vol.128 見逃されやすい「COPD」。乏しい症状にも要注意!

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Vol.128 見逃されやすい「COPD」。乏しい症状にも要注意!

特にハードな運動をしたわけではないのに、呼吸が苦しくなって息が切れる。しかし、病気とは考えず「きっと年を取って体力がなくなったせいだろう」と思い込み、不自由を感じながら日々の生活を制限していませんか。生活の質を低下させる息切れ、咳、痰。これらの症状が慢性化しているときには、「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれる病気が隠れているかもしれません。思い当たる要注意という人が多いのではないでしょうか。

定義に新たな記述が加わった第4版のガイドライン

COPDはたばこ病ともいわれ、喫煙によってたばこの煙に含まれる有害物質を長期間吸い込むことで、肺に炎症が起こります。その炎症によって肺胞壁の破壊が進み、肺が異常に拡大する「肺気腫」が起きたり、空気の通り道である気道がむくんだり、気管支の中に痰が詰まったりします。このような肺気腫と気管支の病気が複合的に作用して進行し、肺が正常な状態に戻らなくなる病気です。

COPDの特徴的な症状は、労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰などですが、2013年4月、日本呼吸器学会の「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版」が4年ぶりに改訂され、病気の定義に「これらの症状に乏しいこともある」という記述が新たに加えられました。同ガイドラインの作成委員長を務めた東京女子医科大学統括病院長の永井厚志医師は、「COPDは、症状がない人もいて本人や医師が気づかないことがあります。また、発症者は中高年が多く、国内の患者の1/3は他の病気を合併しています。診断率が非常に低いため、多くの医師に知ってほしいとつけ加えました」と経緯を話します。今回の改訂によって症状の特徴を加筆修正したことで、早期の診断で治療につなげてほしいと期待しています。

COPDを進行させる合併症や増悪に要注意

COPDと合併しやすい病気は、糖尿病、心臓病、骨粗鬆症、抑うつなどで、これらの病気を合併していると経過が悪く、死亡のリスクも高いことがわかっています。人によっては、肺気腫に肺線維症が合併した「気腫合併肺線維症」も見られます。これは、肺のあらゆるところが壊れて面積が小さくなるもので、酸素を取り入れて炭酸ガスを出すガス交換の機能が衰えて重症化します。肺線維症が合併していると肺がんの発生率も高くなるので、注意が必要とされています。

また、COPDは増悪するかしないかで進行が分かれます。COPDの増悪とは、息切れ、咳や痰の増加、胸部の不快感や違和感などが現れたり、増強したりすることです。増悪は患者の生活の質や呼吸機能を低下させ、死亡のリスクも高めますが、増悪しにくい人では、病気が進みにくいことがわかっています。そこで、今回のガイドラインでは、増悪期の管理も重要なポイントとして採り上げ、「2週間前からの息切れの増加」、「咳や痰の増加」、「胸部の不快感や違和感などの症状」は、増悪の予兆の可能性があるとして見逃さないでほしいと呼びかけています。

症状を改善し、進行をくい止める3つの治療法

先ほども説明したように、COPDの原因は喫煙。禁煙すれば肺は元に戻るのではないかと思われがちですが、それほど簡単ではありません。たとえば、喘息はアレルギーが原因ですからアレルギー反応を元に戻せば治りますが、COPDには特殊なリンパ球が関わっています。これが増加して、炎症反応を増強する物質がつくり出され、肺や気道が傷つくので禁煙しても病状は進行していきます。そのため、早期に見つけて適切な治療を受け、進行させないことが最も重要です。

治療の根幹は、(1)禁煙 (2)薬物療法 (3)呼吸リハビリテーションの3つとされています。症状を軽くすることで社会生活に戻れるようにすることが目標です。たばこを吸っている人は、まずは禁煙です。薬物療法は気管支拡張薬が中心で、β2刺激薬や抗コリン薬などが用いられます。気管支を広げて、空気を通りやすくして症状を改善します。呼吸リハビリテーションとは、肺を動かしている肺の周りの筋肉をよく動かすこと。具体的には、運動療法などを行います。呼吸困難が軽減するなど日常生活の動作が改善されます。自分から意欲的に体を動かし、身体活動を維持する人は、COPDを発症しても生存期間が延長したり、病気を克服できたりすることがあり、最近は、非常に重要な治療の一つと考えられています。

喫煙者は40代からきちんと検査しよう

肺の機能は20代がピーク。その後は健康な人でも低下します。たばこを吸う人は、吸わない人に比べて2倍のスピードで肺の機能が低下するといわれています。COPDが進行すると肺の機能はもう元には戻らないので、たばこを吸う人は40代から肺のレントゲン検査や肺機能検査を受けましょう。咳や痰など慢性気管支炎の症状があり、空気の通りが悪いとわかった場合は、さらに詳しく検査するのが最も早い診断へのルートです。

また、検査を受けても異常がないといわれたとしてもこちらから医師に「COPDは大丈夫ですか?」と聞いて確認してみましょう。肺気腫のあるCOPDは進行が早く、重症化しやすいため、きちんと診断のできる医師を見つけて早いうちに治療を開始することが大切です。肺のレントゲン写真で肺の微妙な異常を見極めている呼吸器の医師や、肺がんに詳しい医師の診察を受けることをお勧めします。

監修
東京女子医科大学 統括病院長 永井厚志先生

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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