vol.114 自覚症状がない「尿路結石」にも要注意!
健康・医療トピックス
「まいったよ。夜中に急におなかが痛くなって、救急車で運ばれたら尿路結石だった」。中高年の男性からときどきこんなエピソードを聞きます。尿路結石は痛くて耐えられないものだと、激痛に襲われるイメージがありますが、まったく自覚症状がないのに検診の超音波検査で「結石があります」と言われる人が多くなっています。
尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石がある状態です。日本では、腎臓と尿管に結石がある「上部尿路結石」が95%を占めています。おもな自覚症状は、わき腹から下腹部にかけての激痛や血尿ですが、腎臓に結石がとどまっている状態では、まったく症状がないケースがあるのです。このような場合、治療は必要なのか。決め手となる診断法として重要性を増しているのがCT検査です。現在および将来的に「結石が尿の流れをせき止めているか」、「感染を起こしているか」が、尿路結石で治療を行うかどうかを判断する大きなポイントです。
CT検査では、画像によって正確に診断できるため、結石の見落としが少ないことが大きな特長です。腎臓の閉塞の程度もよくわかるほか、結石が硬いものか、隙間のあいたスカスカのものかといった石の密度まで判断できるため、診断後、治療の選択が適切にできるというメリットがあるのです。
尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石がある状態です。日本では、腎臓と尿管に結石がある「上部尿路結石」が95%を占めています。おもな自覚症状は、わき腹から下腹部にかけての激痛や血尿ですが、腎臓に結石がとどまっている状態では、まったく症状がないケースがあるのです。このような場合、治療は必要なのか。決め手となる診断法として重要性を増しているのがCT検査です。現在および将来的に「結石が尿の流れをせき止めているか」、「感染を起こしているか」が、尿路結石で治療を行うかどうかを判断する大きなポイントです。
CT検査では、画像によって正確に診断できるため、結石の見落としが少ないことが大きな特長です。腎臓の閉塞の程度もよくわかるほか、結石が硬いものか、隙間のあいたスカスカのものかといった石の密度まで判断できるため、診断後、治療の選択が適切にできるというメリットがあるのです。

上部尿路結石の治療法
腎臓に結石があっても、尿の流れや感染に問題がなく、痛みもないという場合は経過観察というケースもあります。また、痛みを感じる尿管結石でも、結石の長径が5ミリ以下では、自然に排泄する可能性が高いとされています。つまり、手術が行われるのは、結石が自然に排出されず、閉塞や感染によって腎機能が障害されている場合です。
上部尿路結石の手術は、結石に衝撃波エネルギーを照射して砕き、尿中に排出させる「体外衝撃波砕石術(たいがいしょうげきはさいせきじゅつ)」が主流でした。機器の改良によって副作用や痛みが少なく、麻酔なしの日帰り治療が可能になり、患者の体への負担が軽減された反面、結石を砕く効率は低下しています。それにともなって、普及してきたのが内視鏡を用いたレーザー手術です。尿の流れとは逆向きに内視鏡を入れて、結石を取ったり、レーザーで砕きます。この「経尿道的腎尿管砕石術(けいにょうどうてきじんにょうかんさいせきじゅつ)」は、現在、治療数が増えてきました。また、尿管を通らないほどの大きな結石の場合は、皮膚から腎臓のほうに内視鏡を挿入し、結石を砕いて採取する「経皮的腎砕石術(けいひてきじんさいせきじゅつ)」が行われています。
上部尿路結石の手術は、結石に衝撃波エネルギーを照射して砕き、尿中に排出させる「体外衝撃波砕石術(たいがいしょうげきはさいせきじゅつ)」が主流でした。機器の改良によって副作用や痛みが少なく、麻酔なしの日帰り治療が可能になり、患者の体への負担が軽減された反面、結石を砕く効率は低下しています。それにともなって、普及してきたのが内視鏡を用いたレーザー手術です。尿の流れとは逆向きに内視鏡を入れて、結石を取ったり、レーザーで砕きます。この「経尿道的腎尿管砕石術(けいにょうどうてきじんにょうかんさいせきじゅつ)」は、現在、治療数が増えてきました。また、尿管を通らないほどの大きな結石の場合は、皮膚から腎臓のほうに内視鏡を挿入し、結石を砕いて採取する「経皮的腎砕石術(けいひてきじんさいせきじゅつ)」が行われています。
再発を繰り返す尿路結石
尿路結石は、治療しても再発を繰り返す人がいます。結石の原因はカルシウム含有結石が最も多く、再発する人の約半数からカルシウムや尿酸の代謝障害が見つかります。再発する場合は、原因になっている病気を調べて治療することや、結石の成分を調べることが大事です。尿の中のシュウ酸の検査は保険適用になっていませんが、尿路結石の経験が複数回ある人は、検査した方がよいでしょう。
また、結石の形成に細菌がかかわっていることもあります。尿の中には、たくさんの尿素が含まれています。尿素分解酵素をもっている一部の細菌が尿素を分解すると尿がアルカリ性になり、リン酸マグネシウムアンモニウム結石ができやすくなります。細菌は結石の中にいるため、結石を採らないとまた増えます。結石の原因に細菌がかかわっていないか知っておくことも大切です。
また、結石の形成に細菌がかかわっていることもあります。尿の中には、たくさんの尿素が含まれています。尿素分解酵素をもっている一部の細菌が尿素を分解すると尿がアルカリ性になり、リン酸マグネシウムアンモニウム結石ができやすくなります。細菌は結石の中にいるため、結石を採らないとまた増えます。結石の原因に細菌がかかわっていないか知っておくことも大切です。
尿路結石はメタボの危険因子
ところで、最近の研究から尿路結石が形成される機序が動脈硬化の石灰化とよく似ていることがわかり、尿路結石はメタボリックシンドロームの危険因子としても注目されています。年末年始は飲食の機会が多く、体重が増えやすい時期。食べ過ぎ、飲み過ぎ、夜型の食生活は、尿路結石の要因でもあります。「結石は夜、作られる!」ということを意識して、結石の芽ができないように、次のことに気をつけたいものです。
・寝る前の飲食は控える
寝ている間、体内では食べ物が消化吸収され、老廃物が出ますが、水分補給がないため朝は濃い尿が出ます。これは老廃物が溶け過ぎ、結石ができやすい尿。寝る前の食事は尿を濃くして尿路結石のリスクを高めます。夕食は就寝の4時間前、少なくとも2時間前に済ませましょう。再発しやすい人は、意識的に飲水量を増やしましょう。
・栄養のバランスよく、お酒はほどほどに
肉や魚などの動物性たんぱく質には、チッ素や硫黄が含まれています。これが分解されると酸ができますが、それを排泄できるのは腎臓だけ。腎臓から酸を排泄すると尿は酸性になって尿酸結石やシュウ酸カルシウム結石ができやすくなります。尿はお酒を飲んだときも酸性に傾きます。食事やおつまみは肉や魚に偏らず、野菜を含めてバランスよく、お酒はほどほどの量にしましょう。
・塩分の取り過ぎに注意
尿中にナトリウムが排泄されるとき、カルシウムも一緒に排泄されます。塩分の摂取量が多いと尿中のカルシウムの量が増え、結石ができる危険因子の一つになります。塩分は控えめを心がけましょう。
監修 杏林大学医学部泌尿器科学教室 教授 奴田原 紀久雄先生
・寝る前の飲食は控える
寝ている間、体内では食べ物が消化吸収され、老廃物が出ますが、水分補給がないため朝は濃い尿が出ます。これは老廃物が溶け過ぎ、結石ができやすい尿。寝る前の食事は尿を濃くして尿路結石のリスクを高めます。夕食は就寝の4時間前、少なくとも2時間前に済ませましょう。再発しやすい人は、意識的に飲水量を増やしましょう。
・栄養のバランスよく、お酒はほどほどに
肉や魚などの動物性たんぱく質には、チッ素や硫黄が含まれています。これが分解されると酸ができますが、それを排泄できるのは腎臓だけ。腎臓から酸を排泄すると尿は酸性になって尿酸結石やシュウ酸カルシウム結石ができやすくなります。尿はお酒を飲んだときも酸性に傾きます。食事やおつまみは肉や魚に偏らず、野菜を含めてバランスよく、お酒はほどほどの量にしましょう。
・塩分の取り過ぎに注意
尿中にナトリウムが排泄されるとき、カルシウムも一緒に排泄されます。塩分の摂取量が多いと尿中のカルシウムの量が増え、結石ができる危険因子の一つになります。塩分は控えめを心がけましょう。
監修 杏林大学医学部泌尿器科学教室 教授 奴田原 紀久雄先生
※このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。