2016.03.10

vol.153 骨を丈夫に保ち、"健康寿命"を延ばそう

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Vol.153 骨を丈夫に保ち、

私たちの健康を阻害するのは病気だけではありません。骨折・転倒も、健康的な生活を妨げる要因になります。では、その危険から逃れるためにはどうしたらいいのでしょうか。まず重要なことは、骨を丈夫に保つこと。そのためのヒントをお伝えします。

「健康寿命」ってそもそも何?

寿命に関して、「平均寿命」と「健康寿命」という二つの言葉があります。
「日本は長寿国だ」といわれたりするときに使われる平均寿命に対して、健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。人に助けられたりしなくても、自分の思い通りの日常生活を送れる寿命が健康寿命です。そしてこの二つに大きな差があることが、最近問題となっています。
2013年の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳です。これに対して健康寿命は男性71.19歳、女性74.21歳となっています※1。その差は男性9.02年、女性12.40年。この長い年月が、自分で歩けなかったり要介護だったり、最悪の場合はベッドで寝たきりの状態と、自由な生活を送ることができなくなってしまう期間です。平均寿命と健康寿命の差を縮めることができれば、より幸せな生活を送ることができることは説明するまでもないでしょう。

では、健康的な生活を送ることができなくなる原因はどんなことでしょうか。
介護が必要となった主な原因を見ると、
1位が脳卒中(18.5%)、2位が認知症(15.8%)、3位が高齢による衰弱(13.4%)、4位が骨折・転倒(11.8%)、5位が関節疾患(11.9%)、6位が心臓病(4.5%)となっています※2。

骨折・転倒はわずか11.8%かと思うかもしれません。しかし、骨折など外傷によって身体活動が減少すると、さらなる危険が待ち受けています。骨折をしなかったとしても、一度転倒を経験してしまうと、歩くことに不安を感じて外出を恐れてしまう「転倒後症候群」に陥ることもあるのです。
また、外傷によって身体活動が減少することで筋力の低下、骨粗鬆症の進行が心配されます。さらに、動かなくなってしまうことでメタボリックシンドロームになり、そこから高血圧脂質異常症糖尿病といった生活習慣病につながる危険性も増します。これらのリスクは、転倒後症候群によって身体活動が減少しても同様です。
認知症やうつ傾向になりやすいといったリスクも指摘されています。ちなみに認知障害と診断された人でも、ウォーキングなどのリハビリをしっかり行うことによって、改善するケースが多いことも報告されています。
骨がもろくなっている人は、ちょっとした転倒でも骨折につながりやすくなってしまいます。骨を丈夫に保つことによって骨折・転倒を未然に防ぐことができれば、不健康な状態に陥らずにすむ可能性が高まるのです。

※1 平均寿命は「平成25年簡易生命表」(厚生労働省)、健康寿命は「平成25年簡易生命表」「平成25年人口動態統計」「平成25年国民生活基礎調査」(いずれも厚生労働省)、「平成25年推計人口」(総務省)より算出

※2 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)より

骨はこうしてつくられる

骨を丈夫に保つためには、骨がどうやってつくられるのかを知っておく必要があります。骨は20歳ごろまでにつくられ、40歳ごろまでは一定の骨量を保っていますが、40歳を過ぎたころから骨量は徐々に減少していきます。
骨は常に新しくつくり替えられています。「破骨細胞」が骨を破壊して吸収し、「骨芽細胞」がその部分を修復するという、骨の再構築を繰り返し行っています。皮膚や内臓が常にターンオーバーを行って新しい細胞に入れ替わっているのと同様に、骨も新しくつくり替えられているのです。ちなみに成人では、約3年ですべての骨が新しいものにつくり替えられます。

成長期では、骨が新しく形成される量が骨の吸収を上回るために骨量が増加します。20歳ごろから40歳ごろの間は、そのバランスが取れているため一定の骨量が保たれていますが、その後は骨の吸収が上回ってきて骨量が減少します。特に閉経期となる50歳前後の女性は、女性ホルモンが低下することによって、骨吸収が大きく上回ってしまいます。女性ホルモン「エストロゲン」は、カルシウムの吸収力を上げて蓄えたり、骨からカルシウムが溶け出るのを防いでいるといわれています。しかし閉経期を迎えると、女性ホルモンの分泌が大幅に低下してしまうから、骨量の減少が起こってしまうのです。
また、20~30歳代の女性でも、過度なダイエットによる栄養不足や運動不足などによって、骨量が低下してしまうことがあります。年齢を重ねるにつれて骨量が低下することは避けられません。そこで重要なのが、20~30歳代のうちに骨量のレベルを高くしておくことです。この年代でピークを高く保っておけば、ピークが低かった場合と比べて20年後、30年後には大きな差がつくことは間違いありません。もちろん40~50歳代でも定期的に運動をするなど、骨量の減少をできるだけ抑える努力が重要です。

骨は「鉄筋コンクリート」に例えられます。線維状のたんぱく質、コラーゲンはいわば鉄筋、その周囲を固めているカルシウムとリン酸の結晶がコンクリートです。この鉄筋にあたる部分を「骨基質たんぱく質」といい、コンクリートにあたるミネラルとを合わせて「骨量」と言います。骨全体のうち水分を除くと「骨基質たんぱく質」などの有機質が20~30%、ミネラルなどの無機質が60~70%を占めています。
骨量を体外から直接計測することはできませんので、代わりに一定体積当たりのミネラルの量を測って「骨密度」として算出します。この骨密度が低下すると、スカスカの骨になっている危険性があり、将来、骨粗鬆症のリスクが増えてしまうのです。

骨には大きく分けて4つの役割があります。人体を支えて運動機能を発揮する「構造」としての役割のほか、内臓などを守る「防護服」の役割、カルシウムを蓄えておく「貯蔵庫」の役割、血液を造る骨髄を中に入れて守っている「工場の建物」としての役割です。
この4つの中でも、貯蔵庫としての役割は重要です。人間の体は、血液中のカルシウム量が常に一定に保たれるようになっています。不足してしまうと筋肉がうまく働かなくなったり神経の伝達が阻害されたり、血液が凝固しなくなったりと、生命の危機に関わってくるからです。そのため、血中カルシウム量が低下すると、すぐに骨からカルシウムを溶かして供給しているのです。

骨を健康に保つために必要な栄養素は?

骨を丈夫に保つために、カルシウムが必要だとよく言われます。先に述べたとおり、カルシウムはリン酸と結びつくことによってコンクリートのようなものをつくります。また、鉄筋にあたる骨基質たんぱく質は、コラーゲンに加えてオステオカルシンというたんぱく質で構成されています。つまり、カルシウムはもちろん必要ですが、ほかにもいろいろな栄養素が欠かせないのです。
例えばマグネシウムやリンは、骨の形成に欠かせない成分です。カルシウムとマグネシウムは2:1の摂取比率が理想とされ、カルシウムとリンに関しては2:1から1:2の摂取比率が適切であるとされています。亜鉛はたんぱく質の生成に関わるほか、破骨細胞と骨芽細胞の働きを助けて骨の成長をサポートしています。

また、ビタミンDも骨の健康に欠かせない成分です。ビタミンDは小腸でカルシウムの吸収をサポートし、血中カルシウムが低下した時には骨からカルシウムを溶かし、肝臓からカルシウムの再吸収を促進することで、私たちの体がカルシウム不足にならないようにしてくれます。
ビタミンDが不足すると、骨にミネラルを正常に沈着させることができなくなってしまいます。すると子どもでは骨の成長に問題がある「くる病」に、大人では「骨軟化症」になる危険性が増します。また、骨粗鬆症の患者では骨折のリスクが増えるとされています。
ビタミンDは食事から摂取する以外に、私たちの体の中でも合成できます。日光に当たることで、紫外線によってビタミンDが体内で産生されるのです。最近では、紫外線に当たりすぎることでの弊害が指摘されています。しかしまた、あまりにも紫外線をプロテクトしすぎるために、子どものくる病の増加、高齢者の骨粗鬆症からの骨折などを心配する専門家も少なくありません。日に当たるのは「5分で十分」という説、「15分程度で足りる」という報告、直射日光でなく「木漏れ日で30分以内」など、専門家によってもいろいろな見解があります。いずれにせよ健康のためには、短時間でも日光に当たることがいいようです。

骨基質たんぱく質のほとんどを占めるコラーゲンはアミノ酸の一種です。プロリンとリジンの合成でつくられているのですが、この合成をサポートしているのがビタミンCです。ビタミンAも同様に、骨の形成を促進します。また、コラーゲンの酸化を防ぐには、ビタミンEの抗酸化作用が有効な働きをしているといわれています。また、ビタミンKは骨吸収を抑制するとともに、骨基質たんぱく質の一部であるオステオカルシンがカルシウムと結びつく補酵素としての役割も果たしています。さらにビタミンB群が骨代謝に影響を与えるという報告もあります。
「骨」というとミネラルが重要と考えがちですが、このように、たんぱく質や各種ビタミンも重要な役割を果たしています。もちろん普段、栄養素の種類や割合まで気にして食事をすることは不可能です。だからこそ、できるだけ多くの食材を摂ることで、栄養のバランスが取れるようにすることが重要です。

毎日の生活で気をつけたいポイント

日本人に不足しがちな栄養素として、専門家が常にトップに挙げるのがカルシウムです。
カルシウムを多く含む食品は、牛乳、ヨーグルト、チーズといった乳製品のほか、イワシやちりめんじゃこなど小魚類、納豆や豆腐、ゴマ、小松菜などです。ただしカルシウムは、過剰摂取すると尿路結石などの心配もありますので注意が必要です。
ビタミンDを多く含む食品は、サケ、サンマ、サバ、マグロ、卵、干しシイタケ、きくらげなどです。ビタミンKは、納豆、卵黄や緑黄色野菜に多く含まれています。
これらのことでわかるように、魚類や卵、納豆など大豆製品や野菜類は、骨を丈夫に保つだけでなく、さまざまな効果が期待できる食品です。健康効果が高いからといってある食品に偏るのではなく、多くの種類の食材を摂ることが、骨の健康につながる可能性が高いといえそうです。

また、閉経期の女性には、大豆イソフラボンの摂取をおすすめします。イソフラボンの化学構造が女性ホルモンのエストロゲンと似ているため、エストロゲンの受容体に結びついて女性ホルモンと似た働きをしてくれるといわれています。閉経後に女性ホルモンの分泌が減少すると、骨からカルシウムが溶け出てしまい骨粗鬆症につながりやすくなりますが、女性ホルモンの代わりにイソフラボンがこの働きを補ってくれることが期待されているのです。

骨を健康に保つためには、骨への刺激を与える運動が有効だという報告もあります。ゆっくりとかかとを上げた状態から、力を抜いてストンと落とすような衝撃を与えると、骨芽細胞を活性化することができるというのです。
ウォーキングのような運動も、継続して行うことで効果を発揮します。なるべく膝を伸ばして大股で歩く、かかとから着地するといった負荷を加えることで、「散歩」とは違ったウォーキングができます。また、ウォーキングのついでに最低限の日光浴を行えば、ビタミンDも合成されることになります。
階段を下ることでも骨に刺激を与えることができます。しかし、やりすぎると膝に負担がかかって痛めてしまうリスクもあります。ちなみにひざを痛めるリスクに関しては、ほかの運動でも同様です。体調はどうか、膝などに痛みがないかといった点を確認しながら運動をすることがポイントです。
食事も運動も、長期間の継続が重要です。骨の健康を保つだけでなく、転倒を防止するための体のバランス力も鍛えられ、生活習慣病の予防にもつながりますから、健康で明るい将来のためにも続けることがポイントなのです。

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