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vol.175 冬の「ヒートショック」を防ぐ5つの対策

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Vol.175 冬の「ヒートショック」を防ぐ5つの対策

入浴は体が温まって血行がよくなり、気分をリラックスさせてくれます。湯船につかる習慣のある日本では、浴室は日々の疲れを取り、体を癒やしてくれる場です。しかし、家庭の浴室でヒートショックによる急死が多く発生しています。ヒートショックが関連した入浴中の心肺停止者数は、気温が低下する10月ごろから増えて1月が最も多くなっています。予防対策を知って、安全で快適な入浴をしたいものです。

65歳以上の高齢者が多い

ヒートショックは、暖かい室内から寒い廊下やトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後、温かい湯船につかったりするなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで起きる健康被害です。東京都健康長寿医療センターの調査によると、2011年にヒートショックによって入浴中に死亡した人は、約1万7000人と推定され、その数は交通事故の死亡者より多くなっています。同センター循環器内科の鳥羽梓弓(あゆみ)医師は、「ヒートショックによる入浴関連死は、65歳以上が80%以上を占めており、特に75歳以上の高齢者が多くなっています。以前と比べて増えているのが現状です」と話します。

生活習慣病の人も要注意

ヒートショックに関連する主な病気は、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などが知られています。また、入浴中はのぼせや失神、不整脈などを起こしやすく、そのことが急死の原因につながっています。ヒートショックのリスクは、高齢者に限らず生活習慣病の人にもあり、注意してほしいと鳥羽医師は指摘します。「長年、糖尿病という方は、自律神経に障害があり、血圧が不安定です。浴槽から出ようと立ち上がったときに血圧がストンと下がりやすい。高血圧や脂質異常症の方では、動脈硬化が進んでいるので、血圧が変動しやすいということがあります」。鳥羽医師によると、ヒートショックによる入浴中の急死は、こうした血圧の低下や変動から意識を失い、浴槽の水を吸い込み、溺死することが大きな問題だと言います。また、体が温まることで血液の性状が変わることも原因の一つといわれています。

予防するための5つの対策

では、冬場のヒートショックを防ぐには、どのような対策が有効なのでしょうか。安全に入浴するためのポイントをご紹介しましょう。

  1. 脱衣所や浴室は暖かく、湯温は41℃以下
    脱衣所や浴室は、暖房で暖かくしたほうが血圧の変動は少ないといわれています。暖房がない場合は、浴室を開けてシャワーから浴槽にお湯をはったり、浴槽のふたを開けておいたりすると寒暖差がなくなります。また、お湯の温度は41℃以下にしましょう。
  2. 入浴時は、家族にひと声かけよう
    入浴は家族がいるときや冷え込まない日中にしましょう。入浴時は家族にひと声かけて、とくに高齢な方に対しては、5分おきに様子を見てあげましょう。「意識を失って水を吸い込んだら、5分が生死の分かれ目です。気を失ってもお風呂のふたにもたれかかって、助かることもあります。浴槽にふたを置くことも予防対策になります」(鳥羽医師)。
  3. 飲酒後の入浴は控える
    飲酒をすると血圧が下がります。入浴中も血管が拡張して血圧が下がります。飲酒後の入浴は、血圧が二重に下がりやすく危険な状態です。飲酒後の入浴は、控えるようにしましょう。
  4. 入浴前に血圧を測定
    高齢者の場合、血圧が高くて体調が悪くても気付きにくいため、入浴前に血圧を測定することは、よいことです。体調を知る目安になります。血圧が高いときは、用心してください。また、室温が低くても血圧は上がります。温度の管理も一緒に行うとよいでしょう。
  5. 若くても油断は禁物
    ヒートショックは、高齢者以外でも起きています。「救急外来に搬送された最年少は、49歳の方でした。深夜に入浴していたようです。入浴関連死が深夜から早朝にかけて多いのは、発見者がいないことが大きいと思います」(鳥羽医師)。一人暮らしの場合は、銭湯なども活用し、深夜や疲れているときは、浴槽につかる入浴は控えるようにしましょう。

入浴後の血圧変動にも注意

また、ヒートショックによる急死は、入浴中に多発していますが、入浴した後も注意が必要です。救急搬送される中には、温まった体が急に冷えて、数時間後にリビングで亡くなっていた事例もあるということです。血圧の変動は入浴後、数時間は続きます。急激な温度変化に十分に気をつけましょう。

監修 東京都健康長寿医療センター 循環器内科 医学博士 鳥羽梓弓先生

自身の「健康」についての考え方:ミュージシャン BEGIN 比嘉 栄昇さん


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