心房細動の早期発見

心房細動の早期発見

オムロン ヘルスケアは脳梗塞や心不全などの「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」の実現を目指しています。脳・心血管疾患の要因として、「高血圧」や不整脈の一種である「心房細動」があげられます。私たちはこれまで、家庭での血圧測定を普及することで、脳・心血管疾患の発症、重症化予防に取り組んできました。2019年からは、ゼロイベント実現に向けて心電計付き上腕式血圧計をグローバルに展開。今後は「心房細動」の早期発見・重症化予防によるゼロイベントの実現に挑戦していきます。

「血圧測定×心電図記録」による心房細動の早期発見

心房細動は不整脈の一種で、約4割は無症状といわれています。また、心房細動は高血圧と併存しやすく、「心房細動患者の50~60%は高血圧である」「高血圧患者の10~20%は心房細動を有する」というデータもあります。そこで、血圧測定と同時に心電図を記録できる、心電計付き上腕式血圧計で心房細動の早期発見を目指します。

オムロン ヘルスケアの心電事業

高血圧患者の心房細動発症リスク

高血圧患者の心房細動検出率は約3倍

2019~2020年にかけて実施した「65歳以上の男女1,605人を対象とした心房細動記録モニター調査」では、1回の心電図記録による心房細動の検出率は全体で0.93%でした。その内訳をみると、高血圧患者の検出率は1.59%で、高血圧ではない通常の人は0.51%でした。この結果から、高血圧患者はそうでない人に比べて心房細動の検出率が約3倍高いことがわかります。

高血圧患者の心房細動発症リスク

心房細動は無症状が多く、
早期発見が難しい面も

心房細動の特徴は、気づかないうちに進行し慢性化してしまう人が多いことです。心房細動をもつ人の約4割は自覚症状が全くないといわれています。また、動悸や息切れ、めまい、疲れやすさなどの症状がある場合でも、すぐに治まってしまうなどの理由で医療機関を受診しないケースも多くあります。心房細動は短時間だけ起きて元に戻る「発作性心房細動」から始まります。そのため、年に1~2回の健康診断だけでは早期発見が難しいといわれています。

心房細動は無症状が多く、早期発見が難しい面も

家庭での心電図記録が
早期発見の助けに

2020年の「心房細動の疑いがある人を対象に行った調査」では、ホルター心電計を24時間装着したときのデータと、携帯型心電計を用いて14日間連続で心電図を記録したときのデータを比較しています。その結果、携帯型心電計を使って継続的に記録する方が「心房細動および他の不整脈について検出率が有意に上昇した」と報告されています。このことからも、定期的に家庭で心電図を記録することは、心房細動やその他不整脈の早期発見に役立つといえます。

※通常の診療では、24時間ホルターの装着は2~3日とされています。

家庭での心電図記録が早期発見の助けに

心房細動について

心房細動とは

心房細動は不整脈の一種で、心房が痙攣したように小刻みに震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気です。心臓は「洞結節(どうけっせつ)」からの電気信号によって規則正しいリズムで拍動していますが、心房細動になると洞結節以外から無秩序に電気信号が発生し、正常な拍動ができなくなります。

心房細動とは

心房細動による脳卒中リスクは約5倍

心房細動が原因で発症する「心原性脳塞栓症」は、命にかかわる重大な脳梗塞です。一命をとりとめたとしても麻痺などの後遺症が残る可能性が高くなります。心房細動の人はそうでない人と比べ、脳梗塞のリスクが約5倍高くなるというデータがあります。しかも、症状のある・なしで脳梗塞のリスクや死亡率に差はありません。

心房細動による脳卒中リスクは約5倍

受診勧奨モデルについて

日本で展開する、心電図記録による「受診勧奨モデル」について

オムロン ヘルスケアと一般社団法人スマートヘルスケア協会が共同で進めている「心房細動を早期に発見し治療につなげるための取り組み」です。

調剤薬局に心電計付き上腕式血圧計を設置し、地域住民が来局した際に心房細動の可能性を確認できます。年齢や既往歴などから心房細動の可能性が高いと思われる場合は、薬局から心電図記録を案内します。心房細動の可能性を確認すると薬剤師が受診勧奨を行い早期発見、早期治療を働きかけます。

この取り組みは、秋田県内にある調剤薬局で2022年6月から開始しており、県内の約30か所の調剤薬局に展開しています。

受診勧奨モデルについて