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vol.179 治療でよくなる「外反母趾」と「足の病気」

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Vol.179 治療でよくなる「外反母趾」と「足の病気」

足の親指が「く」の字に曲がり、突き出した関節が痛み、靴が履けなくなる外反母趾(がいはんぼし)。靴を履く文化のある欧米では、よく知られた足の病気です。日本では病気という認識が乏しく、欧米に比べると手術する人はまだ少ないのですが、高齢化とともに足の変形は増えると予想され、今後は、日本でも手術治療が必要になる人が増加するとみられています。
足は体の重みに耐えて歩行を支える要です。足先は全身の健康とつながっており、生活の質に支障があるときは、適切な治療が大切です。診療の現場では、すでに体に負担のかからない手術に取り組む医師がいます。外反母趾やその他の足の病気についても知っておきましょう。

外反母趾の原因

外反母趾は、女性に多く発症します。年齢は10代から高齢者まで幅広く、30~50代で悪化しやすいと言われています。主な原因は、ハイヒールや幅の狭い靴、つま先が細い靴を履くことによって、足の親指のつけ根が押されることですが、「ハイヒールを履いた覚えがないのに、中学生や高校生のころから親指の変形が目立ってくる人もいます。もともと素因があったり、先天的な腰の病気、足の親指の筋肉が動かしにくくてなる人もいます」。外反母趾の診療に詳しい千葉愛友会記念病院 整形外科の倉茂聡徳部長は、こう話します。

体に負担のかからない手術とは

外反母趾は、親指が曲がった角度や痛みなどから、軽症(20~30度)、中等度(30~40度)、重症(40度以上)に分けられます。治療は、靴の選び方や中敷きの調整、足の指の体操などを指導する保存療法と手術療法があります。痛みが強く、変形によって合う靴がない場合は、手術が選択されます。外反母趾は術式がとても多く、一般的には重症度や症例に応じて選択されますが、患者の体に負担のかからない手術では、次のような方法が行われています。

  • デルモ法
    軽度から中等度の外反母趾が対象です。足の親指の皮膚を小さく切開し、曲がった親指の第一中足骨を切り、横にずらしてピン(針金)を入れ、親指を真っすぐにする手術です。骨の位置を固定することで骨をくっつけ、1カ月後にピン(針金)を抜きます。
  • 経皮的手術
    中等度から重症になると切開する箇所が多く、回復にも時間がかかります。そこで、幅3mmの小さいメスや特殊な刃がついた細い棒状の専用器具を使って手術するもので、国内では、倉茂部長が積極的に取り組んでいます。「この手術は、小さく切開するため、皮膚の治りがよいことがメリットです。重症度が高いと骨に栄養を送っている骨膜も剥がさなくてはなりませんが、骨膜を傷つけことも少なく、骨のくっつきも悪くないと思います」(倉茂部長)。

手術を選択するタイミングは

外反母趾は、変形しても痛みが出ないこともあります。しかし、そのままにしていると他の指などに負担がかかり、親指以外から痛みが出ます。「足は28個の骨が筋肉、靭帯(じんたい)、腱(けん)などに支えられて形が作られています。足先の形が崩れることによって、しわ寄せが他にいくのです。治療は患者さんの希望が大切ですが、親指が中等度以上に曲がり始めたら手術を検討することをお勧めします」。

  • 小脳のトレーニング
    右利きの人は右手を前にしっかり伸ばし、親指を立てます。左手の人差し指は顎に当て、頭を動かさないようにします。その状態で伸ばした右手を左右に30度づつ動かして、目は右手親指の爪を追いかけます。目を動かすことで小脳を鍛える方法です。目で追いにくい場合は動体視力が低下しており、小脳の機能の衰えが考えられます。
  • 三半規管(耳)のトレーニング
    右利きの人は右手を前に伸ばし、親指を立てます。首を左右に30度ずつ振りながら、右手の親指の爪から目を離さないようにします。このトレーニングで目が外れやすい場合は、その方の三半規管の機能が低下している可能性があります。

外反母趾以外の足の病気を知っておこう

また、足には外反母趾以外の病気があります。それらはほとんど知られておらず、似た症状に別の病気が隠れていることがあるので、一緒に覚えておきましょう。

  • 強剛母趾(きょうごうぼし)
    外反母趾に次いで多い足の親指の病気です。真横から見ると親指の関節の骨が鶏のトサカのように盛り上がり、靴が当たって痛い、親指が反らないという症状が特徴です。高齢の男性に多く、加齢が原因です。痛みがある場合は、盛り上がった骨を削って治療します。
  • 内反小趾(ないはんしょうし)
    足の小指の付け根が靴に当たって痛み、外反母趾と合併していることが多い病気です。小さく切開して骨をピン(針金)で固定して治療します。
  • モートン神経腫
    足の指の3番目と4番目の間が開いて、その間にしびれが起こります。「ハイヒールを履く」「しゃがんで作業する」人に発症しやすく、神経の根元がぐっと押されることで痛みが生じます。手術で治すことは少なく、薬物療法や生活指導で足の負担を分散させるようにします。倉茂部長によると、モートン神経腫は、最近、増えている足の病気で、診断がつかないことが多く、注意が必要と言います。「ある患者さんは、この病気を疑って受診されましたが、検査するとリウマチでした。モートン神経腫は、神経が腫れているだけで画像検査では分からないことが多いのです。リウマチは、足から症状が出ることがあるので気をつけてください」。

監修 千葉愛友会記念病院 整形外科部長 倉茂 聡徳 先生
取材・文 阿部 あつか

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