vol.194 汗の季節に気をつけたい「接触皮膚炎」

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Vol.194 汗の季節に気をつけたい「接触皮膚炎」

皮膚は洗うほどきれいになりそうですが、夏は思っている以上に乾燥します。皮膚が接触する物によって刺激やアレルギーを起こす接触皮膚炎は、日常生活のいたるところにリスクがあります。また、リスクとなる要因を自分で作っていることがあります。汗の季節に増える「接触皮膚炎」に注意しましょう。

●接触皮膚炎とは

汗をかくと皮膚は潤っているように見えますが、気化熱によって乾燥しやすく、皮膚の防御能力が低下します。身の周りの品によるかぶれなどに注意が必要です。接触皮膚炎の診療に詳しい東邦大学医療センター大森病院 皮膚科の関東裕美教授は、「接触皮膚炎では、ベルトのバックル、ピアス、眼鏡のフレームなどの金属が汗に溶け出すことでかぶれが起きます。たとえば、汗をかいた皮膚がこすれて、そこにブラジャーの金具があるとかぶれます。刺激やアレルギーによるかぶれも、汗をかいて抵抗力の落ちた皮膚に起こりやすい皮膚炎です」と話します。
接触皮膚炎は皮膚に物が接触した状態で起こる炎症で、急性と慢性化する場合があります。皮膚の症状は刺激によるものとアレルギーがあり、見分けがつきにくいものですが、前者の刺激性接触皮膚炎は、接触した部位を超えることはなく、原因が除去されれば治ります。一方、後者のアレルギー性接触皮膚炎では接触部位を超えて広範囲になり、重症化します。

●自然を満喫する夏は、ウルシなどに注意

夏は自然を満喫する人が増えますが、野山や庭の植物に注意しましょう。漆塗り食器が伝統的に使われている日本では、ウルシかぶれが知られています。「ウルシは強力なアレルゲンで、一度、ウルシかぶれを起こすとハゼノキでもかぶれます。小さいときに植物かぶれの経験がある人は、ウルシの可能性が高く、銀杏(ぎんなん)を拾ったり、マンゴーをむいたりしてかぶれるかもしれません。また、サクラソウ科のプリムラ・オブコニカの葉や花の手入れをしてかぶれてしまうこともあります。ウルシ科植物の樹液は、釣り用具や履物、家具など思いがけない製品の塗料に使われていることがあり、注意してほしいと思います」(関東教授)。

●顔の洗いすぎにも注意

また、関東教授によると、目や口の周りの乾燥が目立つ患者さんの多くは、洗顔料で洗わないように指導すると半分以上が良くなります。日本人のきれい好き気質が皮膚のダメージを助長しているそうです。「顔に病変があると、必要以上にこすり洗うようです。洗い過ぎて本来皮膚を守るバリア膜や常在菌まで落とし過ぎてしまうから、良くならない。30代後半になると洗顔後の皮脂分泌の回復力が低下します。自分の年齢、皮膚の状態、環境に応じた洗顔をすることが大切」とアドバイスします。

●身近にある日用品に気を付けましょう

接触皮膚炎は次のような日用品にも注意が必要です。気づいたら早めに診療を受けましょう。

  • 化粧品
    目と口のまわりは、皮膚が薄く弱いところ。顔にトラブルがあると化粧かぶれと思いがちですが、洗いすぎると、パック、日焼け止め、メイク落とし、界面活性剤、つけまつ毛の接着剤などに刺激反応を生じやすくなります。特に40歳代は洗いすぎに注意しましょう。
  • 日焼け止め
    日焼け止めは、光老化の対策に有効です。しかし、紫外線吸収剤が入っていて、汗をかくと染みる人は、紫外線吸収剤の入っていないノンケミカルタイプを使うようにしましょう。
  • 毛染め
    白髪染めやおしゃれ染めでは、アレルギーが重症化して、顔が腫れる、頬から頸部(けいぶ)に皮膚炎が広がることがあるようです。染めている最中や翌日に皮膚や頭皮に違和感があったら、毛染めアレルギーになっている可能性があります。皮膚科の専門医に相談した方がよいでしょう。
  • 爪のおしゃれ
    ネイルの接着用アクリル樹脂は、皮膚につくとかぶれることがあります。扱いに慣れていない人や手荒れなどで皮膚が荒れていると、爪のおしゃれでアクリル樹脂が入りやすくなるので注意しましょう。
  • テープや絆創膏
    医療用の接着剤で接触皮膚炎を起こすことがあります。テープや絆創膏(ばんそうこう)にかぶれやすい人は、病院や歯科で治療を受ける前に医療者に話しましょう。また、絆創膏を貼り、湿って白っぽくなった皮膚のまわりに水っぽい発疹が出る場合は、アレルギー性接触皮膚炎の可能性があるようです。皮膚の症状に気をつけましょう。

●夏は市販の塗り薬にも気を付けましょう

足に湿疹が出ると水虫の市販薬、虫刺されはかゆみ止めなどを使って、薬でかぶれることがあります。また、市販薬には、かゆみや痛みを早く止めるために局所麻酔薬(リドカイン塩酸塩)が配合されているものがあります。「市販薬は、症状を緩和する目的で多くの成分が含まれています。すぐに痛みやかゆみをとるには局所麻酔薬が有効ですが、傷のある皮膚に塗り込むとアレルギーを起こすことがあります。必要なときに麻酔薬が使えないのは困りますから、アレルギー体質の人は皮膚から入れないように心掛けた方がよいでしょう」。薬は目的に合った成分を使うことが大切です。市販薬を購入するときは内容成分を確認しましょう。

監修  東邦大学医療センター 大森病院 皮膚科 教授 関東裕美先生
取材・文 阿部 あつか

  • このコラムは、掲載日現在の内容となります。
    掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。

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