vol.137 CMなどで「糖の代謝を高める~」「代謝を上げる~」などの言葉をよく聞きますが、「代謝」とは具体的にはどのようなことなのでしょうか?
生活習慣病Q&A
- CMなどで「糖の代謝を高める~」「代謝を上げる~」などの言葉をよく聞きますが、「代謝」とは具体的にはどのようなことなのでしょうか?
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「糖の代謝」とは<糖質の代謝>のこと、「代謝を上げる~」の代謝とは<基礎代謝>のことを示しています。代謝とは、薬や食物などを体内で分解したり、他のものへ合成したりする働きのことです。糖の代謝とは、食事から摂取した糖質が分解され、血液中でブドウ糖となってエネルギーとして利用されたり、余分な糖は脂肪やグリコーゲンとして貯蔵される仕組みのことをいいます。
糖の代謝には、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが大きな役割を担っています。インスリン分泌が不足したり、インスリンの働きが悪くなると、糖の代謝に異常をきたし、血液中にブドウ糖が異常に増えてきます。この状態が慢性化した疾患が、糖尿病という病気です。したがって、「糖の代謝を高める~」という表現よりは、「鈍っていた糖の代謝を正常に戻す」といった表現の方が正しいと思います。
一方、「代謝を上げる~」の代謝とは基礎代謝のことを指しています。基礎代謝とは、生命活動を維持するための最低限の生体活動に必要なカロリーで、成人女性では1日あたり1,200kcal、成人男性では1,500kcal程度です。基礎代謝は年齢とともに低下しますが、それには筋肉量や自律神経活動が大きく関係しています。筋力トレーニングなどの運動を取り入れることによって除脂肪体重(全体重から体脂肪の重量を除いた体重)が1kg増加すると、基礎代謝が50kcal程度増えることがわかっています。
基礎代謝を増やすためには、筋トレを生活に取り入れてみてはいかがでしょう。また、普段の移動でもエレベーターやエスカレーターではなく、階段を利用することも効果的です。
先生のプロフィール

坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌