vol.195 足底腱膜炎と熱中症に気を付けよう

健康・医療トピックス

健康のためにランニングする人が増えていますが、あなたの足は大丈夫ですか。足の裏が痛いのに我慢して走っていませんか。足底腱膜炎は足の底を支えている腱膜が痛む障害で、走り過ぎが原因で起きます。ランニングの後、足のケアをしていない人が多いようです。暑い時期に増える熱中症とともに、足の裏に起きやすいトラブルに注意しましょう。

vol.195 足底腱膜炎と熱中症に気を付けよう

足底腱膜炎とは

足の裏には、足のアーチを支えている腱膜があります。足底腱膜炎はランニングなどで足の裏を使い過ぎて、慢性の炎症が起きた状態です。スポーツ障害に詳しい杏林大学医学部付属病院 整形外科の林光俊医師は「走れないほどの急なけがだったら本人がやめるのですが、なんとなく走れてしまう程度で徐々に痛む障害は、本人には分かりにくく厄介です。日々の疲労の積み重ねや、長年走ったことによるオーバーワークによって炎症が少しずつ起きています」と話します。

足底腱膜炎を予防するアフターケア

足底腱膜炎は、ランナーの下半身が硬いことが要因の一つです。下半身が疲労し、全身のバランスに影響しています。「ランニングは足の裏だけで走っているわけではないので、硬いのはどこなのか、下半身の前後、左右なのか? そのことをよく理解して自分でストレッチをしてほしいです。また、走った後、低周波での筋肉刺激もセルフケアの有効な方法だと思います」と林医師はアドバイスします。使い過ぎた筋肉や腱、関節は、熱を持っているため、アイシングして冷やすことも大切です。走った後は、アフターケアを心掛けましょう。

痛みがあったら整形外科を受診しましょう

足の裏に痛みがあったり、足に何らかの症状があったりしてもどのようにセルフケアをしたらよいのかが分からない場合は、スポーツに詳しい整形外科の専門医に診てもらうことが大事です。走れても下半身が硬い方や自分に合ったストレッチの仕方が分からない方も多いのです。

暑い時期は熱中症にも注意が必要

最近の6月から9月は思った以上に猛暑で、スポーツをする人は熱中症にも注意が必要です。熱中症は、屋外や体温が下がりにくい環境で起こりますが、直射日光が当たらない室内や体育館でも起きます。
卓球やバドミントンなど送風を嫌う競技や、試合を見ている観客も注意しましょう。「風がないと汗が蒸発しなくて体の熱が下がらないので、室内でも気を付ける必要があります」(林医師)。
熱中症対策はスポーツにもよりますが、休息と水分補給は15分に1回では少なく、5分ごとでも多すぎることはないそうです。スポーツ時の熱中症は次のようにして防ぎましょう。

スポーツ時に熱中症を防ぐポイント

  • 暑い時期は、練習時間を減らしましょう(屋外なら木陰の風通しのいい場所で休む)
  • 水やお茶のみではなく、電解質入りのスポーツドリンクを用意しましょう
  • 汗をかく前からスポーツドリンクを飲むようにしましょう
  • ラリーが続くスポーツは、誰かが声をかけて休息と水分補給の時間を作りましょう
  • 電解質入りの水分は、飲みたいだけ補給しましょう
  • 頭痛やめまいが起きたら要注意!

知っておきたい熱中症対策

汗をかくのは、気化熱によって体の熱を奪って体温を下げるためですが、本人がどんなに汗をかいて体温を下げる努力をしても、気付かないうちに熱中症になっていることがあります。学生では試験の後、睡眠不足や体調不良の中で部活を再開し、熱中症が進んでしまうこと、なりかけていることがあります。10代でスポーツをしている人は水分の調整などが難しいため、若くて体力があっても気を付けましょう。
また、水分補給は水やお茶を選びがちですが、それらでは体から失われる塩辛い電解質が足りません。「汗として失われる電解質、特に塩分を補給しないともうろうとしたり、体がけいれんしたりします」(林医師)。
スポーツをする人は、電解質の入ったスポーツドリンクを準備しましょう。気温が高いと疲労が蓄積しやすくなります。汗をかく練習前からスポーツドリンクを飲んでエネルギーが消耗しないようにしてください。

小まめな水分補給と電解質が大切

自動車のオーバーヒートは、冷ますとよくなります。しかし、人間では命が危なくなります。熱中症は年齢を問わず、起きていても、寝ていてもなります。「ふらっとしたら熱中症になっていることがあるので、涼しい木陰や風通しのよいところに移動し、脇の下、首の回り、額などを冷やして体温を下げてください。暑いときは誰でも熱中症になりやすいのです。特に朝、走っている人は、小まめに早めの水分補給と電解質を取ることが大切です」。

監修  杏林大学医学部付属病院 整形外科 医学博士 林 光俊先生
取材・文 阿部 あつか

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