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動悸とは、ふだん意識することのない心臓の鼓動が「ドクドク」「バクバク」と強く、速く感じられる状態です。多くの場合は一過性の現象ですが、なかには病気が原因であることもあります。本記事では、動悸が起こる原因や対処法、日常生活でできる予防策、そして受診すべきケースや治療法について詳しく解説します。
動悸とは、心臓の拍動が通常よりも「強く」または「速く」感じられる状態を指します。自分の心拍が意識される状況で、「心臓が飛び出しそう」「ドキドキが止まらない」と感じる方も少なくありません。
一時的な動悸の原因としては、ストレス・緊張・過労・睡眠不足・カフェインやアルコールの摂取などが挙げられます。これらによる動悸は身体の一時的な反応であり、時間とともに自然と落ち着くことがほとんどです。
一方、心疾患やホルモン異常、自律神経失調症、不整脈などに伴う動悸は、根本的な治療が必要になることがあります。特に胸痛や息切れ、失神を伴うような動悸は、病的なサインの可能性があるため注意が必要です。
動悸が突然始まったとき、まずは深呼吸で自律神経のバランスを整えることが有効です。特におすすめなのが腹式呼吸。以下の手順で行いましょう。
動悸の原因が脱水である場合、水分とともに電解質(ナトリウム、カリウム)を補給することで症状が改善されます。特に夏場や運動後は意識的に水分を摂取するようにしましょう。また、立ちくらみを伴うような動悸のときは、すぐに座るか横になることが大切です。横になる際は脚を少し高くすることで、脳への血流を促進し、動悸やめまいが和らぎます。
コーヒーやエナジードリンク、アルコール類は交感神経を刺激し、心拍数を一時的に上げる働きがあります。こうした刺激物を避けることで、動悸の発生を防ぐことが可能です。とくに夜間の摂取は睡眠の質も低下させ、動悸のリスクが高まるため注意が必要です。
自律神経のバランスを整えるには、まず規則正しい睡眠が基本です。毎日同じ時間に寝起きすることに加えて、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は避けましょう。ブルーライトは交感神経を刺激し、入眠を妨げます。また、ストレスを溜めないためにウォーキング・アロマ・趣味の時間を確保することも重要です。適度な運動やリラックスタイムが副交感神経を優位に導き、動悸の予防につながります。
貧血による酸素不足は動悸の一因です。鉄分やビタミンB12、葉酸を含む食品(レバー、赤身肉、ほうれん草、大豆製品など)を意識的に摂りましょう。また、血糖値の急激な上昇も動悸の原因になります。白米や菓子パンなどGI値の高い食品の摂取を控え、低GIの食品(玄米、全粒粉パン、豆類など)を選ぶとよいでしょう。運動においては、有酸素運動(ウォーキングやヨガ)を日常に取り入れることで自律神経の安定が期待できます。週2~3回、20分以上の運動が理想です。
以下のような症状を伴う動悸は、すみやかに医療機関を受診すべきです。
心臓に原因がありそうな場合(胸の圧迫感、持続的な動悸など)は、循環器(心臓)内科や不整脈科の受診が適切です。貧血やホルモン異常が疑われる場合は、一般内科や内分泌・甲状腺内科へ。ストレスや不安が主な引き金と考えられる動悸であれば、心療内科や精神科の相談も検討しましょう。
重度の動悸や不整脈に対しては、薬物治療が検討されることがあります。
過度なストレスが原因で動悸が起こる場合、生活習慣の見直しが有効です。質の高い睡眠、バランスのとれた食事、ストレス対策などを継続することで症状は大きく改善します。また、医師と協力して原因を明確にし、ライフスタイルに合わせた予防法を習慣化することが、再発の予防にもつながります。
心臓そのものに原因がある場合は、手術的治療が必要になることもあります。
カテーテルアブレーション:不整脈を引き起こす異常な電気信号を焼き切る治療法で、心房細動などに有効。カテーテルという管を使って治療するので、胸を切開することはありません。
ペースメーカー:脈が極端に遅くなる徐脈性不整脈の患者に対し、一定のリズムで心臓を動かす装置を体内に埋め込みます。
いずれの治療も専門医の判断のもとで行われ、術後の生活には一定の注意が必要ですが、動悸の大幅な改善が期待できる治療法です。
動悸は一時的なものであればそれほど心配はいりませんが、症状が頻繁に起こる、あるいは他の重篤な症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。日々の生活の中で自律神経を整える習慣を身につけることが、動悸の予防と改善に役立ちます。
三菱京都病院顧問 循環器専門医 医学博士 桝田 出
【経歴】
1980年 東京慈恵会医科大学卒業
慈恵医大第3内科、国立循環器病センター、京都大学第2内科などを経て現職。
※このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。