vol.63 小腸疾患の検査に威力を発揮するカプセル内視鏡

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Vol.63 小腸疾患の検査に威力を発揮するカプセル内視鏡 1966年、アメリカ映画『ミクロの決死圏』が大いに注目を集めました。ミクロサイズに縮小された科学者グループが、脳に障害を起した要人を救おうと体内に潜入するというものでした。この手に汗握るSF冒険映画が、今、まさに現実のものになろうとしています。
それは、「カプセル内視鏡」です。2007年4月に製造販売承認となり、同年10月から保険適用となりました。
カプセル内視鏡といわれるだけあって、サイズは長さ26mm、直径11mm、重さ3.45gで、ちょっと大きめのビタミン剤くらいです。「これなら問題なく飲めるし、飲む気になれます」と、手にした人の反応は良いようです。
現在、保険適用となっているのは、小腸の検査のみです。小腸は“暗黒大陸”の別称があるように、従来の内視鏡では診ることが難しく、人の目がなかなか届きにくい臓器でした。
開発したのはイスラエルに本社のあるギブン・イメージング社。ミサイルの先端に取り付けた小型カメラの軍事技術が転用され、1998年に開発されました。2001年に欧米で認可されて以降、世界60カ国以上で発売され、すでに60万個以上販売されています。
例えば、血便があって病院を受診すると、原因を調べるために大腸を内視鏡で調べ、「異常ナシ」。次に、食道、胃、十二指腸を内視鏡で調べ、「異常ナシ」となると、残りは小腸となります。ここでカプセル内視鏡検査になるのです。
患者は8~12時間前から絶食。腹部にカプセルから送信される情報をキャッチするセンサアレイを貼り付け、情報を記録するデータレコーダの付いたベルトを装着し、カプセル内視鏡を飲み込みます。麻酔も造影剤もまったく必要としません。
カプセル内視鏡を飲んだ後は、仕事に戻ってかまわないし、4時間後からは普通に食事を取ることもできます。
カプセル内視鏡の撮影は1秒間に2回。静止画像を8時間で55,000枚撮り続けます。撮影後、医師がデータレコーダに記録された画像を診断。約30~45分程度で検査結果が出ます。
撮影が終了したカプセル内視鏡は排便時に体外へ。基本的には使い捨てですが、日本では医療機器とあって、回収して医師に戻すことになっています。 では、カプセル内視鏡でどれだけの小腸疾患が発見されるのでしょうか。
2004年から日本の医療機関で、カプセル内視鏡研究会が多施設共同研究を実施して、調査報告を行いました。
カプセル内視鏡検査を185人の患者に実施。73%にあたる135人に「原因不明の消化管出血」があり、その135人中70人が確定診断に結びつきました。70人の病名は「潰瘍(かいよう)・びらん」が24人(34.3%)、「血管性病変」が18人(25.7%)、「腫瘍(しゅよう)性病変」が12人(17.1%)、「クローン病」が7人(10%)などです。
患者が苦しむことなく検査を受け、ここまで確定診断ができるのですから、他の臓器でも検査に用いられるよう期待する声が大きく、実際、すでに食道、胃、大腸のカプセル内視鏡も開発されており、欧米では検査が行われています。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
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