最近、高血圧にくわえて糖尿病も発症していると診断されました。どのような治療を行うのでしょうか?
高血圧
治療・リハビリ
- 最近、高血圧にくわえて糖尿病も発症していると診断されました。どのような治療を行うのでしょうか?
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高血圧と糖尿病の両疾患への生活習慣改善の指導や薬物療法が行われます。糖尿病合併高血圧患者さんの降圧目標値は130/80mmHg未満です。高血圧と糖尿病の両方を合併している人は多く、高血圧の人が糖尿病を発症する割合は、高血圧でない人の割合と比べて2~3倍高くなること、また糖尿病の人が高血圧になる割合は、糖尿病でない人の割合と比べて2倍程度高くなることが報告されています。その原因として、不規則な生活習慣や肥満、高血糖状態による循環血液量の増加やインスリン抵抗性(インスリンの作用が十分に発揮できない状態)などが考えられます。
糖尿病の合併症には腎症や神経障害、網膜症といった細小血管障害と、動脈硬化による大血管障害などがあります。高血圧と糖尿病を合併することで、動脈硬化による大血管障害のリスクが高まるとされており、血圧・血糖、両方のコントロールが必要になります。
新たに糖尿病も診断されたとのことですが、糖尿病治療のために、患者さんごとに適した運動療法・食事療法を指導されるとともに、治療薬(血糖値を下げるお薬)が処方されると思いますので、医師の指導内容をよく守り服用するようにしてください。
また、糖尿病を合併している高血圧患者さんの降圧目標値は、高血圧治療ガイドライン(2014年版)では130/80mmHg未満、家庭血圧(診察室以外で測定する血圧)では125/75mmHg未満を目標とするとされており、一般的な降圧目標値(140/90mmHG未満)とりも低く設定されています。そのため、これらの目標値が達成できていない場合、高血圧に対する治療を強化することが考えられます。ただし、他にも合併症がある場合など、降圧に注意を要するケースもあるので医師の指導に従ってください。家庭血圧の測定は有用であるとして推奨されていますので、継続して測定するよう心がけてください。
参考:高血圧治療ガイドライン2014
先生のプロフィール
島本 和明 先生
日本医療大学総長
- 略歴
- 昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長 - ご専門
- 内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病
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