2019.12.10

vol.198 高血圧を改善する「DASH食」って何?

LINEで送る 一覧に戻る
Vol.198 高血圧を改善する「DASH食」って何?

忘年会や新年会など、外食の機会が増える年末年始。塩分過多の食事が増え、高血圧の予防やケアを行っている人は注意が必要です。塩分の排出を促す「DASH(ダッシュ)食」は、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにも掲載され、降圧のための食事療法の1つとして臨床の現場でも利用されています。(※1)高血圧の治療をすでに行っている人には知られている食事法ですが、年末年始に向けておさらいをしておきましょう。家庭の食事だけでなく、外食でも取り入れたいDASH食。外食時の注意点なども加えて、ポイントをまとめてご紹介します。

3つの塩だしミネラルが血圧を低下

DASH食とは、「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、高血圧を防ぐ食事法という意味です。もともと米国で高血圧改善のために推奨されていた食事法で、同国の臨床試験ではDASH食を2ヶ月続けたところ、最高血圧が平均して11.4mmHgも下がったと報告しています。(※2)

その内容は、塩分と炭水化物を抑えて、カリウム、カルシウム、マグネシウムの3つのミネラルと食物繊維をたっぷりと取るという方法。この3つのミネラルは塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。

減塩と共に、なぜDASH食が必要かというと、加齢とともに腎臓機能が弱まり、塩分が尿と一緒に排出されにくくなるからです。体の中に塩分をため込まないために、塩分排出に働く3つのミネラルが必要なのです。

まずは、なぜ塩分が血圧上昇を招くのかをおさらいをしておきましょう。塩分とは塩化ナトリムという物質でナトリウムイオンと塩化物イオンが結合したものです。体液の中ではイオンの状態でナトリウムと塩化物に分かれています。血圧上昇に関わるのはナトリウムの方で、細胞内のナトリウム濃度が上がるとそれを薄めようとして水分が入り、血液量が増え血圧が上がります。

DASH食で提唱する3つのミネラルにはそれぞれ違った血圧を下げる働きがあります。

まずはカリウムです。カリウムが細胞内に入ると、ナトリウムが排出され血液中の水分が減り、血圧が下がります。また、摂取したナトリウムとカリウムは腎臓でろ過されますが、それぞれ血管に再吸収されます。そこでカリウムが多いと、ナトリウムの吸収を阻害するため、結果的に血圧が下がります。

次はカルシウムです。カルシウムが不足すると、骨や歯などからカルシムを溶かし出し、血中のカルシウム濃度が高くなります。すると、血管壁が収縮するため、血圧が上がってしまいます。これは「カルシウムパラドックス」といわれ、ややこしい仕組みですが、カルシウムの補給が血圧を下げることにつながります。

マグネシウムは、細胞内からナトリウムを排出し、カリウムを取り入れる働きを調節してくれます。さらに、動脈を広げて血圧を下げる働きがあります。

野菜、大豆製品、海藻をたっぷり

カリウム、カルシウム、マグネシウムは、野菜、果物、肉、魚など多種類の食品に含まれています。たくさん食べればそれだけ量は取れますが、カロリーオーバーで肥満につながるため、食べ過ぎには注意しましょう。

塩分やカロリーを控えて3つのミネラルを多く取るには、いかに効率よく取るかが重要です。3つのミネラルを多く含む食品は、大豆、大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、ブロッコリー、にんじん、アーモンド、いわし、しらす干しなどです。

また、3つのミネラルに加えてDASH食で推奨しているのがアルギン酸です。海藻類などに含まれるアルギン酸は、海藻の組織内でカリウムと結びついた形で存在しています。アルギン酸が体内に入ると、分子構造上カリウムが離れナトリウムと結びつき、対外へ排出してくれます。

外食が多くなる年末年始は、DASH食や減塩に取り組んでいても忘れてしまいがち。外食で選ぶなら、ビュッフェスタイルのレストランがお勧めです。カリウムを多く含む野菜を最初に多めに取って、お腹を満たします。ただし、サラダの場合はドレッシングを少なめにしておきましょう。

また、居酒屋などで塩分過多のメニューが予想される時は、食事の前にバナナや牛乳などを飲んでお腹を満たしていきましょう。無塩のアーモンドを食べてから行くのもオススメです。アーモンドは腹持ちが良く、食べ過ぎを防いでくれるだけでなく、血管を広げて血圧を下げるマグネシウムが豊富です。飲み会でのメニューは豆腐製品や野菜たっぷりの鍋などを選ぶようにして、塩蔵品など塩分の多い食品は控えましょう。

サプリメントよりも食事で3つのミネラルを取る

3つのミネラルはサプリメント商品として見かけますが、食事で取るようにしましょう。サプリメントを飲んだから、塩分過多の食事をしていいというわけではなく、逆に3つのミネラルは、過剰に摂取をすると体の害になることもあります。

特に腎臓機能が弱まっている人は、サプリメントなどでカリウムを取り過ぎないように注意しましょう。腎臓機能が低下している場合、排せつする機能がきちんと働かない場合があります。カリウムを過剰に摂取し過ぎると、高カリウム血症になり不整脈を引き起こすことがあります。

血圧コントロールの基本は、食事療法と運動です。基本を忘れずに、年末年始の外食はDASH食で乗り切りましょう。

(※1)日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019」

(※2)Appel LJ1,et al「A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure. DASH Collaborative Research Group.」N Engl J Med. 1997 Apr 17;336(16):1117-24

大槻陽一「高血圧を下げる 新・食事法」成美堂出版
NHK科学・環境番組部他「脱・高血圧の超特高ワザ」主婦と生活社

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

この記事をシェアする

LINEで送る
blank 商品のご購入はこちら
このページの先頭へ戻る