60代男性です。降圧薬による高血圧治療を始めました。登山が趣味なのですが、高血圧患者が標高の高い場所に行くのはよくないのでしょうか?

高血圧 治療・リハビリ
60代男性です。降圧薬による高血圧治療を始めました。登山が趣味なのですが、高血圧患者が標高の高い場所に行くのはよくないのでしょうか?
降圧薬の服用中であっても、血圧のコントロールが良好であれば問題はないでしょう。ただし必ず主治医に相談し、薬の服用や緊急時の対応などについて指導を受けるようにしてください。
軽度の高血圧(最高血圧が140~159mmHgまたは最低血圧が90~99mmHg)と診断され、生活習慣に気を付けている人や、高血圧で治療を受けているが合併症がなく血圧コントロールが良好な人であれば、登山を楽しむことができます。しかし、そのような人であっても、高地で血圧が大きく上昇し、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を起こす可能性があります。そのため、登山中に手足のしびれや胸の痛みを感じたら、すぐに下山しなければなりません。
適度な全身運動は高血圧の改善に有効ですが、急な山道を登るなど平地よりも負荷がかかる運動は、交感神経を強く刺激して血圧を急激に上げるため、注意が必要です。血圧への影響を少なくするには、林道など傾斜のゆるやかな道からスタートして、徐々にペースを上げるとよいでしょう。

近年、登山を趣味とする中高齢者が増えていますが、自分の体力を過信し、登山で体力を消耗することによって急性心不全や脳卒中を起こすケースが少なくありません。最近は登山者向けの検診を行っている医療機関もあるので、登山前には主治医への相談に加えて、登山に特化したメディカルチェックを受けることが望ましいでしょう。

先生のプロフィール

島本 和明先生

島本 和明 先生

日本医療大学総長
略歴
昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長
ご専門
内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病

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