vol.43 妻から、寝ているときにいびきがとまっていると指摘されました。これは何かの病気なのでしょうか。

生活習慣病Q&A
妻から、寝ているときにいびきがとまっていると指摘されました。これは何かの病気なのでしょうか。
いびきとともに呼吸も止まることが一晩に頻繁に起こる場合、睡眠時無呼吸症候群である可能性があります。病院で医師に相談しましょう。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こる病気です。十分な睡眠が取れないため、睡眠不足から注意力や集中力を欠き日常生活に影響を及ぼす他、心臓病などの重大な病気を合併することもあります。

睡眠時無呼吸症候群の多くは、気道の閉塞によって起こります。気道の閉塞は、肥満に伴う首周りの脂肪沈着、扁桃肥大、アルコール摂取による気道の炎症などが原因で起こります。気道が狭くなると、一晩に呼吸が止まる状態が数十回、多いときには数百回続き、体内の酸素が不足します。その結果、心臓や肺に負担がかかり、心臓病や呼吸器疾患を引き起こす可能性が高まるのです。また、日中の強い眠気は、交通事故や労働災害を引き起こす可能性もあることから、看過できない疾患です。

睡眠時無呼吸症候群発見のきっかけとなる主な症状は大きないびきとその停止です。また、息苦しさから睡眠中に手足をバタつかせたり、頻繁に体位を変えたりします。さらに、酸素不足からくる起床時の頭痛や、日中の強い眠気、睡眠不足に伴う疲労感からくるうつ症状などもみられます。これらの症状を家族から指摘されたり、起床時の症状を自身で感じたりした場合には、早めに医師に相談しましょう。

睡眠時無呼吸症候群の治療は、睡眠時の気道を確保するためのマウスピースの装着や、睡眠時に鼻から自動的に空気を送り込むマスク(CPAP:持続陽圧呼吸療法)の使用、外科手術などで行います。また、肥満の場合は体重を落とす、枕を低くする、横向きに寝る、飲酒を控えるなど、生活習慣を修正することで、症状が改善する場合もあります。

先生のプロフィール

島本 和明先生

島本 和明 先生

日本医療大学総長
略歴
昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長
ご専門
内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病

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