vol.25 高脂血症で注意すべきは「レムナント」と「小型LDL」
健康・医療トピックス
最近“血液サラサラ”、“血液ドロドロ"という言葉をよく見聞きするようになりました。今回注目するのは血液ドロドロを意味する『高脂血症』です。これは血液中に脂質のコレステロールや中性脂肪のどちらか、もしくはその両方が増えすぎた状態です。
高脂血症が問題視されるのは、動脈硬化を促進させ、血管病である『心筋梗塞』『脳梗塞』に結びつくからです。
ところが、総コレステロールの数値が高い人ほど長寿、などという疫学調査が大阪府守口市市民健康センターで報告されました。これが人々の間に「コレステロール値は高くても問題ない」といったふうにも受け取られたのです。でも、ちょっと待った!!「コレステロール値は高くても問題ない」というのは、決して正しい言い方ではありません。正解は、「コレステロール値が高くてもHDLコレステロール値が高く、レムナント(RLP)や小型LDLが少なければ問題はない」。つまり、より詳細にコレステロールの中身を知る必要があるのです。
高脂血症が問題視されるのは、動脈硬化を促進させ、血管病である『心筋梗塞』『脳梗塞』に結びつくからです。
ところが、総コレステロールの数値が高い人ほど長寿、などという疫学調査が大阪府守口市市民健康センターで報告されました。これが人々の間に「コレステロール値は高くても問題ない」といったふうにも受け取られたのです。でも、ちょっと待った!!「コレステロール値は高くても問題ない」というのは、決して正しい言い方ではありません。正解は、「コレステロール値が高くてもHDLコレステロール値が高く、レムナント(RLP)や小型LDLが少なければ問題はない」。つまり、より詳細にコレステロールの中身を知る必要があるのです。
<RLP(レムナント様リポたんぱく)コレステロール>
レムナントは、血液中のリポたんぱく(中性脂肪やコレステロールがたんぱく質と結びついた複合体)が分解され生じる残り屑です。白血球の一種であるマクロファージが異物として取り込み、血管壁に沈着して、動脈硬化を促進させます。中性脂肪が高くて、善玉のHLDコレステロール値の低い人に多く、糖尿病の人にはその傾向が強くみられます。
<小型LDL>
悪玉といわれるLDLコレステロールの中でも超悪玉が、中性脂肪が要因で増える粒子がより小さい小型LDLです。そのために血管壁により多く入り、酸化されます。すると、レムナントと同様にマクロファージに取り込まれ動脈硬化を促進させることになります。また、総コレステロール値がそれほど高くなくても、小型LDLが多いと動脈硬化を進めてしまいます。この小型LDLもHDLコレステロールの低い人に多くみられます。
健康診断で高脂血症といわれた人は、専門医を受診してより詳細なコレステロールの中身を知ることが、的確な対応に結びつきます。医師の指導により治療が必要となった人は、まずは食事療法と運動療法による減量で中性脂肪を減らし、生活習慣の改善向けて努力をしましょう。
※このコラムは、掲載日現在の内容となります。掲載時のものから情報が異なることがありますので、あらかじめご了承ください。
執筆者プロフィール
松井 宏夫
医学ジャーナリスト
- 略歴
- 1951年生まれ。
医療最前線の社会的問題に取り組み、高い評価を受けている。
名医本のパイオニアであるとともに、分かりやすい医療解説でも定評がある。
テレビは出演すると共に、『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)に協力、『ブロードキャスター』(TBS)医療企画担当・出演、『これが世界のスーパードクター』(TBS)監修など。
ラジオは『笑顔でおは天!!』のコーナー『松井宏夫の健康百科』(文化放送)に出演のほか、新聞、週刊誌など幅広く活躍し、NPO日本医学ジャーナリスト協会副理事長を務めている。
主な著書は『全国名医・病院徹底ガイド』『この病気にこの名医PART1・2・3』『ガンにならない人の法則』(主婦と生活社)、『高くても受けたい最新の検査ガイド-最先端の検査ができる病院・クリニック47』(楽書ブックス)など著書は35冊を超える。