vol.50 意外に患者の多い心臓弁膜症の治療法

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Vol.50 意外に患者の多い心臓弁膜症の治療法 心臓血管病というと、多くの人は狭心症や心筋梗塞を思い描きます。死亡者数が多いので、それは当然なのですが、意外に『心臓弁膜症』の患者さんが多いことを覚えておいてください。推定患者数は200万人、手術を必要とする患者さんは年間約1万人といわれ、実際、それくらいの人が手術を受けています。
心臓弁膜症は心臓の弁に不具合が生じ、「息切れ」「動悸」「呼吸が苦しい」「夜寝ると苦しい」「疲れやすい」「からだがむくむ」など、さまざまな症状を引き起こし、最悪の場合は、突然死に結び付くこともまれにあります。
心臓には4つの弁があります。その中で、全身に影響を及ぼしやすいのが僧帽弁と大動脈弁で、この2つの弁の手術が年間の心臓弁膜症手術の約97%を占めています。
肺でガス交換された血液は肺静脈を通って左心房に入り、心房が収縮して左心房と左心室の間にある僧帽弁が開き、左心室に血液が流れ込みます。心室の内圧が高くなると、左心室の大動脈弁が開いて血液は全身へと流れていきます。
弁膜症には、弁の閉じ方が不完全になる「閉鎖不全」と弁の開きが悪くなる「狭窄」がありますが、最も多いのは「僧帽弁閉鎖不全症」と「大動脈弁狭窄症」です。

この2つの疾患の治療には症状の緩和や進行を抑制する「薬物療法」と、弁そのものを治す「手術」があります。その状態や症状などにより、患者さんと医師が十分話し合った上で治療法が選択されます。

薬物療法では「血管拡張薬」と「利尿薬」が中心に使われています。血管拡張薬は血管を拡張することでうっ血や逆流を改善します。利尿薬は心臓のポンプ作用が不十分なために起きるうっ血、むくみを尿量の確保によって改善させます。もちろん、日常生活でも強い運動や重い物を持つのは控え、心臓に負担をかけすぎないようにする必要があります。塩分だけでなく、水分の摂りすぎも心臓に負担をかけるので制限しましょう。

手術は、薬物療法で対応しきれないときに行われ、弁の機能を回復させる「弁形成術」と人工弁に取り換える「弁置換術」のどちらかを選択することになります。
僧帽弁閉鎖不全症では弁形成術が90~95%とよく行われています。僧帽弁を支えている腱索(けんさく)が切れて、僧帽弁がきっちり閉じなくなり、血液が逆流します。そこで、閉じなくなった弁を矯正して正常な接合を回復させて治します。
大動脈弁狭窄症では弁置換術が行われます。大動脈弁が動脈硬化によって変化し狭くなり、大動脈弁が十分に開かないので全身への血液の量が低下します。さらに心臓の筋肉の状態も悪くなるので、速やかに手術が行われます。弁置換術は、固くなっている弁を切除後、人工弁が入れられます。取り換える弁には豚や牛などを用いた「生体弁」と、特殊カーボン製の「機械弁」があります。機械弁はすでに27年以上にわたって使われており、壊れることはなく、その信頼度は高いものがあります。しかし、機械弁は術後、血栓ができるのを防ぐために抗凝固薬を毎日服用しなければなりません。
一方、生体弁はその必要はないものの、約15年で再手術が必要となります。どちらを選択するかは主治医と十分に話し合って、納得した上で決めるべきでしょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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