vol.89 心筋梗塞のリスクが高い「閉塞性動脈硬化症」の早期発見と治療

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Vol.89 心筋梗塞のリスクが高い「閉塞性動脈硬化症」の早期発見と治療 皆さんは「脚がしびれる」「脚が冷える」などの症状に気付いていても、「冷え性だろう」と自分勝手に決めこんではいませんか。また、「一定の距離を歩くと脚の筋肉に痛みが出て歩けず、しばらく休むと痛みが消えて再び歩ける」といったことはありませんか。
これらの症状は『閉塞性動脈硬化症(ASO)』の疑いがあります。進行すると脚に血液が届かず、脚が壊疽(えそ)を起こし、脚を切断することにもなってしまいます。

血管は内側から内膜・中膜・外膜の三層になっており、内膜は内皮細胞でコーティングされています。悪玉のLDLコレステロールは内皮細胞から内膜に入り込み、酸化された変性LDLコレステロールになります。それを白血球の一種のマクロファージが取り込んで泡沫細胞になり、そして、泡沫細胞や破裂した泡沫細胞が集まって脂質プラークをつくります。その結果、血管は狭くなり血流不足になるのです。また、プラークの中は粥状(おかゆのような状態)なので破れやすく、そのため、血栓ができやすいのです。血栓ができ、それが下肢の動脈の狭窄部分で詰まるとASOでもより重症となり、脚の切断に至る場合もあります。
ASOで最も大きな問題は、最悪の場合に致命的となる心血管系の合併症(心筋梗塞)のリスクです。ASO患者の5年間の死亡率は44%にも及んでいます。
そこで知って欲しいのが、ASOは早期に発見し早期に治療を開始すれば、怖い合併症に襲われずにすむということです。
ASOの病期はⅠ~Ⅳ期に分けられています。

●Ⅰ期 「しびれ」「冷感」。
●Ⅱ期 「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」。一定距離を歩くと脚が傷み、休むとまた歩けるようになる。
●Ⅲ期 「安静時疼痛」。安静にしていても脚に痛みが生じる。
●Ⅳ期 「潰瘍」「壊疽」。血液が足の先に行かないので、足に潰瘍ができ、ついには足が腐ってしまう。

遅くとも間歇性破行の段階で徹底した治療を行えば、何とか合併症のリスクを止められます。Ⅰ期、Ⅱ期の症状に思いあたれば、即、循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。
受診時には、問診に続いて「上下肢血圧測定」「超音波ドップラー検査」が行われます。上下肢血圧測定は、腕と足首の血圧を測り、足関節の最高血圧を上腕動脈の最高血圧で割ったもので(ABI:Ankle Brachial Pressure Index)、数値が0.9以下でASOの疑いがあり、間歇性跛行の症状が現れるのは0.6以下です。ちなみに1.0以上が正常値です。
超音波ドップラー検査は、超音波機器を使って脚の血流状態をみます。
異常がある場合、さらに「CT検査」「MRI検査」「下肢動脈造影検査」などで治療法を決定します。治療法は「薬物療法」「カテーテル治療」「レーザー血管形成術」「バイパス手術」「血管新生療法」と数多くあります。

早期に行う治療は、薬物療法と運動療法、食事療法、たばこを吸う人の場合は禁煙です。薬物療法は、血液を固まりにくくする抗血小板薬、血管を広げて血流量を少しでも増やす血管拡張薬を中心に使います。脂質異常症の薬も効果的です。運動療法は、約30分のウォーキングを1日2回行います。“脚は第二の心臓”といわれ、血流量を補おうと新生血管ができてきます。食事療法は、脂質の摂取過剰を抑えて腹八分。つまり、脂質異常症への対応です。禁煙もしっかり行いましょう。たばこは動脈硬化の促進因子です。もちろん、医師の指導のもとで行いましょう。これを実践することで心血管病のリスクも回避できるのです。
そのほか、ASOは50歳以降に多い生活習慣病なので、「肥満」「高血圧」「糖尿病」「ストレス」も大きく関係しています。それらの対応にも同時に取り組んでください。
そして、血管の狭窄程度、重症度によって、「カテーテル治療」など、次の段階の治療に進むことになります。基本はⅠ、Ⅱ期の段階での早期発見、早期治療です。

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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