高血圧には「減塩」を意識するようにいわれますが、糖尿病においても必要なのでしょうか?
高血圧
病名・疾患解説
- 高血圧には「減塩」を意識するようにいわれますが、糖尿病においても必要なのでしょうか?
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高血圧を伴う場合、腎不全や動脈硬化の予防のために「減塩」が積極的に勧められますが、正常血圧にある範囲でも「減塩」が勧められます。糖尿病の患者さんでは、一般に高血圧を合併する例が多く認められます。その原因として、血糖値が高いために血流量が増える、肥満のために血管を収縮させるアンジオテンシノーゲンという物質が増える、腎臓の合併症のために血圧が上昇する、インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)を引き起こす習慣(肥満、運動不足など)、などがあげられます。
高血圧を伴う場合、腎不全や動脈硬化の予防のために1日の塩分摂取量は6g未満が目標となります。つまり、1日に3回の食事をしている人なら、1回の食事の塩分摂取量の目安が2g未満となります。例えば、カップラーメンには5~6gの食塩が含まれていますので、1回の食事で1日分の食塩をとっていることになります。「スープは飲まないようにしている」という人がいますが、麺に2g以上の食塩が含まれているのです。栄養成分表に1食当たりの食塩相当量が記載してありますので、チェックしてみて下さい。
厚生労働省平成24年国民康・栄養調査によると、日本人の1日当たりの食塩摂取量は、平均で10.4gです。高血圧予防のために、男性は8.0g、女性は7.0g未満が目標となります。これは糖尿病があるなしに関わらずになります。世界的にみると、日本人の食塩摂取量は多く、世界保健機関(WHO)は、1日当たり5g未満を推奨しています。
正常血圧を伴う糖尿病患者さんでも減塩をすることで、血圧低下が認められます。糖尿病は腎不全や動脈硬化のリスクが高いので、糖尿病と診断されたことをきっかけに「減塩」に取り組んでみて下さい。
先生のプロフィール

坂根 直樹 先生
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究センター 予防医学研究室室長
臨床研究センター 予防医学研究室室長
- 略歴
- 昭和64年 自治医科大学医学部卒業
昭和64年 京都府立医科大学附属病院(第1内科)研修医
平成3年 大江町国保大江病院内科
平成5年 弥栄町国保病院内科
平成6年 京都府保健福祉部医療・国保課
平成7年 綾部市立病院(内分泌科)
平成10年 大宮町国保直営大宮診療所
平成11年 京都府立医科大学附属病院修練医(第1内科)
平成13年 神戸大学大学院医学系研究科分子疫学分野(旧衛生学)助手
平成15年 独立行政法人国立病院機構京都医療センター(旧国立京都病院)
臨床研究センター 予防医学研究室室長 - ご専門
- 糖尿病、糖尿病教育、内分泌
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