vol.74 「夏型肺炎」に気をつけよう
はじめよう!
ヘルシーライフ
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夏型肺炎とは
夏になるとよく風邪をひく、咳がいつまでも出る…もしそんな症状があったら、夏型肺炎(夏型過敏性肺炎)かもしれません。
肺炎といえば、冬に多いというイメージがありますが、最近増えているのが夏型肺炎です。主な症状は、咳と発熱、それにだるさ。
風邪とよく似た症状なので、ほとんどの人はたいした病気とは思わず、放置しがちです。病院でも風邪と診断されることが多く、抗生物質などで一時的に症状が改善されるので、治ったように思われます。
ところが翌年の夏近くになると、また咳が出はじめるのです。こうしたパターンを数年くり返すうち、慢性化して肺の機能が次第に弱り、ちょっとしたことで息切れを起こすようになります。さらに悪化すると肺が萎縮し、酸素交換がうまくできなくなって息苦しくなり、ときには呼吸不全から危険な状態にもなりかねません。
普通の風邪と違って、夏型肺炎はなぜしつこくくり返すのでしょうか。それは原因物質に理由があります。
夏型肺炎は、アレルギーによる過敏性肺炎の一つです(※1)。過敏性肺炎には何十種類ものタイプがありますが、その4分の3を占めるのが夏型肺炎で、原因はなんと室内のカビの一種(トリコスポロン)なのです。発症すると、このカビの胞子を吸い込むたびに、咳などの症状がくり返し起こるのです。
初めて夏型肺炎を発症した人は、夏の終わり頃に咳や熱(38度前後)が出やすい傾向がみられます。それが急性の夏型肺炎の段階です。しかし、この段階ではX線検査では影が出にくく、見過ごされることも少なくありません。
慢性化すると、熱は微熱程度で、咳だけが残るケースが多くなります。そのため今度は、ぜんそくなどと間違えることもあります。
したがって、夏になると毎年風邪をひく、咳が出るという人は、呼吸器科などの専門医に、一度きちんと調べてもらったほうがいいでしょう。
肺炎といえば、冬に多いというイメージがありますが、最近増えているのが夏型肺炎です。主な症状は、咳と発熱、それにだるさ。
風邪とよく似た症状なので、ほとんどの人はたいした病気とは思わず、放置しがちです。病院でも風邪と診断されることが多く、抗生物質などで一時的に症状が改善されるので、治ったように思われます。
ところが翌年の夏近くになると、また咳が出はじめるのです。こうしたパターンを数年くり返すうち、慢性化して肺の機能が次第に弱り、ちょっとしたことで息切れを起こすようになります。さらに悪化すると肺が萎縮し、酸素交換がうまくできなくなって息苦しくなり、ときには呼吸不全から危険な状態にもなりかねません。
普通の風邪と違って、夏型肺炎はなぜしつこくくり返すのでしょうか。それは原因物質に理由があります。
夏型肺炎は、アレルギーによる過敏性肺炎の一つです(※1)。過敏性肺炎には何十種類ものタイプがありますが、その4分の3を占めるのが夏型肺炎で、原因はなんと室内のカビの一種(トリコスポロン)なのです。発症すると、このカビの胞子を吸い込むたびに、咳などの症状がくり返し起こるのです。
初めて夏型肺炎を発症した人は、夏の終わり頃に咳や熱(38度前後)が出やすい傾向がみられます。それが急性の夏型肺炎の段階です。しかし、この段階ではX線検査では影が出にくく、見過ごされることも少なくありません。
慢性化すると、熱は微熱程度で、咳だけが残るケースが多くなります。そのため今度は、ぜんそくなどと間違えることもあります。
したがって、夏になると毎年風邪をひく、咳が出るという人は、呼吸器科などの専門医に、一度きちんと調べてもらったほうがいいでしょう。
(※1)カビが原因となる肺炎には、アレルギーによる過敏性タイプと、カビの菌が肺のなかで増殖してしまうタイプとがあります。アレルギーを起こすカビにもさまざまな種類がありますが、夏型肺炎にはトリコスポロンの一種のアサヒが関係していて、その微小な胞子をくり返し吸い込むことでアレルギーを起こすようになります。
夏型肺炎とカビの特徴
夏型肺炎は、症状が風邪とよく似ていますが、一つだけ私たちにも分かりやすい特徴があります。原因が自宅のカビなので、自宅を離れると症状が治まってしまうことが多いのです。
例えば旅行や帰省、出張などで、自宅以外の場所(ホテルなど)に数日間滞在したときは、咳がほとんど出ません。ところが自宅に戻ったら、また症状が出るようになります。勤めている人の場合は、職場にいるときは調子がいいのに、帰宅すると咳が出るケースもみられます。こうした場合には、夏型肺炎の可能性が高いといえるでしょう。
ただし、慢性化して肺の機能が弱ってくると、抗原となるカビがなくても咳が出やすくなってきます。できるだけ初期の段階で、旅行中などに症状が軽くなるかどうかを観察し、夏型肺炎の可能性がある場合は早めに受診しましょう。
原因となるトリコスポロンというカビは、温度が20℃以上、湿度が60%以上になると活動をはじめ、高温多湿になるほど繁殖し、胞子をたくさん飛ばします。そのため真夏を中心にして6月から9月くらいにかけてが、特に注意を必要とする時期です(※2)。
また繁殖しやすい場所は本来、古くなった木や畳、カーペットなどで、そのため古い住宅に多くみられました。
ところが最近は、マンションの気密性の高さが、カビの繁殖に適した室内環境をつくる要因となっています。とくに風通しが悪く、湿度が高くなりやすい場所は要注意。たとえばキッチンの流しの周辺、洗面所やバスルームと脱衣所、洗濯機置き場近くの床、北側の押入れや窓のサッシ回りなどはチェックが必要です。
エアコンの内部が、トリコスポロンの繁殖場所となることもあります。エアコンを一年中使用する家庭では、室内の条件(温度、湿度)がカビに向いていると、季節に関係なくほぼ一年中、注意が必要となることもあります。
例えば旅行や帰省、出張などで、自宅以外の場所(ホテルなど)に数日間滞在したときは、咳がほとんど出ません。ところが自宅に戻ったら、また症状が出るようになります。勤めている人の場合は、職場にいるときは調子がいいのに、帰宅すると咳が出るケースもみられます。こうした場合には、夏型肺炎の可能性が高いといえるでしょう。
ただし、慢性化して肺の機能が弱ってくると、抗原となるカビがなくても咳が出やすくなってきます。できるだけ初期の段階で、旅行中などに症状が軽くなるかどうかを観察し、夏型肺炎の可能性がある場合は早めに受診しましょう。
原因となるトリコスポロンというカビは、温度が20℃以上、湿度が60%以上になると活動をはじめ、高温多湿になるほど繁殖し、胞子をたくさん飛ばします。そのため真夏を中心にして6月から9月くらいにかけてが、特に注意を必要とする時期です(※2)。
また繁殖しやすい場所は本来、古くなった木や畳、カーペットなどで、そのため古い住宅に多くみられました。
ところが最近は、マンションの気密性の高さが、カビの繁殖に適した室内環境をつくる要因となっています。とくに風通しが悪く、湿度が高くなりやすい場所は要注意。たとえばキッチンの流しの周辺、洗面所やバスルームと脱衣所、洗濯機置き場近くの床、北側の押入れや窓のサッシ回りなどはチェックが必要です。
エアコンの内部が、トリコスポロンの繁殖場所となることもあります。エアコンを一年中使用する家庭では、室内の条件(温度、湿度)がカビに向いていると、季節に関係なくほぼ一年中、注意が必要となることもあります。
(※2)従来、梅雨のない北海道や寒冷な東北地方では、トリコスポロンが繁殖しにくいため、夏型肺炎はほとんどみられませんでした。しかし、近年は温暖化による気候の変化や気密性の高いマンションが増えているため、注意が必要です。
カビの除去と掃除で予防を
夏型肺炎がやっかいなのは、自宅にトリコスポロンが繁殖しているかぎり、症状をくり返すことです。咳がひどいと体力を消耗するので、病院で薬をもらって症状を軽減することも必要ですが、実はそれだけでは治ったことになりません。
いちばん効果的な治療法は、転居して清潔な住宅に移ること。あるいは、カビが繁殖している場所をすべてリフォームすることです(症状がひどい場合などは、医師の指導で転居が必要となることもあります)。
でも咳がときどき出る程度だと、現実には転居やリフォームもなかなかしにくいでしょう。
そこでまずカビを除去し、ふたたび繁殖しない環境をつくるように心がけましょう(※3)。水洗いできる場所は、通常のカビ取り剤などで除去し、乾いてから消毒用アルコールを塗っておくと、カビが生えにくくなります。
腐っている木部は表面だけカビの処理をしても、また出てきます。その部分を、新しい木に替えてしまう方が効果的です。畳も、内部にカビが入り込んでいるので、その畳を替えるようにします。
キッチンや洗面所などの水回りは、カビを除去したら、日ごろから水はねをふき取り、湿気を防ぐことが大切です。水はね用の雑巾(古いタオル)を近くに置いておき、家族みんなが協力してこまめにふき取るようにしましょう。
バスルームは、入浴後に壁などの湿気をふき取るだけで、カビの発生をおさえることができます。
カーテンに隠れた窓辺も、カビが発生しやすいので、ホコリや汚れをためないように、こまめに掃除します。
エアコンも週に一度は掃除することが大切ですが、季節の変わり目でしばらく使わないときは、最後の日に送風運転などで内部を乾燥させると、カビが生えにくくなります。ただし、すでにカビが発生していると思われる場合(エアコンをつけると咳き込むなど)は、専門の業者などに依頼して掃除してもらった方がいいでしょう。
またエアコンをつけているときは窓を開けない人が多いのですが、エアコンは室内の空気を循環させているだけなので、換気にはなりません。ときどき窓を開けて風を通し、カビの胞子などを外に出すことも大切です。
咳がひどく出る人は、夏型肺炎がすでに慢性化して、肺機能が弱っている可能性があります。早めに受診し、検査を受けるようにしましょう。特にタバコを喫う人の場合は、夏型肺炎の悪化が早い傾向があるので、禁煙することが大切です(※4)。
いちばん効果的な治療法は、転居して清潔な住宅に移ること。あるいは、カビが繁殖している場所をすべてリフォームすることです(症状がひどい場合などは、医師の指導で転居が必要となることもあります)。
でも咳がときどき出る程度だと、現実には転居やリフォームもなかなかしにくいでしょう。
そこでまずカビを除去し、ふたたび繁殖しない環境をつくるように心がけましょう(※3)。水洗いできる場所は、通常のカビ取り剤などで除去し、乾いてから消毒用アルコールを塗っておくと、カビが生えにくくなります。
腐っている木部は表面だけカビの処理をしても、また出てきます。その部分を、新しい木に替えてしまう方が効果的です。畳も、内部にカビが入り込んでいるので、その畳を替えるようにします。
キッチンや洗面所などの水回りは、カビを除去したら、日ごろから水はねをふき取り、湿気を防ぐことが大切です。水はね用の雑巾(古いタオル)を近くに置いておき、家族みんなが協力してこまめにふき取るようにしましょう。
バスルームは、入浴後に壁などの湿気をふき取るだけで、カビの発生をおさえることができます。
カーテンに隠れた窓辺も、カビが発生しやすいので、ホコリや汚れをためないように、こまめに掃除します。
エアコンも週に一度は掃除することが大切ですが、季節の変わり目でしばらく使わないときは、最後の日に送風運転などで内部を乾燥させると、カビが生えにくくなります。ただし、すでにカビが発生していると思われる場合(エアコンをつけると咳き込むなど)は、専門の業者などに依頼して掃除してもらった方がいいでしょう。
またエアコンをつけているときは窓を開けない人が多いのですが、エアコンは室内の空気を循環させているだけなので、換気にはなりません。ときどき窓を開けて風を通し、カビの胞子などを外に出すことも大切です。
咳がひどく出る人は、夏型肺炎がすでに慢性化して、肺機能が弱っている可能性があります。早めに受診し、検査を受けるようにしましょう。特にタバコを喫う人の場合は、夏型肺炎の悪化が早い傾向があるので、禁煙することが大切です(※4)。
(※3)カビには多くの種類があり、トリコスポロンかどうか見分けるのは困難ですが、一般にどんなカビでも、健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、区別せず除去するようにします。
(※4)喫煙者の場合は、夏型肺炎になるといきなり慢性化の症状があらわれ、咳が続き、息切れを起こすような状態になることがあります。
※このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。