心房細動の対処法と治療|予防法・受診の目安をわかりやすく解説

不整脈・心房細動 予防・対策・生活改善

心房細動は、高齢者を中心に増加傾向にある不整脈の一種です。症状が軽く一時的であることもありますが、放置すると脳梗塞などの重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。本記事では、心房細動が起きたときの一時的な対処法、予防のための生活習慣、受診の目安、そして具体的な治療法について、わかりやすく解説します。日常生活で心がけたいポイントや注意すべきサインを知っておくことで、健康的な毎日を送るための備えができます。

vol. 心房細動の対処法と治療|予防法・受診の目安をわかりやすく解説

心房細動とは

心房細動の定義

心房細動は、心臓の上部にある「心房」の電気信号が乱れることで、心拍が不規則かつ速くなる不整脈の一種です。通常、心臓は一定のリズムで収縮と拡張を繰り返していますが、心房細動ではこのリズムが崩れ、心房が細かく震えるような「けいれん状態」になります。
その結果、心臓全体のポンプ機能が低下し、血液の流れが滞ることで血栓ができやすくなります。とくに心房内にできた血栓が脳に流れると、脳梗塞を引き起こすリスクが高まるため、注意が必要です。症状としては、動悸、息切れ、胸の違和感、めまいなどが現れることがありますが、無症状で進行する場合もあり、知らずに重症化するケースもあります。

心房細動が起きたときの一時的な対処法

深呼吸や安静で自律神経を整える対処法

心房細動の発作が起きた際は、まず落ち着いて行動することが大切です。発作時に焦って動いたり、慌てたりすると、症状がさらに悪化する可能性があります。静かな場所で深くゆっくりと呼吸をすることで、自律神経のバランスが整い、発作が自然に収まることもあります。
また、水分補給も効果的です。脱水状態は心拍の乱れを引き起こしやすいため、常温の水や電解質を含む飲料を少量ずつ摂ると良いでしょう。暑い日には体を冷やす工夫も重要です。首元やわきの下などを冷やすことで体温を下げ、症状の緩和に役立つ場合があります。

症状が続く・悪化する場合はすぐに医療機関へ

一時的な対処で症状が治まらない場合、もしくは症状が数分以上続いたり、胸痛やめまい、息切れを伴うようであれば、速やかに医療機関を受診する必要があります。特に、初めて症状を感じたときや、過去に心房細動の診断を受けていない方は、念のため救急外来を受診するのが安心です。自己判断で様子を見るのは危険ですので、迷わず医師の診察を受けてください。

心房細動を予防するための生活習慣

アルコールやカフェインの過剰摂取を控える

アルコールは心房細動を誘発する要因のひとつとされており、「ホリデー・ハート症候群」と呼ばれるように、飲酒後に発作が起こるケースも報告されています。飲酒量を控え、週に何日かは休肝日を設けるなどの節度ある飲酒が大切です。 また、カフェインを含むコーヒーやエナジードリンクの過剰摂取も、心拍数を上昇させる可能性があるため注意しましょう。1日1~2杯程度のコーヒーであれば大きな問題はありませんが、体調と相談しながら無理のない範囲で楽しむことがポイントです。特に、家庭での心電図記録で見つかる心房細動は、初期の発作性心房細動に該当することが多く自覚症状がなく、健康診断などでは見つかりにくい場合があります。

適度な運動とストレス管理で自律神経を整える

自律神経の乱れは心房細動の引き金になることがあります。日々の生活の中で、ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなどの有酸素運動を取り入れることで、自律神経のバランスを保つ効果が期待できます。
また、慢性的なストレスは心身の不調を招くため、ストレスの原因を見直し、リラクゼーションの時間を積極的に確保することが重要です。瞑想や呼吸法、趣味の時間など、自分なりのリフレッシュ法を見つけましょう。質の良い睡眠を確保することも、心臓の健康維持には欠かせません。

受診が必要なケース

動悸・息切れが頻繁に続く場合は要注意

一時的な動悸や息切れは、健康な人でも起こることがありますが、これが頻繁に繰り返される場合は要注意です。特に、階段の昇降や少しの運動で脈が乱れたり、息苦しさを感じる場合には、早めに循環器内科の受診を検討してください。心房細動は高血圧患者に多く見られ、特に60歳以上の方には定期的な家庭用の心電計や検脈などによる心房細動リスクのチェックが推奨されます。脳梗塞だけでなく心不全の原因にもなりうるため、症状の有無にかかわらず早期の受診が重要です。症状が出ているときの心電図検査によって、心房細動を確認することができます。症状がないときでも、ホルター心電図(24時間心電図)などを活用することで、異常の有無を調べることが可能です。ただし、初期の発作性心房細動は自覚症状がなく健康診断や医療機関の検査では見つかりにくいこともあるため、家庭用の心電計や検脈などによる心房細動リスクのチェックをすることが重要です。

めまい・失神・胸痛などを伴う場合は緊急受診レベル

めまいや立ちくらみ、突然の失神、胸の圧迫感などを感じた場合は、命にかかわる重篤な心疾患の可能性も否定できません。これらの症状は緊急性が高いため、救急車を呼ぶ、もしくはすぐに救急外来を受診しましょう。 自宅で様子を見てしまい、対応が遅れると取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。特に、高齢者や基礎疾患のある方は、慎重な判断が求められます。

高リスク群(高齢・高血圧・糖尿病 )の方は定期検査を

心房細動は、高齢者、糖尿病、高血圧、心疾患のある方に多く見られるため、これらのハイリスク群に該当する方は、症状の有無にかかわらず定期的な心電図検査を受けることが大切です。 無症候性の心房細動(自覚症状のない不整脈)も多く、気付かないうちに進行しているケースもあります。合併症の予防と早期治療のためにも、定期的な健康チェックを心がけましょう。 60歳を境に心房細動有病率は高くなりますが、約半数の方に自覚症状がなく、初期段階では突然発症し自然に元の正常なリズム(洞調律)に戻る発作性心房細動であることも多いため、継続して家庭用の心電計や検脈などによる心房細動リスクのチェックをすることが重要です。

心房細動の対策と治療法

薬物療法|抗不整脈薬・抗凝固薬・心拍調整薬の使い分け

心房細動の治療には、いくつかの薬剤を目的に応じて使い分ける必要があります。

  • リズムコントロール(抗不整脈薬):心拍リズムを正常に戻すことを目的とした治療。代表的な薬にはフレカイニドやプロパフェノンなどがあります。
  • レートコントロール(心拍調整薬):心拍数を適切な範囲に保つ治療で、β遮断薬やカルシウム拮抗薬が用いられます。
  • 抗凝固療法(抗凝固薬):血栓ができるのを防ぐためにワルファリンやDOAC(新規経口抗凝固薬)などを使用し、脳梗塞の予防を図ります。
症状の程度や患者の体質、他の疾患との兼ね合いを考慮しながら、医師が最適な薬剤を選択します。

カテーテルアブレーション|根本治療を目指す選択肢

薬物療法でコントロールが難しい場合や、再発を繰り返す場合には、「カテーテルアブレーション」という手術的治療が選択肢となります。この治療法では、発作の原因となる心房内の異常な電気信号の発生源を、カテーテルで焼灼(しょうしゃく)することで、不整脈の発生を抑えます。成功率が高く、根本治療を目指せる治療法として注目されていますが、手技には専門性が求められるため、実施施設の実績なども考慮しながら判断する必要があります。

生活習慣の見直しと治療継続の重要性

治療の効果を持続させるためには、日常生活の見直しも不可欠です。適度な運動を続けること、減塩食を意識したバランスの良い食事、禁煙・禁酒の徹底などが再発予防に大きく貢献します。また、医師の指導に従った服薬管理と定期的な経過観察を怠らないことも重要です。自己判断で薬の中断をしたり、通院をやめてしまったりすると、再発や重篤な合併症のリスクが高まります。長期的な視点で心臓の健康を守る意識を持ち続けましょう。

まとめ

心房細動は、一時的な症状に見えても放置すると命に関わる病気です。早期発見と適切な治療、そして生活習慣の改善が、予防と再発防止のカギを握ります。日頃から体の変化に注意を払い、気になる症状があれば、すぐに医療機関に相談するよう心がけましょう。健康で穏やかな日常を維持するためにも、正しい知識と対策が欠かせません

記事監修

三菱京都病院顧問 循環器専門医 医学博士 桝田 出
【経歴】
1980年 東京慈恵会医科大学卒業
慈恵医大第3内科、国立循環器病センター、京都大学第2内科などを経て現職。


  

動悸・息切れ・めまい・胸苦しさなどの症状や、心電計や血圧計で気になる結果が出た際、早めに専門の医師に相談されることが重要です。
以下の画像リンクから、心臓の症状について相談できる医療機関を検索することができますので、ぜひご活用ください。

  
    

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