家で測定した血圧値は正常なのに、病院で測った血圧値は高くなってしまいます。どうしてでしょうか
高血圧
セルフチェック(正しい測り方・健康診断)
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「白衣性高血圧症」と呼ばれる現象で、病院の雰囲気に緊張して血圧が上がってしまうために起こります。血圧は常に変動しているので、気温や精神状態の影響を受けて、数値が変動してしまうこともあります。なかでも、自宅では正常な血圧であるにもかかわらず、病院で先生に測定してもらうと血圧が高くなってしまう現象を「白衣性高血圧症」といいます。これはふだんと雰囲気の違う病院の中に入ることで精神的ストレスを受け、これが交感神経を刺激して、血圧を上げてしまうために起こると考えられています。
白衣性高血圧症かどうかを正確に見極めるには、家庭での正確な血圧測定が大切です。ただし、家庭での血圧は病院での血圧よりも低く、病院での血圧 140/90mmHgに相当する家庭での血圧は130/80mmHgといわれています。病院での血圧が高くなってしまう人は、家庭用血圧計で毎日決まった時間に、取扱説明書に記載された正しい方法で血圧を測定・記録する習慣を付けましょう。その記録を医師に見せて相談することが「白衣性高血圧症」診断の役に立ちます。家庭での血圧は1回の測定結果に一喜一憂するのではなく、継続的に測定して得られる自分自身の平均的な数値を見つけ、健康管理に役立てましょう。
「白衣性高血圧症」と診断されても、家庭での血圧値が正常範囲であれば、治療は必要としません。一方で、家庭での血圧も高めで、病院に来るとさらに高くなってしまうというタイプの人は、医師の指示に従って治療を進めてください。その際も、家庭での血圧値は高血圧治療薬の効き目などを判断する材料になりますから、家庭での血圧値の記録を残すようにしましょう。
先生のプロフィール

島本 和明 先生
日本医療大学総長
- 略歴
- 昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長 - ご専門
- 内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病
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