2007.02.09

vol.44 ここがポイント! 高齢者の高血圧対策

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高齢者と高血圧

Vol.44 ここがポイント! 高齢者の高血圧対策 高齢になるほど、高血圧の人が増えてきます。例えば高血圧の患者数を年代別にみますと、30歳代では男性23.1%(女性 7.6%)であるのに対し、40歳代では40.4%(20.8%)、50歳代では51.3%(40.9%)、60歳代では60.4%(56.7%)、70 歳代では68.9%(64.9%)と増加していることがわかります(※1)。
ところがその一方で、高齢者の高血圧にはさまざまな特徴があることは、あまり知られていません。そのため「高齢なので仕方がない」と放置していたり、日常のちょっとした注意を知らずにいて、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気を引き起こす例が少なくありません。

では高齢者の高血圧には、どのような特徴があるのでしょうか。

1. 血圧、とくに最高血圧(収縮期血圧)が高くなりやすい。
2. 血圧が高いわりに、脳の血流量が少ない。
3. 血圧変動のリズムが乱れやすい。
4. 糖尿病を併発するケースが多い。
5. 温度差などの影響で、脳卒中や心臓病を起こしやすい。

こうした特徴を知っておき、日常の血圧を上手にコントロールすることが、脳卒中などの予防にはとても大切です。

(※1)厚生労働省『第5次循環器疾患基礎調査(2002年)』より。

1.最高血圧はなぜ高くなる

心臓が収縮して血液を送り出すとき、血管壁にかかる圧力が最高血圧(収縮期血圧)です。成人の場合、高血圧の基準は最高血圧が140mmHg以上(または最低血圧が90mmHg以上)ですが、高齢者では最高血圧が高くなり、最低血圧との差が大きくなる傾向がみられます。
最高血圧が高くなるのは、老化によって血管の弾力性が低下し、血液の流れが悪くなるためです。また、自律神経の働きも低下し、血管の収縮や拡張がうまくできなくなることも、原因のひとつです。
高齢者の場合、最高血圧が少し高めでも、ほかに合併症(糖尿病、腎臓病、高脂血症など)がなければ、病院では薬による治療はすぐには行わず、生活指導を優先するケースが多くみられます。薬が効きにくかったり、反対に薬で急激に血圧が下がると、危険な場合があるためです。
しかし、そんな場合でも、油断していると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などを起こすことがあります。最高血圧が高めだとわかったら、食事や運動などについて医師の生活指導をよく守り、動脈硬化になるリスクを少しでも減らすようにしましょう(※2)。

(※2)食事や運動については、「生活習慣病基礎知識・高血圧」のページもご参照ください。

2.脳の血流量が少ないとは?

血圧が高いのに、脳を流れる血液の量が減少しやすいのも、高齢者の特徴のひとつです。
脳はもともと血圧の影響をあまり受けずに、一定の血液量を維持する機能をもっています。ところが高齢になるとこの機能も低下するため、脳に血液を送るには高い圧力(血圧)が必要となります。
そんなときに薬で血圧を急に低下させると、脳の血液量も減ってしまうことがあります。その結果、めまいや立ちくらみ、だるさ、場合によっては脳梗塞を起こしかねません。
高齢者の中には、こうした症状に気付かない人も少なくありません。本人だけでなく、家族の方も様子に気を付け、もし、めまいなどがみられたら、医師に相談しましょう。

3.血圧変動のリズムって?

血圧は一般に、朝から日中は高めで、夜間には低くなります。とくに就寝中の深夜には、最も低くなります。
ところが高齢者の場合、自律神経の機能が低下していたり、動脈硬化がみられると、血圧変動のリズムが乱れ、夜間や就寝中にも血圧が下がらないことがあります(夜間高血圧)。また、早朝に血圧が一定以上に高くなるケースもあります(早朝高血圧 ※3)。
こうした状態を知らずにいると、心臓や血管に負担を与え、脳卒中や心臓病などのリスクが高くなります。夜間高血圧や早朝高血圧は、病院で日中に血圧測定するだけではわかりにくいので、家庭でも血圧測定を行い、その記録を医師にみせるようにすることが、予防につながります。

(※3)夜間高血圧と早朝高血圧、家庭での血圧測定の詳細については、「生活習慣病基礎知識・高血圧」をご参照ください。

4.糖尿病の併発に注意を

高血圧と関係する病気にはさまざまありますが、高齢者がとくに注意したいのは糖尿病です。
厚生労働省の調査では、糖尿病の患者さんの約40%が高血圧を併発しています。また高血圧の人は、高血圧でない人と比較すると、糖尿病になる確率が2~3倍も高くなります(※4)。
両方の病気がなぜ関係するのか、その理由はまだわかっていませんが、放置していると両方ともが悪化してしまいます。とくに高齢者の場合、加齢による血管の老化も加わり、動脈硬化を一層促進することになるので注意が必要です。もし検査などで血圧が高いといわれたときは、糖尿病の検査も受けるようにしましょう。
糖尿病を併発している場合には、血圧だけを管理しても症状の改善は期待できません。それぞれの治療をきちんと行い、血圧と血糖値の両方をコントロールすることが大切です。

(※4)平成10年に実施された厚生労働省による『糖尿病調査』などより。

5.日常生活で気を付けたいこと

高齢者の高血圧では、温度差や水分不足などちょっとしたことが引き金となり、脳卒中や心臓病を起こしやすい傾向があります。日常生活では、次のことに注意しましょう。

冬の入浴時やトイレに気を付ける

冬の深夜や早朝などに、暖かい場所(リビングなど)から寒い場所(脱衣所や浴室、トイレなど)へ行くと、血管が収縮して血圧が上昇します。いきなり熱い湯に入ったときにも血圧が上昇し、からだが温まると今度は血圧が低下します。こうした血圧の急激な変化は、血管や心臓に大きな負担となります。
寒い場所は事前に温めておく(トイレにはヒーター、浴室はシャワーを出す)、浴槽につかる前にかけ湯をしてからだをならす、といった注意を忘れないようにしましょう。

脱水症状に気を付ける

高齢になるほど、のどの渇きに気付きにくくなります。汗をかく季節はもちろん、冬でもエアコンの暖房で乾燥した部屋にいると水分不足状態になりがちです。のどの渇きとは関係なく、1~2時間おきにお茶や水などをとる習慣をつけましょう。
睡眠中も少しずつ汗をかくので、朝起きた時にはからだは水分不足状態です。高血圧の人は、夜寝る前や朝起きた時に水分をとるように心がけてください。

ゆっくり行動し、ストレスを避ける

急激な動きも、高血圧の高齢者には禁物です。とくに血圧が上がり始めている朝は、ゆっくり行動することが大切です。起床後に血圧を測定する場合は、トイレを済ませ、食事前に安静の状態で測定します。その後、ゆっくり手足を伸ばしたり、からだをほぐしたりして、日常の活動の準備を整えましょう。
またストレスも、血圧を上げる要因です。とくに怒ったり、イライラしたりすると血圧が急上昇し、脳卒中などの原因となります。日ごろからできるだけ平穏な気持ちで生活することを心がけ、イライラしたときには好きなテレビ番組を見る、買い物をする、読書をするなど、意識的に気分転換を図るようにしましょう。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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