高血圧による脳・心血管疾患の発症ゼロへ

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家庭血圧

高血圧患者が心電図を測定する意義とは?

生活習慣の欧米化や社会の高齢化によって、今心不全患者が増加しています。心不全とは、心臓のポンプ機能が落ちる状態のことで、様々な心臓病が最終的にたどり着く病態です1)。心不全患者数の予測に関する研究によると、2030 年に心不全患者は130 万人に達すると推計されており2)、この心不全患者の増加は、社会全体の問題になってきています。

高血圧と心不全の関係(高血圧が続くと、なぜ心不全になるのか)1)

高血圧が続くと心不全になるといわれますが、高血圧と心不全はどう関係しているのでしょうか?
血圧が高いと、正常より血管の壁に高い圧力が加わるため、心臓に血液を送る冠動脈の壁が厚くなり、動脈硬化の原因となります。高血圧のほかに動脈硬化を促進するものとして肥満や糖尿病、高脂血症などがあり、これらと高血圧は合併しやすく、合併すると動脈硬化が進行し、心臓は酸素不足による障害(狭心症や心筋梗塞)を発症します。その結果、心臓の筋肉(心筋)の働きが低下して心臓を十分に収縮させることができなくなる収縮機能不全を起こすのです。
また、絶えず高い血圧に逆らって血液を全身に送り出さなければいけないため、心臓に大きな負荷がかかり、これに対応するために心臓の筋肉は肥大します。そのような心臓では、血液を受け入れる拡張期のしなやかさが低下し、その結果、肺に血液がうっ滞し、息切れや呼吸困難などの拡張機能不全の症状が出ることになります。
このように、血圧の高い状態が続くことで、心臓に大きな負担をかけてしまい、様々な機能不全を起こすのです。

ちなみに、高血圧が心不全発症の危険因子であるということは多くの研究でも明らかになっています。例えば、日本の慢性心不全患者を対象としたJCARE-CARD3)という研究では、心不全の原因として高血圧性心疾患が24.6%と多く、心不全患者における高血圧の合併も約半数でみられました。その他、CHART-14)、CHART-25)という研究においても、「慢性心不全患者で最も多い合併症は高血圧だった」という結果が出ています。

心電図検査の必要性

高血圧では、心不全予防の観点からも、日頃からの家庭血圧測定、血圧コントロールが非常に大切です。また、血圧測定に加え、心電図検査も定期的に受け、その結果も参考にしましょう。心電図検査とは、健康診断などでもよく行われる検査で、心臓の動きを電気的な波形として記録し、心臓の状態(心臓の筋肉の異常や心拍の乱れ等)をみる検査です。この検査では、不整脈・心肥大・虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)などの場合の心電図異常がわかります。
近年、気になる時にいつでも気軽に心電図を測定できる、携帯型の心電計も販売されていますので、そういった機器もうまく活用しながら、自分の心臓をしっかり守っていきましょう。

引用文献

1)公益財団法人日本心臓財団:HEART NEWS 2004(No.3)「高血圧と心不全」
2)眞茅みゆき他:心不全診療Q&A 2012 「I.心不全とは何か 慢性心不全の疫学」
3) Tsutsui H, et al.(JCARE-CARD). Circ J 2006; 70: 1617-23.
4) Shiba N, et al. Circ J 2004; 68: 427-34.
5) Shiba N, et al. Circ J 2011; 75: 823-33.

参照資料

北風政史 編:中外医学社「心不全診療Q&A」2012

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