仕事をしている時に高くなる「職場高血圧」とは、どういうものですか?
高血圧
病名・疾患解説
- 仕事をしている時に高くなる「職場高血圧」とは、どういうものですか?
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仮面高血圧の一種で、仕事中のストレスなどの影響から血圧値が上昇するものです。「仮面高血圧」とは、病院で測る血圧値は正常であるにも関わらず、家庭で測定すると高い数値を認めるものです。職場高血圧はその一種で、仕事中のストレスなどによる血圧値の上昇を指します。
仕事中の血圧値は、ふだん測ることがないため見逃されることが多く、血圧が高い状態が放置され続けてしまうという危険性があります。従業員が測定できるようにオフィスに血圧計を設置している会社も増えているようですが、それがない場合は、携帯性にすぐれた小型の血圧計による測定が役立ちます。
仮面高血圧は脳卒中や心筋梗塞を起こしやすいため、職場で高血圧に相当する値を示した場合は、すぐに受診するようにしましょう。
職場高血圧については、2006年の春に東京都庁で働く23~64歳の265人を対象とした研究結果が発表されています。同研究によると、健康診断で正常高値(収縮期血圧が130~139mmHg、拡張期血圧が85~89mmHg)の人は職場高血圧になりやすく、高年齢でBMIも高く、高血圧の家族因子がある場合も、職場高血圧の関連因子となる事が示されました。
前述の通り、職場高血圧は心血管系疾患を起こしやすいため、正常高の人は機会があれば職場での血圧を測ってみるのがよいでしょう。最近では家庭用の血圧計も入手しやすくなっています。職場や家庭での継続的な血圧測定は、より正確で詳細な自身の血圧情報を把握することが可能で、医師による治療の補助にもなります。血圧が高めの方は積極的に行い、健康管理に役立てましょう。
<参考資料>
・健康診断で正常高値の人は職場高血圧になりやすい(日経ヘルスケア)
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/424149.html
・とくに注意したい高血圧のタイプ
http://www.healthcare.omron.co.jp/resource/guide/hightbp/04.html
先生のプロフィール

島本 和明 先生
日本医療大学総長
- 略歴
- 昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長 - ご専門
- 内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病
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