数年前から高血圧のため治療を受けているのですが、夏と冬では薬剤の種類が違うようです。どうしてでしょうか。

高血圧 治療・リハビリ
数年前から高血圧のため治療を受けているのですが、夏と冬では薬剤の種類が違うようです。どうしてでしょうか。
血圧は季節(気温)の変化の影響を受けるため、それぞれの季節の血圧値に応じた薬剤の調整が必要になります。
血圧は常に一定ではなく、日常生活の中の様々な要因によって変動しています。例えば、睡眠中は低く、日中活動している時は高くなります。咳や排便などの生理的行動や、緊張などの精神的な変化によっても血圧は上下します。このような1日を通した血圧の変動を「日内変動」と呼びます。
日内変動とは別に、もっと周期の長い変動もあります。それが寒暖差に伴う「季節変動」と呼ばれるものです。春から夏の気温が上昇している季節には血圧は下がり、秋から冬にかけて気温が低下する季節には血圧は上昇する傾向にあります。冬場の血圧上昇は、寒さによる血管の収縮や、血圧を上げることによって体温を維持しようとする体の働きに加え、運動量が減少したり塩分の多い食事が増えたりすることも理由として考えられています。
血圧の季節変動に対して、降圧薬による高血圧治療を受けている方では、薬剤の調整(薬剤の増減)が必要になる場合があります。血圧が下がりやすい夏場に、冬と同じ降圧薬を服用することで、血圧が必要以上に下がって過降圧になってしまったり、反対に、血圧が上昇している冬場に高血圧を抑えきれず、心血管疾患の危険性が増加してしまったりすることを防ぐためです。
高血圧治療のために降圧薬を服用されている方で、季節によって薬剤が異なるのは、上記のような理由があるためです。気になることがあれば、主治医の先生に相談してみてください。
【参考】
高血圧治療ガイドライン2014 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編
日本心臓財団 http://www.jhf.or.jp/topics/2014/003745/

先生のプロフィール

島本 和明先生

島本 和明 先生

日本医療大学総長
略歴
昭和46年 札幌医科大学卒業
昭和47年 札幌医科大学第二内科入局
昭和48年 東京大学医学部第三内科研究生
昭和53年 米国サウスカロライナ医科大学 留学
昭和55年 札幌医科大学第二内科講師
昭和59年 札幌医科大学第二内科助教授
平成8年 札幌医科大学第二内科教授
平成16年 札幌医科大学附属病院長
平成22年 札幌医科大学理事長・学長
平成28年 日本医療大学総長
ご専門
内科学全般、循環器、高血圧、腎臓、内分泌、糖尿病

関連コラム

商品を見る