曜日によって心臓に関わる疾患の発生率が異なるという新聞記事を読みました。詳しく教えてください。
高血圧
病名・疾患解説
- 曜日によって心臓に関わる疾患の発生率が異なるという新聞記事を読みました。詳しく教えてください。
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突然死や心血管事故は月曜日の午前中に多いということが報告されています。理由として、勤労者の月曜日の午前中の血圧・心拍数の上昇が考えられます。診察室で測定する血圧が正常であっても、それ以外の場での血圧が高いことを「仮面高血圧」といい、一般的な高血圧よりも、脳心血管リスクが高くなることが報告されています。この仮面高血圧の中に、職場のストレスで血圧が上昇する「職場高血圧」というものがあります。
仕事が始まる月曜日の午前中に心血管事故が起こりやすいことは、これまでも世界的に認められていましたが、その原因については不明でした。しかし2017年に発表された旭労災病院病院長の木村玄次郎先生らによる調査で、月曜日の午前中に血圧と心拍数をかけたものである「ダブルプロダクト」が他の曜日・時間と比べて上昇していたことが、明らかになりました。つまり、働いている人は、月曜の朝、週の仕事を始める時間帯に大きなストレスがかかることなどで血圧や心拍数が大きく上昇し、それによって心臓に関わる疾患が発生しやすくなると考えられます。
血圧や心拍数が高いと、正常な人と比べて心血管事故の発生率を上昇させることが多くの研究で認められています。また、血圧と心拍数の両方が高い人は心血管事故の発生率がさらに高くなることが、疫学研究などで報告されています。つまり、月曜日の午前中に、血圧と心拍数の上昇をおさえることで、心血管事故を防げる可能性があると考えられます。
したがって、心血管事故の発生を防ぐために、週のはじめには、可能であればゆっくりと仕事をスタートさせ、血圧や心拍数を上昇させないような働き方が推奨されます。
【参考】
職場高血圧に関する調査研究 旭労災病院 木村玄次郎ら
先生のプロフィール

島本 和明 先生
日本医療大学総長
- 略歴
- 昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長 - ご専門
- 内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病