とくに注意したい高血圧のタイプ

危険な高血圧のタイプとは

高血圧には、いろいろなタイプがあります。中でも脳卒中などのリスクが高いとされるのが、仮面高血圧です。
また、Lesson5のメタボリックシンドロームの場合も、リスクが高くなるので注意が必要です。

仮面高血圧とは

病院での血圧測定では正常値なのに、家庭などで測定すると高い数値になるタイプの高血圧があります。高血圧であることがわかりにくいため、「仮面高血圧」と呼ばれます。仮面高血圧は血圧が上昇している時間帯によって、「早朝高血圧」、「夜間高血圧」、「昼間高血圧」に分けられます。
理由はいろいろありますが、病院では通常、日中に血圧を測定します。そのため夜間や早朝に血圧が上がる場合などには、病院での測定結果だけでは把握しきれない場合があるからです。
仮面高血圧を見つけるには、家庭で血圧を測定することが役立ちます。もし高血圧のレベルだった場合には、測定値などを記録し、受診して医師に伝えましょう。

仮面高血圧の主な原因

仮面高血圧には、次のようなさまざまな原因が推定されています。加齢にともない動脈硬化が起きている、心臓や腎臓などに障害がある、タバコの量が多い(病院ではタバコが喫えない)、日ごろ強いストレスがある(病院では医師に診てもらう安心感がある)、降圧薬の効き目が早朝には薄れている(次の早朝高血圧を参照ください)、また糖尿病が悪化しているケースもあります。

注意したい早朝高血圧

私たちの血圧は、睡眠中の深夜に最も低くなり、早朝からは活動の準備のために少しずつ上昇しはじめます。
ところが早朝の血圧が、危険なレベルにまで上昇するタイプの高血圧があります。これが「早朝高血圧」で、大別すると2つのタイプがあります。

モーニングサージ

睡眠中の深夜には血圧が低くなるものの、早朝に急激に血圧が上昇するタイプ。高齢者や血糖値・コレステロール値が高い人に多くみられます。また、軽度の脳梗塞を起こしていることもあり、脳卒中を起こすリスクが高いので注意が必要です。

持続性高血圧

深夜にも血圧があまり下がらず、早朝になるとそのまま持続して高くなるタイプ。血糖値が高い人、腎臓障害がある人のほか、大いびきをかく人(睡眠時無呼吸症候群)などに多くみられます。睡眠中にも心臓や血管に負担がかかるため、心疾患を起こすリスクが高いので危険です。

服薬治療を受けている患者さんにも、早朝高血圧がみられることが少なくありません。原因は夕食後に服用した降圧薬の効果が、深夜や早朝には切れてしまうためです。この場合には薬の種類や服用時間などを変更する必要があるので、医師に相談してください。早朝高血圧をみつけるには、家庭での朝の血圧測定が大切です。朝の血圧が高い場合には、早朝高血圧を疑って、早めに医師に相談しましょう。

夜間高血圧と昼間高血圧で気をつけたい点

血圧は通常、昼間より夜間のほうが低くなります。しかし、昼間の血圧より夜間の血圧が高い場合があり、これを夜間高血圧といいます。夜間高血圧は心血管疾患のリスクが高くなるため注意が必要ですが、夜間の血圧は計測しにくいため、見逃されがちです。24時間血圧計や夜間血圧を計測できる機器を使用するなど、対応を考えましょう。
夜間の血圧が下がらないまま朝まで続く場合は、早朝高血圧との区別がつきにくい場合があります。しかしどちらにしても、血圧が正常でないことに間違いはありませんので、測定値を記録するなどして、専門医を受診することをお勧めします。
また、病院での血圧が正常でも、職場や家庭のストレスにさらされたりして昼間の血圧が高い場合を昼間高血圧(ストレス下高血圧)といいます。中でも精神的・身体的ストレスの影響をうける職場で血圧が上がる場合があり、これを「職場高血圧」と呼んでいます。職場高血圧は肥満の人や、家族に高血圧の人がいる場合に多いというのが特徴です。

ワンポイントアドバイス

病院で血圧を測定すると、なぜか高めになる…そんな経験はありませんか。病院だと、緊張などから血圧が高くなることがあり、医師や看護師のシンボルである白衣から「白衣高血圧」と呼ばれています。
高齢者に多くみられますが、白衣高血圧の傾向が強いと、日ごろの血圧がわからないため、医師が正確な診断を下しにくくなります。こうした場合も、家庭で血圧を測定し、その記録を医師にみせることで、白衣高血圧かどうかの判断ができます。