vol.163 運動不足は、糖尿病の発症に関係するのでしょうか?

生活習慣病Q&A
運動不足は、糖尿病の発症に関係するのでしょうか?
はい。運動不足は糖尿病発症と密接に関係します。
日本では、近年、糖尿病が増えているといわれていますが、その原因のひとつとして運動不足が考えられています。
これには歩行やスポーツなどの運動の他に、日常での生活活動も含まれた身体活動量の低下も糖尿病の発症に密接に関連しています。あまり動いていない人に比べると、よく動いている人は35%糖尿病になりにくいといわれています。余暇や通勤などで歩くかどうかも重要です。通勤で片道10分未満しか歩かない人に比べると、20分より多く歩く人は糖尿病になるリスクが30%ほど低くなります。
また、歩く速さによっても糖尿病の発症率は異なります。時速3.2km/時以下の人に比べると、時速4.8km/時の人は糖尿病の発症リスクは4割ほど低くなります。ちなみに、時速4.8km/時は不動産広告の「駅から徒歩○分」と同じ程度の速度に相当します。スクワット、腕立て伏せ、腹筋など筋トレをする人も糖尿病の発症リスクが低くなります。家の中での過ごし方も大切です。例えば、テレビの視聴時間は身体不活動の指標ですが、テレビの視聴時間が長い人は糖尿病の発症リスクが高まります。運動不足は、糖尿病の発症に密接に関係しているわけですね。

それでは、どのくらい運動すればいいのでしょうか? 運動は週当たりで考えます。1週間に速歩などの運動を合計150分以上することが目標となります。週に150分ということは、1回30分の運動を週に5回、あるいは1回30分以上の運動を週に5回という計算になります。そんなに運動する時間がとれないという人は1回10分の運動を1日に3回すれば、合計で30分になります。それを週に5日すれば、目標は達成です。
皆さんも、糖尿病予防のために何か運動に取り組んでみてはいかがでしょうか。

先生のプロフィール

坂根 直樹先生

坂根 直樹 先生

独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
略歴
昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長
ご専門
糖尿病、糖尿病教育、内分泌

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