2004.03.10

vol.9 アンチエイジングで生活習慣病を予防する

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アンチエイジングって何?

Vol.9 アンチエイジングで生活習慣病を予防する 最近アンチエイジングという言葉をよく見聞きします。これは、抗老化、抗加齢…つまり、老化や加齢にともなう衰えを防ぐという意味です。美容の世界では、肌のしみやしわ、たるみを解消する若返り法をアンチエイジングと呼んでいますが、女性たちの関心も高いようです。
しかし、アンチエイジングが必要なのは、肌や髪といった見える部分にだけではありません。むしろ血管や内臓、筋肉、骨、神経、ホルモンといった体内の器官や機能の老化のほうが、ずっと問題だといえるでしょう。それは、高血圧や糖尿病、高脂血症、がん、骨粗しょう症など多くの生活習慣病に直結するものだからです。
老化はだれの身にも起こることで、それを止めることはできません。しかし老化の速度は、人によってかなりの違いがあります。生活習慣病にしても、かかりやすい人とそうでない人がいます。そうした違いが生じる要因として、「ホルモンの減少」と「活性酸素の増加」の2つが注目されています。

ホルモンの減少と老化

老化に関係するホルモンはたくさんあるといわれていますが、その働きが比較的わかっているのは成長ホルモン(HGH)と老化防止ホルモン(DHEA)です。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌され、その名のとおり子どもの成長には欠かせないものです。それだけでなく成人にとっても、老化し傷ついた細胞を修復・再生する重要な役割があります。
もうひとつの老化防止ホルモンは副腎から分泌され、男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)になるものです。その働きにはまだ不明の部分もありますが、エネルギー生産を高め、ストレスホルモンの働きを抑えて免疫力を向上させ、老化にともなう諸症状(がん、心臓病、アルツハイマー病など)の発症を抑えるといわれています。
どちらのホルモンも10代後半から20代前半に分泌量がピークとなり、その後は年齢とともに減少していきます。
成長ホルモンが減少すると、次第に疲労からの回復が遅くなり、筋肉量・骨量の低下、肌の衰えなどが目立つようになります。
老化防止ホルモンが減少すると、さまざまな新陳代謝に影響を及ぼし、免疫力の低下や血管の老化、細胞の酸化促進、インスリンの働きの悪化などを招く原因となります
(*1)。
そのためこの2つのホルモンの減少を遅らせることが、老化速度を抑えるひとつのポイントとされています。

(*1)高血圧や糖尿病の人には、老化防止ホルモンの減少が目立つといわれています。ただし、老化防止ホルモンが過剰になったときの副作用には不明の部分が多いので、自己判断でサプリメントなどによる大量摂取はしないほうがよいでしょう。

活性酸素の増加と老化

もうひとつの老化促進要因が、活性酸素の増加です。体内で活性酸素が増加すると、細胞を酸化させ、血管や内臓などの老化現象を引き起こします。動脈硬化やがんをはじめ、多くの生活習慣病の原因に、活性酸素が関係しています。
たとえば活性酸素は、細胞内のミトコンドリアというエネルギーを生み出す器官で非常に多く発生します。このミトコンドリアが老化(酸化)すると、糖からエネルギーを生み出す働きが衰え、糖尿病になりやすいことがわかっています。
また活性酸素は、遺伝子にも障害を与えます。その結果、遺伝子にあらかじめ組み込まれたプログラムにエラーを発生させ、それが老化促進の一因になるともいわれています。
そのため活性酸素の増加を抑えることも、アンチエイジングの重要なポイントだといえます(活性酸素の詳細については、バックナンバーのVol.2「活性酸素を減らす生活術」もご覧ください)。

アンチエイジングの生活術

老化にともなう生活習慣病を予防するアンチエイジングは、「食事の改善、生活習慣の改善、運動、脳の活性化」の4本の柱が中心となります。

●食事の改善

老化速度を抑える食事法として注目されているのが、「カロリー制限」です。満腹時の摂取カロリーを100とすると、その70%程度に制限すると老化速度が遅くなり寿命も延びることが、いくつかの動物試験からわかってきました(*2)。その理由として、肥満を解消することで成長ホルモンなどの分泌がよくなり、またカロリー制限にともなう食事量の減少が活性酸素の発生量を減らすことなどがあげられています。
昔の人は「腹八分目に医者いらず」といいましたが、まさに「腹七分目」が理想的ということになります。ただし、栄養バランスには十分に気をつける必要があります。

(*2)アメリカのカリフォルニア大学リバーサイド校スティーブン・スピンドラー教授らの試験をはじめ、いくつかの研究機関で同様の結果が報告されています。寿命が延びるプロセスとして、カロリー制限によってコレステロール値や中性脂肪値、血糖値、血圧などが改善されることも指摘されています。これは人間の場合も同様と考えられています。

●生活習慣の改善

ホルモンの減少や活性酸素の増加は、食事以外の生活習慣にも影響されています。その典型がストレス、睡眠時間、喫煙などです。
たとえばストレスが加わると、成長ホルモンや女性ホルモンの働きが悪化し、活性酸素も発生しやすくなります。また、成長ホルモンは夜間の睡眠中に多く分泌されるため、夜更かしをすると分泌量も減少してしまいます。さらに喫煙は女性ホルモンの分泌を抑え、活性酸素の発生を促進することが知られています。したがって生活習慣の改善は、アンチエイジングの重要なポイントとなります。

●運動

老化速度を抑えるためには、有酸素運動と筋力アップ運動を組み合わせることが効果的です。有酸素運動は、血管や循環器、呼吸器などの機能を高め、筋力アップ運動は基礎代謝を高め、筋肉や骨を丈夫にするからです。
有酸素運動の代表的なものには、ウォーキングやジョギングなどがあり、筋力アップ運動には、筋力トレーニングやダンベル、マシン運動などがあります。 筋肉のなかでもとくに老化と密接な関係にあるのが、背骨と大腿骨をつなぐ大腰筋です。大腰筋を鍛えると、姿勢がよくなり、歩行や日常の動作もスムーズになり、高齢者の寝たきりを防ぐのにも役立ちます(*3)。

(*3)大腰筋は、ゆっくりとした屈伸運動やスローピング(階段昇降)でも鍛えることができます。大腰筋の重要性は、筑波大学講師・久野譜也氏によって提唱されています。具体的なトレーニング法は、同氏の著書『大腰筋トレーニング&ダイエット』主婦と生活社、『50歳からの若返り筋トレ』日本放送出版協会などをご参照ください。

●脳の活性化

私たちの脳は、使わないでいると神経細胞が急速に減少し、老化が促進されます。反対によく使うと神経細胞の減少が抑えられ、そればかりか神経細胞の接点であるシナプスが強化されて、どんどん活性化されます。
中高年になると、新しいことに取り組む意欲がなくなりがちですが、実は脳はまだ余力をもっていて、刺激を受けると活性化されるのです。たとえば江戸時代に日本地図を制作した伊能忠敬は、隠居後の50歳から江戸に出て天文学や数学を学び、55歳から地図作成のための測量の旅を始めています。伊能忠敬が特別なわけではなく、個人差はあるものの脳にはそうした奥深い面があるのです。
脳は、人に会ったり、趣味に夢中になったり、運動をしたり、新しい勉強を始めたりと、さまざまな刺激を受けることによって活性化されます。自分に合った脳の活性化法を見つけることが、アンチエイジングのひとつのポイントだといえます。
脳が活性化されると、痴呆症の予防になるだけでなく、自律神経やホルモンの働きもよくなるので、体全体の老化を抑えることにもつながります。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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