vol.13 狭心症・心筋梗塞治療に期待される薬剤溶出ステント

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Vol.13 狭心症・心筋梗塞治療に期待される薬剤溶出ステント 狭心症・心筋梗塞の治療でよく知られているのは「冠状動脈バイパス手術」ですが、日本では7:1の割合で圧倒的に「経皮的冠状動脈形成術(PTCA)」のほうが多くみられます。
PTCAは冠状動脈が狭くなったり、詰まってしまったり(狭窄・閉塞)で起きる狭心症・心筋梗塞を、胸部や心臓にメスを入れずに冠状動脈の狭窄・閉塞を治し、再び血流が流れるようにする方法で、「心臓カテーテル治療」ともいわれています。

PTCAにもいろいろありますが最も代表的な方法は「バルーン(風船)療法」です。脚のつけ根の動脈、または肘や手首の動脈からカテーテル(細い管)を入れ、それを冠状動脈の入り口部まで挿入します。そして、カテーテルからワイヤを伸ばし、閉塞部を貫き、バルーン部分の中央が閉塞部の中央に入った時点で、数気圧をかけてバルーンを膨らませます。バルーンに押されるようにして粥腫(じゅくしゅ)と呼ばれるコレステロールのかたまりがつぶれ、閉塞部は広がって再び血液が流れ出すのです。

ところが、1979年から日本でも始まったPTCAには弱点が――。それは、さまざまな原因が複合的に関与して、再び狭窄が起こるのです。再狭窄率約40%。それもPTCA実施後3~6カ月の間に約90%と集中しているのです。
この弱点をカバーすべく1985年にステンレス製のステントがバルーン療法と組み合わされ、改良が重ねられて1993年ごろから広く用いられるようになりました。ステントとは網状の筒(主にステンレス製)で、これをバルーン後、患部に留置してくるのです。このステント留置が再狭窄率を40%から 15~20%へと強力に低下させてくれ、今では治療の中心として広く行われています。

ステント留置は信頼度の高い治療ですが、再狭窄ゼロを目指し医療技術はさらに驚くべき進歩を見せています。
再狭窄は、3層構造になっている血管の最も内側が刺激され、内膜細胞が過剰につくり出されることで起こります。それならば細胞増殖を抑える薬をあらかじめステントに塗布しておけば…と考えられ、1990年代の後半、薬剤溶出ステントが登場したのです。
ステント部に細胞増殖を抑える薬のシロリムス、もしくはタキソールを塗布し、これがおよそ14~18日間かけて、血管壁に徐々にしみ込んでいきます。シロリムスは免疫抑制剤、タキソールは抗がん剤です。そしてシロリムスとタキソールのどちらの薬剤溶出ステントも、米国での臨床試験で再狭窄率8~9%と、さらに半減させたのです。
この臨床試験を受けて、欧米諸国ではシロリムス溶出ステントがすでに認可されています。日本でも今年度の認可が、大いに期待されており、その日が待たれています。
医療の進歩は、まさに日進月歩といえるでしょう。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
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