2010.06.10

vol.84 発汗トレーニングで夏バテを防ぐ

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汗も トシをとる

Vol.84 発汗トレーニングで夏バテを防ぐ 汗もトシをとる…そんなふうに感じたことはありませんか。若いころは大汗をかいてもあまり気にならなかったのに、中高年になると汗がベタベタして気持ちよくない。そう感じている方は少なくありません。あるいは急に大汗が出たり、反対に汗をかかなくなった、という方もいるでしょう。
こうした汗の変化は、加齢や運動不足などにともなう発汗機能と体温調節機能の低下によって起こります。
たとえば、ベタベタの汗。若いころの汗は、サラサラしていて乾きやすいのが特徴です。ところが、汗腺の機能が弱ってうまく発汗できなくなると、水分だけでなく、血液中にふくまれるナトリウム(塩分)などのミネラルが一緒に排出されてしまいます(※1)。
それがベタベタの主な原因ですが、ミネラルをふくむ汗は乾きにくいため、いつまでも不快で汗臭く感じます。また、汗にはもともと体温調節の役割がありますが、乾きにくい汗だとからだをうまく冷やすこともできません。
さらに、ミネラルは心臓の働きを調整したり、血液や骨、筋肉をつくったり、免疫機能・運動機能・生殖機能を助けるといった、重要な代謝機能を数多く受け持っています。そのためミネラルが不足すると、からだのあちこちがエネルギー不足状態になり、うまく機能しなくなります。
こうした諸条件が重なり、体内のエネルギー効率が低下し、体力を消耗し、夏バテ状態を起こしやすくなるのです。
たかが汗、と思うかもしれません。でも、毎年夏バテしやすい方は、自分の汗について一度見直してみましょう。

(※1)汗腺には、わきの下などに多いアポクリン腺と、ほぼ全身に分布しているエクリン腺があります。体温調節に大きな影響をもっているのはエクリン腺です。

一度に大汗をかくとミネラル不足に

エアコンでからだが冷えきってしまうと、そのあと炎暑の街に出ても、なかなか汗をかかないことがあります。それはからだが冷えたとき、汗腺が休んだ状態になってしまうためです。ところがしばらくすると、一気に汗が吹き出てきます。
中高年になって発汗機能が低下すると、それと似たことが起こります。ふだんはあまり汗をかかなくなっているのに、ちょっと急ぎ足で歩いたり、からだを動かしたりすると、ドッと汗が吹き出すのです。
なぜそんな状態が起こるのでしょうか。炎暑の街に出たり急ぎ足で歩いたりすると、体温が上昇します。健康なときはそれに反応して汗が少しずつ出て、体温を調節してくれます。ところが、発汗機能が低下して汗が出ないと、脳がからだの危険を感知して、肌に近い毛細血管を広げて体温を調節しようとします。その結果、一気に大量の、しかも大粒の汗が出るのです。
ふつうの汗には、ナトリウムが0.65%程度ふくまれています。ところが大汗をかいたときには、ナトリウム濃度が急上昇します。また、汗腺には、汗にふくまれるナトリウムなどのミネラルを再吸収する機能が備わっています。ところが、一度に大量の汗をかくと、ミネラルの再吸収が追いつかず、一緒に排出されてしまいます。
この場合の汗もベタベタした、いわゆる「悪い汗」といわれるものです。それだけでなく、大汗をかくと血液がドロドロ状態になり、めまいを起こしたり、倦怠感を感じたり、ときには脳卒中や心筋梗塞などをまねくことにもなりかねません。
反対に高齢者の場合には、発汗機能だけでなく外気温を感知する機能も低下していることがあり、気温・体温ともに上昇しても汗をかけなくなることがあります。すると体内に熱がこもった状態になり、室内にいながら気づかないうちに熱中症を起こし、危険な状態になります。
高齢の方は、ノドの渇きとは関係なく、1時間に一度程度は水分を補給し、1日1回は梅干や塩コブなどでナトリウムを補給しましょう。

軽い運動で発汗機能を高める

私たちのからだには200万個~500万個もの汗腺がありますが、通常働いているのはその半数程度です。汗を出す汗腺を「能動汗腺」といいますが、その数は幼児期にほぼ決まってしまい、増加することはありません(※2)。
そのため汗を上手にかくには、もともとある能動汗腺の働きを改善し、発汗機能を高めてやることが大切です。その方法が、発汗トレーニングとか汗腺トレーニングと呼ばれるものです。
気温が上がり、汗をかくようになる季節から始めると、夏バテの予防にもなるので試してみましょう。

<軽い運動で発汗機能を高める>

発汗機能を高めるもっとも良い方法は、軽い運動を続けること。とくに、有酸素運動をすると、手足など末端の血行もよくなり、自然に発汗をうながすことができます。
肌が汗ばむ程度を目標に、ウォーキングや自転車こぎのような軽い運動をします。無理をせず、最初は近所へ買い物がてらの10分程度のウォーキングでもいいので続けましょう。体温がゆるやかに上昇し、汗が少しずつ出る運動を続けることで、能動汗腺が刺激されます。
ただし暑い季節には、炎天下での運動は厳禁です。早朝か夕方~夜間にかけて運動をしましょう。運動時には、少量ずつでもミネラルが失われるので、かならずスポーツドリンクなどミネラルをふくむ水分を補給してください。
高齢で体力が低下している方の場合には、室内でストレッチ(手足や関節を伸ばす)や軽い屈伸運動程度でもかまいません。ストレッチは血行をよくし、屈伸運動は筋肉を維持して基礎代謝量の増加につながり、それだけ汗をかきやすくなります。エアコンをきり、軽く息がはずむ程度を目標にしましょう。
ただし、高血圧気味の方は医師に相談してから運動を始めてください。

(※2)能動汗腺の数は一般に暑い地域の人ほど多く、平均するとロシア人で180万個、日本人で230万個、フィリピン人で280万個程度です。ただし、個人差も大きく、幼児期に数がほぼ決まるので、小さいときからエアコン生活をさせると能動汗腺が発達しにくいといわれています。

入浴や食事で発汗機能を改善する

<入浴後はエアコンを使わない>

暑い季節にはシャワーが気持ちいいのですが、発汗機能を高めるには入浴のほうが効果的です。腰くらいまで入れたぬるめのお湯にゆっくりつかると、汗がじっとり出てきます。そのあとでシャワーを浴びると、さっぱりします。
さて、問題はここからです。夏には入浴後に、裸でエアコンの風にあたる人が多いのですが、それは禁物。せっかく開いた汗腺が閉じて、休んでしまうからです。
汗がなかなか引かない場合でも、タオルでこまめにおさえたり(肌をごしごしこすると、表皮を荒らすのでやめましょう)、ウチワであおぐ程度にします。なれないうちはちょっと不快に感じるかもしれませんが、発汗機能を高めるトレーニングであることを忘れずに。
また、顔や頭、首などに大汗をかきやすい人には、反対に下半身(とくに足)が冷えやすい人が少なくありません。こうした場合にも、半身浴や足湯が効果的とされているので試してみましょう。

<大豆食品を積極的にとる>

食事面では、豆腐や納豆などの大豆食品を多くとることが大切。大豆にふくまれるイソフラボンには、発汗を調節する働きがあります。更年期障害の症状の一つで大汗が出る「ホットフラッシュ」にも効果があります(※3)。
やはり大豆に多くふくまれるレシチンは、食事からとったタンパク質や脂肪をエネルギーに変えるときに必要となる物質です。レシチンが不足するとエネルギー効率が低下し、汗をかきにくくなり、疲労しやすくなります。夏バテ予防にも大切な成分です。

(※3)ホットフラッシュは、体温調節機能をもつ女性ホルモンの減少が原因で起こります。イソフラボンは女性ホルモンに似た作用をもつことから、ホットフラッシュなどに効果があるとされています。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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