頻脈の対処法と治療|予防・受診の目安・生活改善まで解説

不整脈・心房細動 予防・対策・生活改善

頻脈とは

頻脈とは、安静時にもかかわらず心拍数が通常より速くなる状態を指します。一般的には、心拍数が100回/分を超える場合に「頻脈」とされます。 通常、健康な成人の安静時の心拍数はおおよそ60〜100回/分です。緊張したときや運動後、カフェインを摂取したときなどに一時的に心拍数が上がるのは生理的な反応であり、問題ありません。 一方で、日常生活に支障をきたすほどの動悸や息切れを感じる、あるいは頻繁に心拍数が高くなる状態が続く場合は「病的な頻脈」が疑われます。このような症状があるときは、心臓疾患などのリスクを考慮し、適切な対応が必要です。
vol. 頻脈の対処法と治療|予防・受診の目安・生活改善まで解説

頻脈が起きたときの対処方法

深呼吸や迷走神経刺激法で自律神経を整える

頻脈が突然起きたときには、まず落ち着くことが大切です。深呼吸をゆっくりと行い、自律神経のバランスを整えることで、心拍数が自然と下がる場合があります。冷たい水を少しずつ飲んだり、顔を冷水で冷やしたりする方法も、迷走神経(副交感神経)を刺激し、心拍を落ち着ける効果があります。

安静にして楽な姿勢をとる|体を休めて心拍数を下げる方法

身体を動かし続けると、頻脈が悪化する恐れもあります。そのため、発作が起きたら無理をせず、座ったり横になったりして安静を保ちましょう。可能であれば、心拍数を計測し、変化の様子を記録しておくことも有効です。

頻脈を予防するための習慣

規則正しい生活リズムの確立|睡眠・食事・運動のバランスを整える方法

自律神経の乱れは頻脈の引き金になります。睡眠不足、不規則な食事、過剰なストレスは、心臓のリズムを乱す原因となるため、規則正しい生活を心がけましょう。 十分な睡眠を確保し、朝食をしっかりと摂ること、適度な運動を日々の生活に取り入れることで、自律神経のバランスが整いやすくなり、頻脈の予防に繋がります。

カフェインやアルコールの摂取を控える|心拍を安定させる生活習慣

コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェイン、そしてアルコールは、心拍数を上昇させることがあります。頻脈の症状が気になる人は、これらの摂取を控えめにし、なるべく自然な状態で心臓のリズムを保つようにしましょう。

受診が必要なケース

胸痛や息切れを伴う場合|狭心症や心筋梗塞の可能性

頻脈とともに胸の圧迫感や強い息切れを感じる場合、心筋梗塞や狭心症など、重篤な心疾患の可能性があります。こうした症状が現れたときは、我慢せずにすぐ医療機関を受診してください。 救急受診の判断に迷った場合でも、「少しでもおかしい」と感じたら、早めの行動が大切です。心臓は命に直結する器官であり、素早い対応が生死を分けることもあります。

頻繁に発生する場合|生活に支障をきたす頻脈の持続

頻脈が週に何度も起こる、もしくは一度発症すると長時間収まらないというケースも、医療機関での相談が必要です。こうした状態が続くと、心臓に負担がかかり、心不全など他の病気を招くリスクが高まります。

頻脈の検査方法

自宅でできるセルフチェック方法

  

手首や首などで自分の脈拍を確認し、1分間の心拍数を測ります。安静時に100回/分以上ある場合は、頻脈の可能性があります。

病院での検査|心電図検査・ホルター心電図・血液検査

  • 心電図(ECG):短時間で心拍リズムを記録し、異常があるかを判断します。
  • ホルター心電図:24時間心電図を記録し、自宅や職場など日常生活中に起こる一過性の頻脈も捉えることができます。
  • 血液検査:甲状腺機能や貧血、電解質バランスなどの異常を調べ、頻脈の背景要因を探ります。

頻脈の改善と治療方法

生活習慣の見直しによる改善策|ストレス管理・適度な運動・バランスの取れた食事

頻脈の原因の多くは、生活習慣と深く関係しています。日常的なストレスを抱え込まず、リラクゼーション法を取り入れることが効果的です。例えば、散歩やヨガ、アロマテラピーなどは心を落ち着かせるのに役立ちます。 また、カフェインやアルコールの制限、栄養バランスの取れた食事を心がけることで、体の内側から心臓への負担を軽減することができます。

医療機関での治療方法|薬物療法やカテーテルアブレーションの適応

生活改善でも頻脈が改善しない場合や、重度の症状がある場合は、医師による治療が必要です。薬物療法としては、βブロッカーや抗不整脈薬などが処方されることがあります。 また、原因となる異常な電気信号の発生源を焼き切る「カテーテルアブレーション」という治療法も、発作性頻脈に対しては高い有効性が確認されています。患者の状態や年齢、発作の頻度に応じて、適切な治療法が選ばれます。

まとめ|頻脈は早期の対処と予防がカギ

頻脈は、誰にでも起こりうる症状ですが、正しい知識と冷静な対処があれば、大きな不安を抱える必要はありません。日常生活の見直しと予防意識を持ち、体からのサインを見逃さずに行動することが大切です。 万が一、頻脈に関連する不調を感じた場合は、無理をせずに専門医の診断を受けましょう。心臓の健康を守ることは、あなたの人生を守ることにもつながります。


記事監修

三菱京都病院顧問 循環器専門医 医学博士 桝田 出
【経歴】
1980年 東京慈恵会医科大学卒業
慈恵医大第3内科、国立循環器病センター、京都大学第2内科などを経て現職。


  

動悸・息切れ・めまい・胸苦しさなどの症状や、心電計や血圧計で気になる結果が出た際、早めに専門の医師に相談されることが重要です。
以下の画像リンクから、心臓の症状について相談できる医療機関を検索することができますので、ぜひご活用ください。

  
    

このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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