2019.02.08

vol.188 血管を柔らかくする物質NOって何?

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Vol.188 血管を柔らかくする物質NOって何?

脳卒中や心筋梗塞を防ぐために、しなやかで柔らかい血管を保つこと、すなわち血管力を高める方法はいくつかありますが、NO(エヌオー:一酸化窒素)の産生を増やすこともその1つです。血管内で発生するNO(エヌオー:一酸化窒素)という物質は、血管を柔らかくすることが分かっています(※1)。運動不足が気になり、運動能力に自信がなくなる中高年でも、簡単な日常動作でNOを産生させることができます。さらに、NOの産生を増やす食事をとることで効果が高まります。極寒の2月でも、暖かい家の中でできることから積極的に行い血管力を高めていきましょう。

NO(一酸化窒素)の産生を増やせば血管力がアップ

血管は加齢とともに硬くなり、しなやかさを失っていきます。これは血圧が高くなる大きな原因の一つとして考えられています。血管は平滑筋という筋肉でできているため、他の筋肉と同じように加齢ととともに硬くなっていきます(※2)。そこで、血管力を高めることが重要となりますが、血管は腹筋や背筋などどの骨格筋と違い、マッサージやストレッチで伸ばすことが困難です。

脳卒中や心筋梗塞を防ぐために、しなやかで柔らかい血管を保つこと、すなわち血管力を高める方法はいくつかありますが、NO(エヌオー:一酸化窒素)の産生を増やすこともその1つです。血管内で発生するNO(エヌオー:一酸化窒素)という物質は、血管を柔らかくすることが分かっています(※1)。運動不足が気になり、運動能力に自信がなくなる中高年でも、簡単な日常動作でNOを産生させることができます。さらに、NOの産生を増やす食事をとることで効果が高まります。極寒の2月でも、暖かい家の中でできることから積極的に行い血管力を高めていきましょう。

ところで、NOとは何でしょうか?窒素(N)と酸素(O)が結合した窒素酸化物は、古くから大気汚染の原因物質として知られているため、印象が悪いかもしれません。ところが、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部薬理学教授のルイス・J・イグナロ博士らの研究で、体内で発生するNOは血管を柔らかくして拡張する物質であることが分かったのです。ルイス博士らは、1998年にこの研究でノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

筋肉を動かすことでNOの産生が増大

NOは血管の内皮細胞から産生されます。どのようなタイミングで産生が増えるかというと、血流が加速されるときです。血流が加速すると、NO産生に重要な酵素が働き、NOの合成を促します(※1)。血流を加速させるには運動が効果的ですが、極寒の2月に外で激しい運動をがんばることはオススメできません。
しかし、NOの産生は簡単な運動でも可能です。

NOを産生する体操で、タオルを握って離すというハンドグリップ法が話題となりましたが、タオルを使わなくても、手のひらを合わせて力を入れて押し合って急に緩める、お腹や脚に力を入れてふっと緩めるなどでも、1日に数回行うことで産生を増加することができます。力を入れる時間は5秒くらいから始めて徐々に長くしていきましょう(※2)。

体が慣れてきたら腹筋や背筋を始めるとさらに効果的です。部分的な筋肉ではなく、体の表と裏の筋肉を使うことでより一層期待ができます(※2)。

日常生活の中でも、NOを増やす機会が多々あります。寒い季節ですが、座ってばかりいないで積極的に歩きましょう。寒い屋外に出る必要はなく、部屋の中でかまいません。下半身の筋肉を動かし、座らない生活をすることがNOの産生を増やすことにつながります(※3)。

ふくらはぎは、「第二の心臓」といわれ、脚の血液を循環させ心臓に戻すポンプのような役割があります。歩くことでふくらはぎを使い、NOの分泌を促します。立ち止まった時にはかかとをあげてつま先立ちをすると、ふくらはぎの筋肉をより一層使います(※3)。

平らな床でデスクなどつかまるところがある安全な場所で、膝を曲げずにかかとを上げて、つま先立ちになります。かかとを下ろしたら、今度はつま先の方を上げ、これを繰り返します。これを1日2分程度4日間行った結果、NOの数値が変化したという研究報告もあります(※3)。

暖かい季節になったら、屋外で1日20分のウォーキングを行うことも効果的です(※1)。

タンパク質と抗酸化物質が豊富な食事をとり、NO産出を助けよう

NOの産生を増やすためには、食事も重要です。NOは、L-アルギニンというアミノ酸から作られ、同じくアミノ酸のL-シトルリンも密接に関連していることがわかっています。アミノ酸はタンパク質の構成要素です。タンパク質が豊富な食品をとることが重要で、L-アルギニンが含有される食品として、赤肉、魚、鶏肉、豆、大豆、ナッツがおすすめです(※1)。

また抗酸化物質はNOを保護することが分かっています(※1)。抗酸化作用として働く栄養素は、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどで、タンパク質が豊富な食品と同様に、意識してとるようにしましょう。

さらに葉酸とαリポ酸もNOを増やすことに役立ちます。タンパク質、抗酸化物質、葉酸やαリポ酸は、食品から十分な量がとれない時は、サプリメントを利用するのもいいかもしれません(※1)。

寒い季節は、動かないでじっとしていると血管力がどんどん低下していきます。家でもできることから始めて、NO産生を増やして血管力を高めていきましょう。

(※1)ルイス・J・イグナロ「NOでアンチエイジング」日経BP出版センター

(※2)加藤雅俊「1日1分で血圧は下がる!」講談社

(※3)池谷敏郎「しなやかな血管で若返る」KKベストセラーズ

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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