vol.153 炭酸飲料を好んで飲みますが、糖尿病の原因になりますか?

生活習慣病Q&A
炭酸飲料を好んで飲みますが、糖尿病の原因になりますか?
加糖炭酸飲料やコーラや果汁飲料をよく飲む人は、将来糖尿病になるリスクが高まる可能性があります。
炭酸飲料(炭酸を含んだ清涼飲料水)には、炭酸水、果汁・乳製品が加えられたもの、果実・果汁の香り・果汁の色をつけたもの、甘味料・酸味料・フレーバーなどがあります。

英国ケンブリッジ大学による研究では、糖分が加えられた加糖炭酸飲料や加糖乳飲料をよく飲む人ほど、10年間で糖尿病になるリスクが高くなることがわかりました。甘い飲料を好んで飲む人は肥満、運動不足、教育レベルが異なる可能性があるため、それらの因子を調整しても同じような関連性が認められています。1日1杯とるごとに、糖尿病になるリスクは22%増加するとされています。逆に、糖分を含む加糖飲料を1日1杯、無糖のコーヒー、無糖の紅茶や水に置き換えると、糖尿病の発症リスクが14%から25%も減少する可能性があると推計しています。

日本における多目的コホート研究(JPHC研究)では、コーラや果汁飲料(100%未満)、100%果汁ジュース、野菜ジュースについて「ほとんど飲まない」「週に2回以下」「週に3~4回」「ほぼ毎日」の4区分に分けて解析されています。その結果、10年間の糖尿病発症において女性で「コーラや果汁飲料(100%未満)」の清涼飲料水をよく飲む人は、糖尿病の発症リスクが高いことが示されています。加糖炭酸飲料が糖尿病発症リスクを上昇させる理由として、摂取エネルギーの過剰、飲料に含まれる果糖(フルクトース)が内臓脂肪の蓄積やインスリン抵抗性を引き起こすことが考えられています。

過剰な果糖摂取が内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性を引き起こすことは動物実験でも確かめられています。皆さんは、どのような飲み物がお好きでしょうか?

先生のプロフィール

坂根 直樹先生

坂根 直樹 先生

独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
略歴
昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長
ご専門
糖尿病、糖尿病教育、内分泌

関連コラム

商品を見る