脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い場所(鼻の周辺や頭皮など)を中心に起こる皮膚炎です。皮脂には本来、皮膚や髪の毛を保護し、潤す働きがあります。ところが、皮脂の分泌量が多すぎると吹き出物ができたり(ニキビ)、皮脂にふくまれる脂肪酸が酸化すると臭いを発したり(加齢臭)と、ちょっと厄介な面もあります。
脂漏性皮膚炎の場合は、炎症を起こして地肌が赤くなり、かゆみをともないます。皮膚が荒れてかさつき、細かく剥がれ落ちる状態になることも少なくありません。頭皮に症状が起こると、フケがたくさん出るようにもなります。
当初の症状が、ほかの皮膚炎(アレルギー性皮膚炎や刺激性皮膚炎)と似ているため、脂漏性皮膚炎とは知らないまま、かゆみなどに悩んでいる方はかなり多いと推定されています。もし、炎症による赤らみ、かゆみ、皮膚のかさつきをくり返す場合は、脂漏性皮膚炎を疑ってみてもいいでしょう。
脂漏性皮膚炎には、ほかの皮膚炎とは異なる大きな特徴があります。それは原因が、カビの一種(真菌)だという点です。そのためきちんと治療しないと、慢性化したり、再発したりしやすいので、早めに適切な対策をとることが大切です。
かゆみやフケを軽視しない
顔や頭皮にカビがいるというと、驚く方も多いでしょう。でも、このカビはマラセチアといって、だれの皮膚にもいる常在菌の1つです(※1)。ふだんは無害ですが、皮脂や汗などの分泌物が増えると、それらの成分をエサにして急激に増殖すると考えられています。
症状が出やすいのは、鼻の周辺と頭皮ですが、人によっては首の周辺や胸、背中などにも炎症が広がることがあります。
頭皮の場合には、フケの量が増え、洗髪してもすぐにフケが出るといった症状もみられます。辛いものなど刺激物を食べると、強いかゆみとフケが出ることもあります。
頭皮に関してはもう1つ、脂漏性皮膚炎と脱毛との関係も注目されています。とくに男性の場合、脂漏性皮膚炎と脱毛症状を併発するケースも少なくありません(※2)。まだ因果関係は明確になっていませんが、脂漏性皮膚炎をともなう脱毛だと、通常のフケ用シャンプーだけでは対処できないこともあるので、皮膚科などを受診して検査をしてもらいましょう。
女性の場合は、女性ホルモンの保護作用によって、男性ほど強い脱毛症状はみられませんが、毛が細くなったり、抜け毛が増えることはあるので、やはり注意は必要です。
(※1)マラセチアは、カンジダなどと同様に皮膚などにいる常在菌の1つです。人間だけでなく犬や猫などにもいて、増殖すると皮膚炎のほか外耳炎を引き起こすこともあります。
(※2)皮脂腺は、毛穴ごとに存在します。そのため脂漏性皮膚炎を起こすと、毛穴にも影響を及ぼします。ただし、脱毛自体の背景には、ホルモン(とくに男性ホルモン)バランスの乱れがあると推定されています。
治療の中心は抗真菌薬
そうした方法でも、一時的には症状が軽減されることもありますが、マラセチアの増殖がおさまらないと、すぐに再発しかねません。また、クリームなどの刺激によって、かえって症状が悪化する可能性もあります。
したがって、軽度の症状であっても、炎症やかゆみ、かさつきが続く場合には、早めに受診することが大切です。
脂漏性皮膚炎の治療には、一般に外用(塗り薬)の抗真菌薬が用いられます。抗真菌薬には、マラセチアの活性をおさえる効果があります(※3)。
また、症状の程度にもよりますが、抗生物質のほか、荒れた皮膚の回復のために尿素入りのローションやビタミンB、Cなどが一緒に処方されます。
一方、頭皮の場合には、シャンプーにも気を配る必要があります。低刺激性のシャンプーのほか、抗真菌剤の入ったシャンプーもあるので、医師や薬剤師に相談してみましょう。
薬やシャンプーは、一般的には効果がありますが、体質や皮膚の状態は人によってさまざまなので、場合によっては合わないこともありえます。1~2カ月続けてみて、効果がない、あるいは悪化していると感じた場合には、自己判断で中断せずに、かならず医師に相談してください。
(※3)症状の改善に速効性のあるステロイド薬が使われることもありますが、ステロイド薬に抵抗感のある方は、医師にその旨を伝えるようにしましょう。
自分でも注意したいこと
・脂っこい食事を減らす
脂っこい食事を続けてとると、皮脂の分泌量が増え、マラセチアの増殖を助長することになります。
・ビタミンBとCを多くとる
ビタミンB群(とくにB2、B6)とビタミンCは、皮膚の代謝を改善し、ダメージの回復を早める働きをします。
・洗顔に気をつける
刺激の少ない石鹸をよく泡立て、泡でそっとなでるように顔を洗いましょう。また、拭くときはタオルを軽く顔に押し当てるようにし、けっしてこすらないようにします。
・洗髪に気をつける
熱いお湯をいきなり頭にかけないこと。抗真菌剤入り、あるいは刺激の少ないシャンプーを使い、爪を立てないようにし、指の腹で頭皮をそっとなでるように洗います。シャンプーの洗い残しがないように、よく洗い流しましょう(ただし、頭皮をこすらない)。
・紫外線をさける
紫外線は、皮膚のダメージを促進します。紫外線の強い季節は、帽子や傘で日よけをしましょう。ただし、帽子は風通しがよく、むれにくいものを選ぶことが大切です。
・睡眠をしっかりとる
睡眠不足も、皮膚の抵抗力を低下させる要因です。夜更かしはやめましょう。
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