vol.142 「下肢静脈瘤」の最新治療

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Vol.142 「下肢静脈瘤」の最新治療

脚の血管が浮き出して見えたり、血管がボコボコに膨らんで蛇行していたり。脚の皮膚に現れるこんな症状に悩んでいませんか。血液が脚の方に溜まり、静脈が膨れて静脈瘤ができるのが下肢静脈瘤。軽症も含めると国内に4千万~5千万人の患者がいるといわれています。脚の見た目が気になってもそのまま放置されやすい病気ですが、治療法は高度に進化しています。2011年に「血管内レーザー焼灼術」という治療法が保険適用になりましたが、2014年には、新たに2種類の血管内治療が保険の適用になり、体への負担が少ない治療法が全国の医療機関で行われ始めています。

下肢静脈瘤の重症型は「伏在 (ふくざい) 型」

下肢静脈瘤の原因は、脚の静脈弁が正常に働かないことです。静脈弁によって、血液は下から上に流れるようになっています。しかし、静脈弁がうまく働かなくなると血液が逆流して脚の方にたまり、静脈が膨れて静脈瘤ができるのです。
下肢静脈瘤のタイプは、「伏在型」と「軽症型」に大きく分けられます。伏在とは血管の名称で、大伏在静脈と小伏在静脈があります。この血管のどちらか、または両方に静脈瘤ができた状態が伏在型静脈瘤で、静脈瘤の中で最も重症とされています。下肢静脈瘤の専門医で、数多くの治療実績をもつお茶の水血管外科クリニックの広川雅之院長は、「伏在型静脈瘤は、放っておくとどんどん進行します。脚がだるい、重い、むくむなどの症状があり、進行すると皮膚がただれたり、黒く変色したり、湿疹ができ、さらに放置すると皮膚の一部に穴が開く、うっ滞性潰瘍になります」と特徴を話します。

日帰りで、手術と同等の効果がある「血管内治療」

下肢静脈瘤には、「保存的治療」「硬化療法」「手術」「血管内治療」の4つの治療法があります。保存的治療は、生活習慣を見直して体操や運動、弾性ストッキングの着用などで治療します。硬化療法は、薬剤を静脈に注射して血管を固めてしまう治療法です。手術としては、足のつけ根の血管を糸で縛って治す「高位(こうい)結紮術(けつさつじゅつ)」と、伏在静脈の血管内にワイヤーを入れて血管ごと引き抜く「ストリッピング手術」の2種類の治療法があります。
「血管内治療」は、手術の代わりとなる比較的新しい治療法です。2014年に保険適用になった2種類の血管内治療は、波長1470nmのレーザーとラジオ波(高周波)を使って治療します。どちらも静脈に細いカテーテル(管)を入れて、血管の中から焼いて治します。焼かれた血管は閉塞するため、手術と同じ効果があるといわれています。

最新の血管内治療について広川院長は、「レーザーは、従来の治療は正面からまっすぐ出ていましたが、新しいレーザー治療では、2カ所から360度に照射でき、血管が強く焼けたり、穴が開いたりするのを防げるようになりました。また、高周波治療も血管に穴が開きにくい。従来の治療法で問題だった手術後の痛みや皮下出血が少なくなりました」と説明します。この新しい血管内治療は、局所麻酔で行われ、日帰りが可能。治療費は3割負担で4万5千円程度だということです (2015年3月時点)。

下肢静脈瘤の「軽症型」は、見た目が問題

下肢静脈瘤の軽症型には、皮膚に赤い血管がくもの巣のように見える「くもの巣状静脈瘤」、「網目状静脈瘤」、「側枝静脈瘤」の3種類のタイプがあります。軽症型は伏在型静脈瘤と違って健康上の問題はなく、自覚症状がないことが大きな特徴です。どちらかというと見た目が問題の静脈瘤、と広川院長は言います。「脚に血管が浮き出してみっともない、スカートがはけないといったことが問題になるのがこのタイプです。下肢静脈瘤はいつ治療したらいいかとよく相談を受けますが、重症なのか軽症型かは、専門医が診察しないとわかりません。ご本人が心配になったときが、受診の一番いいタイミングです」。

立ち仕事は要注意。体操や運動で悪化を防ごう

下肢静脈瘤は中高年の女性に多い病気です。静脈弁が壊れる原因の一つは、妊娠、出産。妊娠するとホルモンの環境が変わって静脈が柔らかくなり、静脈瘤を発症しやすいといわれています。
また、下肢静脈瘤を悪化させる最大の要因は、立ち仕事です。1日8~10時間以上立っている人は注意しましょう。立ち仕事が多い方は、こまめに休憩を取る、脚を高くして休む、弾性ストッキングの着用などを心がけてください。体操や運動で脚を動かすことも大切です。軽いウォーキングやジョギング、水泳、水中ウォーキングのほかに、椅子に浅くかけて脚を前に出し、かかとをつけたままでつま先を持ち上げたり、下ろしたりしてみましょう。筋肉がポンプのように血液を心臓に送り出すので、脚のうっ血が取れます。

下肢静脈瘤の治療は、血管外科や心臓血管外科、一部の形成外科や皮膚科でも行われています。血管内治療で再発することは今のところないといわれていますが、10~15年という長い期間では再発もありえます。「下肢静脈瘤は再発しても治療が可能な病気です」と広川院長。高齢になっても下肢静脈瘤の治療は受けられるので、諦めずに医療機関に相談をすることが大切です。

監修 お茶の水血管外科クリニック 院長 広川 雅之先生

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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