2019.11.08

vol.197 膝の音にご注意! 変形性膝関節症の始まりかも?

LINEで送る 一覧に戻る
Vol.197 膝の音にご注意! 変形性膝関節症の始まりかも?

ハイキングや山登りなどアウトドアが楽しい季節。健康増進のために歩くことは有意義ですが、ミドル~シニア世代は膝のトラブルをチェックしてから楽しみましょう。膝痛に悩む患者数は約3000万人といわれています。(※1)膝のトラブルの発見方法として注目されているのは膝の音。生理的に鳴る音もありますが、変形性膝関節症の始まりかもしれません。変形性膝関節症の患者は約1000万人と推定されています。(※1)今回は、変形性膝関節症の前ぶれである膝の音や違和感についてご紹介します。

要介護を防ぐために膝トラブルのチェックを

「平成28年 国民生活基礎調査」によると、手足の関節の痛みは自覚症状のランキングで男性では5位、女性では3位に上がっています。(※2) そして、65歳以上で介護が必要となった主な原因として、関節疾患は認知症、脳卒中、高齢による衰弱、骨折・転倒に続いて5位となっています。関節疾患が介護の原因になっているのは女性の方が多く、男性の2倍以上です。(※3)膝痛の8~9割は変形性膝関節症という病気で、変形性膝関節症においても男女比は1:4で女性に多く見られます。(※4、5)将来、要介護にならないためにも、関節の疾患、特にに膝の病気を防ぐことが大切です。

膝関節は太ももの骨(大腿骨=だいたいこつ)とすねの骨(脛骨=けいこつ)をつなぎ、立つ、座る、歩くなど人間の基本的な動作に重要な関節です。しかし、長年にわたり曲げ伸ばしを繰り返したり体重を支えたりと、負荷がかかっています。人間が立っているとき、体を安定させるために、膝関節の周囲の筋肉が引き合い、負荷がかかります。歩いたり、階段の上り下りなどではさらに負荷は大きくなります。

大きな負荷がかかってもすぐに損傷しないように、そして関節が滑らかに動くよう、大腿骨と脛骨の間は関節軟骨で覆われています。また、その他に半月板という特殊な軟骨もあり、衝撃を吸収して分散させる役割を担っています。

さまざまな理由で関節軟骨や半月板が擦り減ることで炎症や痛みが起こるのが、変形性膝関節症です。原因の1つは加齢であり50歳を超えると発症する傾向にあります。(※5)

40代から膝の音や違和感に注意

変形性膝関節症は痛みが出る前の段階で、膝を動かしたときに、音がしたり違和感やこわばりなど前触れのような症状がみられます。食品メーカーの調査によると、40代男性の約90%、女性の約77%が膝の音や違和感を覚えると回答しています。(※6)

単発でポキッとなる音は、生理現象で心配ありませんが1日に何度も音が鳴る場合は注意が必要です。米国の調査研究では、膝関節の音の頻度が高いほど変形性膝関節症の確立が高いことが示されています。(※7)変形性膝関節症の症状のない男女3,495名を対象に、「膝を動かした時にきしみを感じたり、音が鳴ったりすることがあるか?」という質問に答えてもらい、レントゲンで判定したところ、「まれにある」と回答したグループは「全くない人」に比べて変形性膝関節症になる危険度が1.5倍、「いつもある」というグループは3倍という結果となりました。

膝の音は、膝の曲げ伸ばしでジャリジャリやポキポキと耳で聞こえるものだけではありません。手のひらを膝に当てて感じてみてください。膝の音や違和感がしたら、早めに整形外科にかかりましょう。前触れを放置しておくと、動くたびに膝が痛む、曲げ伸ばしがしにくいなど生活に関わってきます。さらには、歩行困難になって寝たきりになる危険性もあります。

実は膝の音は初期の段階だけではなく、進行期にも現れます。初期は軟骨の水分が減り、膝軟骨が摩耗し音が鳴ります。中期に入ると、軟骨がなくなり関節液が増え、摩擦音を感じにくくなります。進行期になると、軟骨の下の骨が擦り減り、骨同士がぶつかりあって音が生じるようになります。

音が一時収まっても、膝関節変形症は進行していますので、少しでも早く整形外科を受診することをお勧めします。

膝変形関節症を予防するために

肥満の人や、過去または現在に激しいスポーツをしている人、立ったり座ったりする動作が多い生活をしている人、過去に膝のケガをした人は、変形性膝関節症のリスクが高く注意が必要です。適度な運動を続け、脚の筋力や柔軟性を高めておくことが予防につながります。

スクワット、フロントランジ(片足ずつ前に出す動作)など太ももの筋肉(大腿四頭筋)や、ももの裏の筋肉(ハムストリング)の筋肉トレーニングや、可動域を広げるストレッチなどが効果的です。また、テニスなどのスポーツを行う場合は外傷に気を付け、準備運動やクールダウンを欠かさず行いましょう。

また、変形性膝関節症にかかってしまっても、運動療法で痛みを緩和することができます。変形性膝関節症は運動療法が効果的ですが、強い痛みや腫れがある人は医師の指示に従って行いましょう。

肥満の人は、体重を減らすことが必須です。体重を3㎏減らせば階段を降りるときの衝撃を10㎏減らすことができます。(※5)

日頃からの膝のケアが大切です。適切な運動と肥満解消、そして前触れを感じたら早めに治療することが要介護を遠避けます。

(※1)介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について 報告書 平成20年7月」

(※2)厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」

(※3)内閣府「平成30年版高齢社会白書」

(※4)公益社団法人 日本整形外科学会HP

(※5)主婦と生活社「NHKきょうの健康 関節いきいき健康法」

(※6)ゼライス株式会社「膝の痛み・音に関する調査」2018年11月

(※7)Arthritis Care &Research;2018 Jan;70(1):53
Lo GH1, Strayhorn MT1, Driban JB2, Price LL2, Eaton CB3, Mcalindon TE2「Subjective Crepitus as a Risk Factor for Incident Symptomatic Knee Osteoarthritis: Data From the Osteoarthritis Initiative.」

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

この記事をシェアする

LINEで送る
blank 商品のご購入はこちら
このページの先頭へ戻る