(※3)東京慈恵会医科大学整形外科・斎藤允氏らの研究による。

(※4)動脈硬化の原因の1つにコレステロールがあります。しかし、コレステロール値がそれほど高くないのに、動脈硬化を起こす人が少なくないことから、ほかの原因物質についての研究が進められ、その結果、判明したのがホモシステインです。心筋梗塞の患者が多いアメリカでは最近、「血液中のホモシステインの増加が悪玉コレステロール(LDL)と相乗的に作用し、心筋梗塞などのリスクを高める」という考え方が有力となっています。

ビタミン類で積極的に予防しよう

骨粗しょう症の予防や改善のために、次の2点を心掛けましょう。

(1)カルシウムを十分に取って、骨量(骨密度)を増やす。
(2)ビタミンB6、B12、葉酸(B9)をしっかり取って、骨質を高める。

このうちカルシウムは、体内への吸収率があまりよくない栄養素です。食品の中では、牛乳が最も吸収率が高いのですが、苦手という人は小魚を積極的に食べるようにしましょう。またビタミンDと一緒に取ると吸収率が高まりますが、ビタミンDは取りすぎると副作用もあるので、サプリメントの場合は適量を守ることが大切です(食品から取る場合は多すぎることはほとんどありません)。
また、骨質を高めるには、ホモシステインを減らし、骨コラーゲンの悪玉架橋をつくらないようにすることが大切です。ビタミンB6、B12、葉酸には、その効果があります。
ビタミンB6は、レバーやマグロ(赤身)、ニンニク、ゴマなどに、B12はサンマ、レバー、しじみなどの貝類に、葉酸はノリや緑茶、枝豆、モロヘイヤなどに多く含まれています。ビタミンB類は一般に、一緒に取ると相乗効果があるので、こうした食品をバランスよく食べるようにしましょう。
さらに、最近の厚生労働省研究班の調査では、ビタミンB6やB12、葉酸を十分に取ることが、心筋梗塞のリスクを37~48%減らすという報告もみられます(※5)。骨を強くするだけでなく、動脈硬化や心臓病のリスクを下げるためにも、これらの栄養素をきちんと取ることが大切です。
ビタミンB類は水溶性なので、サプリメントで多めに取っても、尿と一緒に排出され、副作用はほとんどありません。ただし、ビタミンB6にはパーキンソン病の薬の働きを弱める作用もあるので、治療中の方は医師に相談してください。

(※5)厚生労働省研究班によるコホート調査(2008年5月発表)。40~59歳の男女4万人を対象にした、11年に及ぶ追跡調査による。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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