2013.02.08

vol.116 腎動脈の動脈硬化による高血圧に注意!

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高血圧と腎動脈狭窄症

Vol.116 腎動脈の動脈硬化による高血圧に注意! 日本の高血圧人口は、およそ4000万人。50歳以上では2人に1人が高血圧といわれているので、すでに治療や生活指導を受けている方も多いのではないでしょうか。また、定期健診などで「血圧が高め」とわかり、自分で食事や運動などの生活習慣に気を配っている方も多いはずです。
ところが高血圧のなかには、治療や生活改善を続けても血圧がなかなか下がらないケースが少なくありません。その原因の1つとして重視されるようになっているのが、「腎動脈狭窄症(じんどうみゃくきょうさくしょう)」です。
腎臓は、横隔膜の下付近の背中側にある左右一対の臓器で、血液の濾過などさまざまな役割をしています(※1)。その腎臓に血液を送る腎動脈が、動脈硬化によって狭くなると、「急に高血圧になる、血圧が改善されにくい、悪化する」などの状態を招きやすくなります。とりわけ狭心症や心筋梗塞のリスクが高い重症の高血圧では、かなりの患者さん(10~40%)に、腎動脈狭窄症がみられることもわかってきました。
また、腎動脈狭窄症を放置していると、腎臓が慢性的にダメージを受け、やがて人工透析が必要となるなど、生活全般にわたり大きな影響を及ぼします。そのため早い時点で腎動脈の動脈硬化を発見し、進行を予防することが大切です。
高血圧および予備軍の方は、腎動脈狭窄症とその対策について知っておきましょう。

(※1)腎臓に送られる血液の大半は、大動脈から分岐した腎動脈を通って腎臓に流入します。血液は腎臓内の糸球体などで濾過され、老廃物は余分な水分と一緒に尿となって排出されます。

なぜ血圧が高くなる?

腎動脈狭窄症になると、なぜ血圧が高くなるのでしょうか。
腎臓の細胞からは、血圧調節に関係するレニンという酵素が分泌されています。腎動脈が狭くなり、腎臓への血液の流入量が減少すると、それに反応してレニンの分泌量が増え、血圧を上昇させるホルモン(アンジオテンシンⅠ、Ⅱ)が活性化されます(※2)。これは本来、腎臓への血流量を増やし、腎機能を維持するための生体防御システムなのですが、その半面、高血圧を招くことになります。
腎動脈狭窄症は気づきにくいため、発見が遅れ、あるときから急速に高血圧になる人が少なくありません。また高血圧の治療中でも、一部の降圧薬にはレニン・アンジオテンシン系の働きを抑え、その結果、腎機能を低下させるものがあります。この場合には高血圧の悪化に加え、心不全などのリスクも高くなるので、降圧薬を服用中に尿の変化(にごり、量など)、むくみなどの症状が出たら、早めに医師に伝えて検査を受けることが大切です(※3)。
腎動脈狭窄症が発見された場合、治療法は大別すると薬による方法とステント(金属製のチューブ)による手術があります。狭窄の程度が軽く、また進行がゆるやかな場合には、医師の判断により薬で血圧をコントロールしつつ、狭窄の進行を抑える治療もおこなわれます。
一方、根本的な治療としては、腎動脈の狭窄部にカテーテルでステントを入れ、血管を拡張する方法が主流となっています。ステントは以前と比較すると改良が進み、合併症などのリスクも少なくなっていますが、医師の話をよく聞いておくようにしましょう。

(※2)レニンの分泌量が増えると、血圧上昇にかかわるアンジオテンシンⅠが活性化され、続いてより強い作用をもつアンジオテンシンⅡができることで、血圧が急上昇することが判明しています。
(※3)糖尿病などほかの病気の併発でも、腎機能の障害が起こるので、症状や対処法などには個人差があります。

こんなサインに注意したい

腎動脈狭窄症の最大の原因は、動脈硬化です。
動脈硬化といえば、心臓周辺の冠動脈や脳につながる頚動脈、そして下肢動脈などで起こりやすいことがよく知られています。それらと比べて腎動脈のことがあまり知られていないのは、自覚症状がほとんどないためです。
一般に、腎機能が低下すると尿の状態に変化がみられますが、腎動脈狭窄症の場合は、先に高血圧症状がみられることが少なくありません。そのため、高血圧そのものが危険を知らせるサインの1つなので、日頃から定期的に血圧測定をし、血圧の変化に気をつけましょう。
また、次のようなケースではとくに注意が必要とされています。
<腎動脈狭窄症が疑われるケース>
①定期健診などで、動脈硬化があるといわれた。
②50歳以上で急に高血圧になった。
③高血圧の治療を受けているのに、血圧が改善されない。
④薬(降圧薬)を飲んでいるのに、急な血圧上昇がみられる。
⑤原因不明の心筋梗塞や脳梗塞を起こした。

このうち、①と②は予防的な意味でのサインです。
加齢にともない、だれでも血管の老化による動脈硬化を起こしやすくなります。どこかに動脈硬化が発見された場合は、腎動脈についても疑ってみる必要があります。とくに急な高血圧の発症は、腎動脈狭窄症による可能性もあります。
次の③、④、⑤は、腎動脈狭窄症の疑いが強く、かつ危険性の高いサインです。腎動脈狭窄症があると、通常の高血圧治療を受けていても血圧が改善されにくいだけでなく、急な悪化状態を起こすケースも少なくありません。また、腎動脈に血栓ができていると、それが移動して心筋梗塞などを起こすリスクも高くなります。突然死を防ぐためにも、早めに超音波検査やCT造影検査を受け、適切な治療を受けることが大切です。

動脈硬化の早期発見と予防

腎動脈狭窄症の原因となる動脈硬化は、血管の老化現象の1つです。血管の老化は30歳頃からすでに始まっています。とくに、脂質異常や高血圧、高血糖などの症状があると、動脈硬化を促進させ、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こしやすくなります。
それだけに、定期健診などで「悪玉コレステロール値が高い」とか「血圧が高め」「血糖値が高め」などといわれた場合は、血管のどこかに動脈硬化が始まっている可能性があります。
日常生活では、次のような症状がみられた場合も要注意です。
・階段を上がると息切れや動悸がする。
・手足が冷えやすくなった。
・軽いめまいをときどき起こす。
・尿ににごりなどの異常がみられる。

また、動脈硬化の予防には、次のことを心がけましょう。
<動脈硬化を予防する生活習慣>
・血管の酸化、老化を促進するタバコをやめる。
・食事は腹八分目にし、血栓を予防するDHAを多く含む青魚(サバ、アジ、イワシなど)、血管の酸化を防ぐビタミンE(カボチャ、アーモンドなど)とビタミンC(赤ピーマン、イチゴ、キウイなど)をしっかり摂る。
・悪玉コレステロールや高血糖、高血圧を改善するウォーキングなどの有酸素運動を週に3日はおこなう。
・心疾患を防ぐ働きをもつ成長ホルモンの分泌を促進するため、夜ふかしせず、睡眠をきちんととる。
・血管を収縮させる原因となるストレスをためないように、趣味などで積極的に気分転換をする。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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