2006.10.10

vol.40 「痛風」の怖さを知っていますか?

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痛風ってどんな病気?

Vol.40 「痛風」の怖さを知っていますか? 痛風は、名前が知られているわりには、どんな病気かよく知らない人が多いようです。自覚症状がほとんどないため、病名の由来である「風に吹かれただけでも痛む」ほどの激痛に見舞われ、初めて痛風について関心をもつ人が大半です。
ところが現在、成人男性の5人に1人は痛風予備軍といわれるほど増えていて、決して人ごとではありません。しかも、従来は中高年の男性に多かった病気ですが、最近は食生活の変化に伴って20~30歳代の若い男性にも目立ってきています(※1)。
痛風の直接の原因は、血液中の老廃物のひとつである「尿酸」です。尿酸が一定量以上に増えると、その結晶が関節部分に蓄積し、やがて炎症と激しい痛みを引き起こします。
痛みが起こる場所は、足の親指の付け根が最も多く、全体の約7割を占めています。そのほか、足首、くるぶし、ひざ、耳などにもみられます。
突然の激痛におそわれることが多いのですが、人によっては軽い関節痛程度のこともあります。また、1週間程度で痛みが治まるので、とりあえず湿布薬などでしのぎ、そのまま放置する例も少なくありません。
ところが原因である尿酸の多い状態が続く限り、痛みは繰り返されます。そればかりか、関節部分が腫れてコブ状になったり、尿路結石や腎臓障害を起こしやすくもなります。
さらに痛風は、高血圧や高脂血症、糖尿病などとも関係が深いことが判明し、注目されています。それだけに健康診断などで、尿酸値が高いと言われたら、早めに予防策を講じておくことが大切です。
ちなみに、尿酸値が7mg/dl以上を「高尿酸血症」といい、激痛などの発作が加わった場合を「痛風」と呼んでいます。

(※1)痛風は、男性100人に対して女性1~2人という割合で、圧倒的に男性に多い病気です。その理由は判明していませんが、女性ホルモンに尿酸を排泄する働きがあるためではないかと考えられています。そのため女性でも、更年期以降には注意が必要です。

気を付けたい痛風の合併症

痛風と、その前段階である高尿酸血症を放置していると、高血圧や高脂血症、糖尿病など、多くの生活習慣病を併発しやすいことがわかってきました。
痛風の患者さんのうち、半数は高血圧を、半数は高脂血症を併発しています(高血圧と高脂血症の両方を併発している人も含む)。
また糖尿病の場合は、予備軍段階(耐糖能障害)の人に、痛風を併発する人が多くみられます。これは糖尿病の段階まで進むと、尿糖を排出するために尿の量が増え、その結果、尿酸も一緒に排出されやすいからです。したがってむしろ予備軍段階で、注意が必要といえます。
いずれにせよ、これらのことから痛風や高尿酸血症が、いかに多くの生活習慣病と密接な関係にあるかがわかります(※2)。
これらの病気に共通するキーワード、それは「動脈硬化」です。
例えば痛風と高血圧を比べると、前者は血液中に尿酸が増え、後者は血液の圧力が高まることによって生じます。どちらも血管に大きな負担を与え、その状態が続くと血管機能の低下、つまり動脈硬化へと進むからです。
実際に痛風や高尿酸血症を放置していると、高血圧などを併発するだけでなく、動脈硬化を起こし、さらには心筋梗塞や脳梗塞などの危険な病気へと進みやすいことが指摘されています。

(※2)メタボリックシンドロームとの関連は、まだ明確にされていませんが、痛風の患者さんには肥満気味の人が多く、また高血圧や高脂血症、耐糖能障害を併発しやすい点でも、リスクが高いといえます。

プリン体への誤解

尿酸といえば、すぐに「プリン体」のことを連想する人も多いのではないでしょうか。プリン体は、食品に含まれる物質で、体内で尿酸に変わります。
「プリン体を多く含む食品をとると尿酸値が上がる」…そんな話が一時、マスコミをにぎわせました。プリン体が多い食品の代表としてビールが取り上げられ、それならばと、発泡酒や焼酎に代えた人もたくさんいたはずです。ビール会社でも、プリン体を減らしたビールを開発したりしました。
しかし、プリン体については誤解が少なくありません。
プリン体は、細胞の核酸を構成する物質で、決して悪者ではなく、新しい細胞をつくるときには欠かすことができません。そのためプリン体のほとんどは、食品からとるのではなく、体内で合成されています(※3)。そして体内で代謝され、尿酸となります。
では、食べ物は関係ないのでしょうか。実際にプリン体を多く含む飲食物を毎日大量にとっていると、確実に尿酸値は上がります。例えばビールを毎日がぶ飲みし、レバー類ばかり食べるようなケースです(下記参照)。
でも、そんな食事を続ける人は、あまりいないでしょう。むしろ問題は、毎日の普通の食事における食べすぎや飲みすぎなのです。
というのも、プリン体はレバー類などに限らず、肉類をはじめ多くの食品に含まれています。どんなメニューであっても、たくさん食べれば、それだけ尿酸は増えます。
またビールに限らず、アルコールそのものが体内で尿酸を大量につくります。さらにアルコールは、腎臓の尿酸排泄機能を低下させるため、ビール以外の酒類でもたくさん飲むと尿酸値が高くなってしまうのです。
そのため最近では、特定の食品にだけ注意するのではなく、慢性的な食べすぎ・飲みすぎと、その結果としての肥満が、痛風や高尿酸血症の原因として指摘されています。

(※3)私たちのからだでは、プリン体の80%以上が体内で合成され、残りを食品などからとっていると推定されています。

<プリン体を多く含む食品(100g中)>

レバー類(鶏、豚、牛)、白子、アンコウの肝、魚の干物類、イワシ、カツオ、干しシイタケなど。尿酸値が高めの人は、こうした食品を続けて食べないようにしましょう。

痛風になりやすいタイプとは

痛風や高尿酸血症の患者さんには、次のようなタイプが多くみられます。

◎成人男性である(※1を参照)、肥満気味である、アルコールが好きでよく飲む、ストレスが多い、時々激しい運動をする、家族に痛風の人がいる。

このうち「肥満」については、高血圧などを併発しやすいほか、肥満の人には汗かきが多いこともリスクとなります。というのも尿酸は、汗からは排出されません。大汗をかいて尿の量が減ると、かえって尿酸の排出を妨げる結果になるからです。
ストレスについては、実際にストレスを受けたり、疲れているときには、尿酸値が高くなります。血管を収縮させ、腎臓の働きを低下させるためと考えられています。
運動については、激しく動き回るスポーツ(サッカー、テニスなど)や筋肉運動(重量挙げ、筋力トレーニングなど)をすると、尿酸が増加します。こうした運動の場合は、こまめに水分を補給し、尿の排出を促すようにしましょう(運動中に汗をかいても、尿酸は排出されません)。 ただし、運動がいけないわけではなく、痛風の原因となる肥満予防のためには、有酸素運動(ウォーキング、軽めのジョギング、水中歩行、固定式自転車こぎなど)などを続けると効果があります。この場合にも、水分補給を十分に。
家族との関係では、痛風そのものは遺伝しません。しかし、最近の遺伝子研究から、痛風の発症にかかわる遺伝子が複数発見されていて、遺伝子による代謝異常がある人は、痛風や高尿酸血症になりやすいこともわかってきています(※4)。
遺伝子異常は自分ではわかりませんが、家族に痛風の人がいる場合には、体質や食生活が似ている可能性があるので、若いころから注意したほうがいいでしょう。

(※4)遺伝子異常による例として、「家族性若年性高尿酸血症腎症」があります。この場合、若いころから高尿酸血症になり、腎臓障害を起こしやすくなります。また男性だけでなく、女性でも発症します。

食生活で注意したいこと

痛風と高尿酸血症は、食生活と大きなかかわりがあります。とくに次の点に注意しましょう。

◎食べすぎ・飲みすぎに気を付ける

痛風はかつて「ぜいたく病」ともいわれたように、飽食の結果ともいえます。食事全体の量だけでなく、高カロリー・高脂肪食(肉類、レバー類、魚卵類など)をたくさん食べないことも大切です。アルコールも、栄養はあまりありませんが、カロリーはあるので、飲みすぎには十分な注意が必要です。

◎プリン体の多い食品を続けてとらない

プリン体を多く含む食品は、続けて食べないことが大切です。とくに酒の肴になる、白子、アンコウの肝、干物類などには注意し、飲酒中でも野菜をたくさんとることを心がけてください(野菜は尿をアルカリ性にし、尿酸を溶けやすくします)。

◎料理法や食べ方にも気を付ける

プリン体は水溶性で、煮たりゆでたりすると水に溶け出すので、摂取量を減らすことができます。同じ食品でも、こうした料理法を心がけましょう。
ただし、寒い時期に気を付けたいのは鍋物です。鍋物の煮汁には、いろいろな食品のプリン体が溶け出しています。最後に雑炊やおじやにして食べると、大量のプリン体をとることになります。尿酸値が高めの人は、とくに気を付けましょう。

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