世界での累計販売台数
3億台を突破

血圧計の発売開始から、2009年に累計販売台数1億台を突破するまでは36年を要しました。また、この10年では人々の健康意識の高まりや、世界的な生活習慣病患者の増加、家庭血圧の高血圧治療ガイドライン化により家庭での血圧測定が浸透し、2009年の1億台達成から7年後の2016年に2億台を達成しました。その後も、血圧計市場はグローバルでさらに拡大を続け、欧州や米国、中国だけでなく、インドやブラジルなどの新興国でも需要が高まり続けています。その結果、2億台達成からわずか5年後の今年、2021年に3億台を突破しました*

しかし、3億台突破は通過点に過ぎません。血圧計のさらなる普及と、「脳・心血管疾患の発症ゼロ」に向け、私たちは挑戦を続けます。

*家庭用電子血圧計の世界累計販売数(2021年5月時点)

血圧計の累計販売数3億台突破記念 グローバルウェブサイト開設

3億台突破を記念して、「脳・心血管疾患の発症ゼロ」を目指して、これまで取り組んできた内容と、これから新たに取り組む事業に関してまとめたグローバルウェブサイトを開設しました。

〈主な内容〉

  • これまでの取り組み(家庭用血圧計の歴史、測定精度の追求、デザインの追求)
  • これからの挑戦(遠隔診療サービスのグローバル展開、リスク予測AIの開発、血圧管理の進化、心疾患領域への参入)
  • 血圧に関する学術研究の紹介
血圧計累計販売台数3億台突破

誰でも、簡単に
正確な測定ができるために

オムロン初の電子血圧計「マノメータ式手動血圧計(HEP-1)」が発売されたのは、まだ家庭で血圧を測る習慣がなかった1973年のこと。創業者・立石一真が唱えた「健康工学(Health Engineering)」―私たち人間の身体を組織工学的な集合体ととらえ、オートメーション技術を活用して病気の予防、診断、治療につなげる― の考えから誕生しました。以来、最先端の生体情報センシング技術を取り入れ、常に進化し続けながら数々の家庭用血圧計を開発してきました。

血圧計の開発にあたって、オムロンが一貫してこだわり続けてきたのは「精度の追求」と、誰でも簡単に測定できる「使いやすさ」の両立です。

たとえば、1991年発売の「ファジィデジタル自動血圧計(HEM-706)」は、その時の血圧に合った最適な加圧を自動で行うことにより、使用者が血圧値の判断や設定を間違うといったヒューマンエラーを取り除くとともに、加圧のしすぎによる腕の痛みなどの測定時のストレスを軽減し、快適で精度の高い、正確な測定を実現しました。また、2004年に商品化した「空気圧による自動巻きつけ技術搭載の血圧計(HEM-1000)」では、カフ(腕帯)を自分で巻きつけるのでなく、円筒型カフに腕を通し、測定ボタンを押すだけで、血圧を自動的に測定することを実現。「誰にとっても楽に、正しく測れるユニバーサルデザイン」を採り入れました。

近年では、通信機能付きの血圧計と管理アプリで、毎日の家庭血圧をグラフにして、個人の健康管理はもちろん、医療現場でも家庭での血圧値が活用できるような、機器やサービスの創出に取り組んでいます。

家庭で血圧を測ることの大切さ
~医療関係者とともに作る、家庭血圧の重要性~

家庭血圧を普及・浸透させるには、医療との連携が不可欠です。私たちは、世界の第一線で活躍する医療関係者や研究機関のプロジェクトに、機器の提供を始め、さまざまな形で参画しています。

たとえば、東北大学大学院の今井潤教授らが岩手県花巻市大迫町で1986年にスタートした家庭血圧に関する調査「大迫研究」では、オムロンの家庭用血圧計が使用されています。日常生活の中で血圧測定を行いながら血圧と病気との関連性を調査するという「大迫研究」は、家庭血圧を指標とした長期的な地域調査として、世界に先駆けた画期的な研究でした。この研究から、脳卒中などの発症予測には病院での血圧よりも家庭血圧のほうが有効であることが実証されるなど、多くの発見がもたらされました。「大迫研究」の成果は、世界各国で高い評価を受け、世界保健機関(WHO)をはじめ、高血圧の治療ガイドラインにも多く採用されました。

日本では、2014年の高血圧治療ガイドライン改定版にて、「家庭血圧と診察室血圧に差がある場合は家庭血圧を優先する」と記載され、高血圧診療の最重要項目となりました。

家庭血圧の重要性を伝える
~その理解・浸透をはかるために~

家庭血圧の普及には、高血圧をはじめとする生活習慣病や、高血圧が誘因する脳梗塞や心筋梗塞などの疾病に関する知識、そして、毎日の血圧測定が、それらの疾病を未然に防ぐサポートとなることを広く伝え、理解・浸透をはかることが欠かせません。私たちは、日本でスタートした啓発活動をグローバルに横展開し、それぞれの地域の文化や風習を尊重しながら、家庭血圧の重症性の普及活動にも努めてきました。現在は、経済が急速に発展し、生活習慣病にかかる人も急速に増加している新興国の方々に対し、家庭血圧の重要性を伝える活動を展開しています。

例えば、ロシアや中東諸国においては、医療従事者を対象に高血圧患者の疾病情報などを伝える勉強会「オムロンアカデミー」を開催。一般消費者に対しては、血圧計を販売する薬局の店頭で測定イベントを開き、普段から血圧を測っておくことの重要性を伝えています。また、医師が不足しているバングラデシュでは、村ごとのコミュニティクリニックに血圧計を配ることによって、血圧を測定する習慣づけにつなげる取り組みを行っています。

3億台達成は、
さらなる普及に向けた通過点

1982年にドイツ市場に参入して以来、私たちは海外市場も積極的に開拓してきました。国ごとに異なる法規や医療制度を遵守し、110ヶ国以上の国々に血圧計を提供しています。
しかし、世界の高血圧人口は約10億人いることを考えると*、3億台はまだまだ通過点にすぎません。高血圧を患う世界中の多くの方々のために、私たちがやるべき宿題は、たくさん残されているのです。

累計販売台数が3億台に達した今、私たちは、従来の発想にとらわれることなく、商品、アプリ、サービス、すべてにおいて、常に変革を恐れることなく、挑戦を続けます。

*世界保健機関(WHO)2013報告より(2008年での高血圧人口を記載)