vol.165 糖尿病による死亡率に地域差はありますか?
生活習慣病Q&A
- 糖尿病による死亡率に地域差はありますか?
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都道府県別の糖尿病による死亡率をみると、地域による差がみとめられます。厚生労働省発表の「平成27年人口動態統計月報年報」によると、糖尿病の死亡率(人口10万人対)は全国平均が10.6%であり、ワースト1位は「青森県(18.2%)」で、2位「秋田県(16.3%)」、3位「香川県(16.1%)」、4位「鹿児島県(15.0%)」、5位「徳島県(14.9%)」の順となっています。逆に、最も糖尿病の死亡率が少ないのは「神奈川県(7.2%)」でした。
こうした地域による差を説明する要因として、地域における生活習慣の違い(野菜をあまり食べない、甘い物が好き、車社会で歩かない、など)、地域における糖尿病に対する認識の違い(糖尿病は怖い病気、自覚症状がないので大丈夫、合併症が出たら医療機関を受診、など)、地域における糖尿病対策の違い(糖尿病予防キャンペーン、糖尿病予防教室、など)などによって生じると考えられます。
青森県が行った糖尿病に関する調査によると、「他都道府県に比べ、糖尿病が重症化してはじめて生活習慣の改善や情報収集に取り組む例が多い」、「糖尿病が重症化してはじめて治療する人が多い」、「網膜症、腎症、神経障害を合併している割合も、他地域と比べて高い」といった特徴が認められたそうです。さらに青森県保険医協会が実施した受診実態調査では、金銭面を理由に糖尿病の治療を中断する人も多く認められています。
逆に、糖尿病による死亡者数が一番少ない神奈川県では、薬局などで「糖尿病連携手帳」という複数の医療機関(かかりつけ医、専門医、歯科医、眼科医など)を受診する際の連携に役立つ手帳が配布されていたり、糖尿病予備群と指摘された人たちに対し、早期から食事指導などを行うといった取り組みが行われています。
地域によって、食事や生活パターンは異なります。地域にあった糖尿病予防を目指した取り組みができるようになるといいですね。
先生のプロフィール

坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌