vol.95 腹部大動脈瘤の破裂予防に注目されるステントグラフト手術

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Vol.95 腹部大動脈瘤の破裂予防に注目されるステントグラフト手術 予兆がまったくなく、ある日突然起こる「腹部大動脈瘤(りゅう)」の破裂。破裂すると致死率は90%、緊急搬送されて手術したとしても救命率は50%という怖い病気です。
腹部大動脈瘤はおなかの部分を通っている大動脈にこぶができる状態で、血管の老化に伴う動脈硬化が主な原因とされています。腹部大動脈の直径は通常2㎝程度ですが、これが膨れて直径4㎝以上になると腹部大動脈瘤と診断され、女性で直径4.5㎝、男性で直径5㎝を超えると破裂するリスクが高くなるので、手術が勧められます。
ただし、腹部大動脈瘤が破裂前に見つかったという人は、約90%が偶然です。胆石や前立腺などの腹部超音波検査を行ったときに、たまたま腹部大動脈瘤が映っていて発見されたというケースがほとんどです。

腹部大動脈瘤が発見されると、大動脈瘤のできている「場所」「形」「大きさ」など、さまざまな要素を考慮し、破裂リスクが大きい場合は予防的治療が必要となります。
一般的な治療法は開腹手術による「人工血管置換術」ですが、近年、よりからだにやさしい「ステントグラフト手術」に注目が集まっています。
ステントグラフト手術は、いわゆる“血管内治療”。患者さんの脚の付け根部分に局所麻酔をし、3㎝程度切開して大動脈から直径7㎜くらいに折りたたんだステントグラフト(金属バネ付きの人工血管)の入ったカテーテル(細い管)を患部まで挿入します。そして、レントゲン透視下で患部の状況を確認しながら、こぶの場所にステントグラフトを留置するのです。
ステントグラフトはこぶの場所で広がって内側から動脈瘤をカバーします。こぶの中に新しい血管ができたのと同じ状態になるため、破裂の危険を避けることができます。

ステントグラフト手術が注目されているのは、次のような利点があるからです。
①全身麻酔の必要がなく、高齢の患者さんのからだへの負担が少ない。
②開腹する必要がないので、合併症の危険が少ない。
③回復が早い。(開腹手術では入院3週間だが、わずか3~4日間)
④安全性が高い。(開腹手術に対し死亡率が低い)

何よりも重要なのは、動脈瘤を偶然見つけるのではなく、意識してチェックを行い“発見する”ことです。60歳以上で高血圧・喫煙・メタボリックシンドロームなど、動脈硬化のリスクが高い人は3~5年に1回、腹部超音波検査を受けてチェックしてもらいましょう。これだけで動脈瘤の有無が99%分かります。
  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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